『ポケモン レジェンズ アルセウス』でポケモンの“荒ぶり挙動”の報告続々。犯人はゲーマーおなじみのアイツ説

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ポケモン レジェンズ アルセウス』にて、ポケモンが“荒ぶる”挙動の報告が多数ユーザーからなされている。とはいっても、設定上荒ぶっているポケモンではない。もっと突飛な、いわゆる「物理演算エンジンの暴走」的な荒ぶりを見せているのだ。


『ポケモン レジェンズ アルセウス(以下、アルセウス)』は、アクションRPGとして開発された『ポケモン』シリーズ完全新作。舞台となるのは、まだヒスイ地方と呼ばれていた時代のシンオウ地方だ。本作にはアクション要素がふんだんに盛り込まれており、従来の『ポケモン』シリーズからシステムが一変されている。フィールド上にはポケモンがありのままの姿で闊歩しており、プレイヤーはポケモンバトルを介さず、直接ボールを投げつけて捕獲することも可能だ。

また、キャラクターおよび各オブジェクトには物理演算も活かされている。ボールが障害物に当たった際には、角度に応じていかにも跳ね返りそうな方向に飛んでいくなど、芸が細かい。地面にしばらく残る木の実などでは、木の実同士をぶつけて転がすことも可能。プレイヤーがポケモンの体当たりを食らった際には、リアルに吹っ飛んだりもする。本作では、挙動のそこかしこに物理演算が活かされているのだ。


一方で、そうした物理演算などが原因と見られるポケモンのおかしな挙動も発生しているようだ。TwitterなどSNS上にて、国内外のユーザーが衝撃の映像を投稿している。例としては、強力な特殊個体である「オヤブン」の珍妙な動きの報告が散見される。特に見た目がダイナミックなのが、突進してきたポケモンが空中に発射されてしまう事例だ。ユーザーの報告動画では、プレイヤーに向けて突進してきたカビゴンやカバルドンが障害物に引っかかり、まるで溜めた運動エネルギーを一気に開放するかのように、明後日の方向にフッ飛んでいく様子が見られる。また、カビゴンは奇跡的に樹上に着地しており、カバルドンに至ってはそのまま空中に浮いている。プレイヤーから逃れるための、新しいわざかもしれない。


また、「木」の周りでは奇妙な現象が起きやすいようだ。あるユーザーは、オドシシのオヤブン個体が、木を軸にしてプロペラのごとくグルングルンと高速回転する奇妙な光景を投稿している。赤い瞳が尾を引く様子は、まるでパトランプのようでもある。プレイヤーを威嚇するための、新しいわざかもしれない。ほかにも、オヤブン個体に限らずポケモンが「木に登ってしまう」との報告もある。とはいっても、手足を使ってしっかりと登るわけではない。SNS上の報告例では、ケムッソがまるでゲームエンジンのルールを逆手に取るかのように、いもむしポケモンらしからぬ異常な動きで樹上に駆け上がっている。かくいう筆者も本作をプレイ中、オヤブンポケモンから逃走中に樹木を盾にしたところ、そのままぬるりと乗り越えてきたので悲鳴をあげたことがある。


本作における樹木には投げたオブジェクトも衝突し、果樹などではポケモンを適当に放ってもしっかり当たってくれる。つまり、かなり大きめの衝突判定が設けられているのだ。木がオドシシの軸になってしまったのも、ポケモンたちが木に登ってしまうのも、ポケモンと樹木間の衝突処理に原因があると考えられる。また、樹木の絡まない荒ぶりも報告されている。ムックルにモクローを投げつけて戦闘を仕掛けたところ、空高く舞い上がり帰ってこなくなってしまった様子だ。モクローもどこを見てよいかわからず、きょとんとしている。


そして、本作には物理演算エンジンである「Havok」が採用されている。Havokは多くのゲーム作品に利用されているポピュラーな技術だ。しかしその一方で、一部ゲーマーからは荒ぶる神のごとく恐れられる存在でもある。というのも、Havokは多くのゲーム作品に「荒ぶる挙動」をもたらしてきたのだ。著名なタイトルとしては、『The Elder Scrolls V: Skyrim』冒頭で主人公が乗る馬車がある。こちらの例では、「馬車が空中に打ち上げられる」「馬がドリルのように回転する」などの現象が見られた。この原因のひとつは「馬車が虫の当たり判定に引っかかったためだった」と後に開発者が語っている(関連記事)。作品に動きの豊かさなどをもたらす一方で、なかなか扱いの難しい技術なのである。

『アルセウス』のライセンス表記


ただ、今回報告された『アルセウス』での一連の現象の犯人がHavokであるとは限らない。また、Havokは大型タイトルでの採用例なども枚挙に暇がない。たとえばHavokは『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でも採用されており、物理演算によりプレイヤーに幅広い遊びを提供している。また、同作をはじめHavok採用作品では、ゲームの進行上致命的にならない程度の荒ぶりは許容する作りになっているのがしばしばだ。物体同士が干渉しあって吹っ飛ぶなどの挙動は、作品によってはわりと日常茶飯事ではないだろうか。

従来の『ポケモン』シリーズは、動きの面では、不具合を除けば厳密に作られていた。今回ダイナミックな挙動が見られるようになったのは、『アルセウス』がアクションによる自由度を高め、ある程度の「荒ぶり挙動」も考慮した異例かつ野心的な作品だからとも考えられるだろう。予想外の挙動もまた本作だからこその面白さかもしれない。

『ポケモン レジェンズ アルセウス』は、Nintendo Switch向けに発売中だ。自由度を増したポケモン世界を体験したい方は、お手にとってみてほしい。

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