人気単語推理ゲーム『Wordle』にて、英語における一部の卑語などが利用できなくなったようだ。米一般紙The New York Timesの本作買収に伴い、管理が移ったためと考えられる。Polygonが報じている。
『Wordle』は、英語圏を中心に絶大な人気を誇る単語推理ゲームだ。開発者は、米国ニューヨークを拠点とするエンジニアであるJosh Wardle氏。日替わりで設定される5文字の英単語を、6回の試行で推定するシンプルなルールだ。本作は公開後またたく間に英語圏ユーザー間に広まり、毎日数百万人が遊ぶ人気作となった。そして、今年1月31日にはThe New York Timesが本作の買収を発表(関連記事)。Wardle氏の個人サーバー(powerlanguage.co.uk)にて無料公開されていた本作は、現在は同紙Web(nytimes.com)に移行されている。開発者Wardle氏も納得の上で、オリジナル版にほぼ変更を施さず、誰でも無料で遊べる形式で運営が引き継がれたのだ。なお、今までのプレイデータなども旧サイトから引き継がれており、丁寧に移行された様子がわかる。
しかし、どうやら『Wordle』の根幹をなす”言葉”について、運営移転後にThe New York Timesの手が入ったようだ。というのも、移転前に利用できていた一部の卑語が、移転後には単語として受け付けられなくなってしまっている。具体的には「ビッチ(Bitch)」などの侮蔑語が「単語リストにない」として拒否されてしまうのだ。The New York Timesは、ほかにも「Spelling Bee」などのワードパズルを提供しており、そちらでも同様に不適切とされる単語が規制されている。同紙の基準に照らし合わせて、幾つかの単語が辞書から外されたのは間違いないようだ。
一方で気になるのは、移転前の『Wordle』はどの程度の卑語を受け入れていたかだ。移転前のアドレスはすでに新サイトへと転送される状態となっているものの、Internet Archiveには昔の仕様のままのWordleが保存されている。筆者があらん限りの猥褻な言葉や侮蔑語を入力してみたところ、単語として英語辞書にも載っているような言葉については、受け入れて貰えるのが確認できた。また、前述のBitchなどの単語については、オリジナル版ではOKで移転後に規制されているのが確認できた。ただし、ほかの言葉にについて移転後サイトで同様に試してみたところ、多くの単語がそのまま通用する。怒られそうな侮蔑語についても割と認められる状態だ。つまり、移転により一部規制されたのは事実であるものの、現時点で影響は些少であるといえそうだ。
しかし、The New York TimesはPolygonに対して、「攻撃的な言葉は辞書から削除されます」とコメント。まだ規制プロセスの途上であると伝えている。つまり、今後使えなくなる単語が増える可能性もあるようだ。
単語辞書の縮小は、『Wordle』のルール上プレイヤーの不利に直結してしまう。また本作の性質上、プレイヤーが積極的にプレイ画面をシェアでもしなければ、入力した単語が他人の目に触れることはない。とはいえ、The New York Timesとしても社内規準があるだろう。『Wordle』の”卑語規準”は、どのように変化していくのだろうか。