『エルデンリング』にて日本人が謎メッセージ「砦、夜」に困惑していると聞き、海外プレイヤーが面白がる。その理由とは

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エルデンリング』で見られる「砦、夜」なるメッセージが日本人ユーザーを困惑させ、その様子に気付いた海外ユーザーからも反響が寄せられている。本作の定型文メッセージが、ミーム伝達の難しさを浮き彫りにしたようだ。

『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアが贈る新作アクションRPGだ。本作の舞台となる広大な狭間の地には、美しい高原から危険極まるダンジョンまで、作り込まれたさまざまなロケーションが存在する。そして、絶景の感動や過酷な状況をほかプレイヤーと共有できるのが、ネットワークを利用したオンライン要素だ。本作には一時的な協力プレイ要素のほか、ほかのユーザーとのゆるい繋がりを感じられるメッセージ要素もある。

本作のメッセージは、定型文の組み合わせを地面に残すシステムとなっている。あらかじめ用意されたベース文と単語を組み合わせ、好きな場所に書き記せるのだ。そして、定型文とはいえベース文や単語の種類は豊富。2種類のベース文の組み合わせや、キャラクタージェスチャーも利用できるため、注意喚起から言葉を組み合わせたボケやダジャレまで表現できる仕組みになっているのだ。攻略に有用なメッセージ以外にも、プレイ中の清涼剤となるようなおもしろメッセージが見られるのも魅力のひとつである(関連記事)。

また、自分の思いを伝えられる以外にも、メッセージがほかプレイヤーから評価されると体力が回復する要素もある。そのため世界中の多数プレイヤーが思い思いのメッセージを『エルデンリング』世界に書き込んでいるのだ。


そして、こうしたメッセージは海外地域にも共有される。海外プレイヤーが書き込んだメッセージも然りだ。そして定型文ゆえに、それぞれのパーツが各言語に対応する記述をもつ。たとえば、「犬」は「dog」といったように、あらかじめ変換文が決まっている。この仕組みにより、言語を問わずプレイヤーたちが意思を伝え合うことが可能なのだ。

ただ、時たま謎の文章も発生する。とくにSNS上などで困惑の声が寄せられていたのが、「砦、夜」とのメッセージだ。ゲーム内エリア「ハイト砦」でよく見られる。素直に受け止めれば、砦を夜訪れればなにかが発生すると解釈できるだろう。「砦で夜まで待ってみたが、何も起きなかった」などのTwitter投稿も散見され、日本国内プレイヤーたちが困惑する様子が見られる。それもそのはず、これは英語のダジャレなのである。

「砦、夜」を英語にすると「Fort, Night」となる。フォート、ナイト、すなわち人気バトロワゲーム『フォートナイト』だ。英語ゆえに通じるゲームタイトルのダジャレが日本語になったことにより、期待をそそるメッセージと化してしまったのだ。また、「ハイト砦」は英語名「Fort Haight(フォート・ハイト)」とすでに『フォートナイト』と被る名称であるため、ダジャレを誘発したと見られる。


「砦、夜」への日本国内プレイヤーの困惑に、英語圏のプレイヤーも気付いたようだ。和英翻訳者のAndrew Hodgson氏は、この混乱について自身のTwitterアカウントにて言及。ただのダジャレが日本語に変換されて、真剣にヒントだと受け止められてしまったことを海外プレイヤーたちに伝えている。同氏は英語由来のミームが、日本国内プレイヤーの行動をミスリードしてしまった事実に面白さを見出したようだ。


言語の差異によるダジャレミスリード現象は、海外プレイヤーの関心を集めたようだ。Hodgson氏の投稿は1万以上RTされ多くの反響が寄せられている。そもそもメッセージが翻訳され海外プレイヤーにも届いている事実を知らなかったとの声もある。ちょっとした小ボケメッセージが、まさか日本国内プレイヤーを夜の砦で過ごさせる原因になろうとは、英語圏プレイヤーにとっても予想だにしなかったようだ。ミスリードは日本のプレイヤー以外にも発生していたようで、スペイン語版を利用しているユーザーが、「30分ほど砦をうろついたものの、何もなかった」と悲しみを伝えている。


ほかのメッセージ反応例では、英語から日本語への変換で伝わりづらい例として「しかし穴」などのメッセージが挙げられている。こちらは「But hole(ケツの穴)」とストレートな下ネタが翻訳され、意味不明になってしまったケースだ。逆に、日本語のメッセージが英語に翻訳されて意味が伝わらなくなるケースも紹介されている。日本のネット用語で笑いを表現する「草」を使った「草、おぉ草」が一例だ。「草(Grass)」が笑いを表現する日本語スラングだと知らなかったユーザーたちからは、「スコットランドではGrassは“チクリ屋”という意味なので、怪しいNPCを指していると思っていた」とのコメントもある。日本語から英語への変換で誤解を招いてしまうケースもまた然りのようだ。また、メッセージが生んだ齟齬を語るユーザーたちの口調はどこか楽しげ。ちぐはぐなコミュニケーションが、珍事として受け止められている様子。

メッセージの自動変換によって、ネットミームが意図せぬかたちで伝わるというのは、弊害もあるものの非常に興味深い現象である。『エルデンリング』の自由度の高さやソーシャル機能が生んだ、ひとつの物語だといえよう。解釈に困るメッセージを見つけた際は、「海外プレイヤーからかもしれない」と考慮しつつ、どのような意図で書かれたのか推理してみるのも一興だろう。

【UPDATE 2022/3/4 19:03】
タイトルおよび本文を、海外ユーザーがより面白がっているニュアンスへと変更



※ The English version of this article is available here

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