デンマークの玩具会社レゴは現地時間1月11日、『オーバーウォッチ2』関連商品を無期限に発売延期すると発表した。同社は現在Activision Blizzardとのパートナーシップを見直し中とのことだ。海外のレゴ関連メディアThe Brick Fanが伝えている。
レゴは社名であると同時に、いわずとしれたブロック組み立て玩具のブランド名だ。世界的な人気を誇るレゴは、同ブランドでビデオゲームを展開しているほか、著名ゲームIPとのコラボレーションも実施している。昨年には任天堂の『スーパーマリオ』とコラボ商品を発売したほか、今年1月1日にはセガの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』をフィーチャーした商品を売り出している。また、過去にはActivision Blizzardが手がけるゲーム『オーバーウォッチ』関連商品も展開。2月1日には『オーバーウォッチ2』登場ロボ「Titan」のレゴセットが発売される予定だった。しかし、今回無期限の見送りとなってしまったわけだ。その背景には、Activision Blizzardが現在渦中にある、一連の性差別問題がある。
Activision Blizzardは昨年7月、女性への性的ハラスメントや待遇不平等があったとして行政機関より訴訟を受けた。それを皮切りに、現・元従業員による相次ぐ告発や抗議活動に発展。Blizzard社長など重役退任にも至ったほか、現在も抗議の声は上がり続けている(関連記事)。レゴがThe Brick Fanに伝えた声明によれば、同社は現在Activision Blizzardの環境改善が進んでいるか懸念をもっており、パートナーシップ見直しを進めているそうだ。そして、見直しが完了するまでは『オーバーウォッチ 2』関連商品の発売を見送るとしている。
実をいえば、今回の一件に限らずActivision Blizzardはコミュニティと企業含む各方面から厳しい目を向けられている。昨年には、各ゲーム企業の重要人物が内部文章でActivision Blizzard問題に言及。ハラスメントを厳しく取り締まる旨を伝えたと報道された。なかでも、マイクロソフトのXbox事業を率いるPhil Spencer氏は「XboxとActivision Blizzardの関係性を見直す」と発言。その後、現地時間1月10日のThe New York Times掲載インタビューのなかで、「Activision Blizzardとはいくつかの点で付き合い方に変化があり、向こう側もそれを認識している」と言及した。また同氏は、過去の自社についてもハラスメント問題とは無縁ではないとコメント。Activision Blizzardを一方的に罰するのではなく、同社含め取引先と手を取り合っての改善が重要との意見を示している。いずれにせよ一連の騒動を経て、XboxとActivision Blizzardとの付き合い方には具体的な変化があったようだ。
ある種、四面楚歌ともいえる状況に立たされるActivision Blizzard。今回は、コラボレゴが発売無期限延期となる事態に至ってしまった。待ちわびたファンにとっては残念な知らせだろう。「Titan」レゴセットがユーザーの手に届く日は来るだろうか。また、開発状況に懸念募る『オーバーウォッチ 2』の動向も気になる点だ。