小規模MORPG『Book of Travels』が売り上げ不振に陥る。開発元は苦渋のレイオフを敢行

インディースタジオのMight and Delightは12月22日、同社従業員の大規模レイオフについて明かした。先ごろリリースされた小規模MORPG『Book of Travels』のセールスが原因とのこと。

インディースタジオのMight and Delightは12月22日、同社従業員の大規模レイオフについて明かした。先ごろリリースされた小規模MORPG『Book of Travels』のセールスが原因とのこと。


Might and Delightは、2010年に設立された、スウェーデンを拠点とするデベロッパーだ。動物の営みを描くアドベンチャーゲーム『Shelter』シリーズや、プレイヤーたちが動物になるMMOゲーム『Meadow』の開発で知られている。生き物や自然の姿を、独特の風合いで美しく描き出すスタイルに定評があるスタジオだ。今回の発表によれば、同スタジオは従業員を大幅に減らすレイオフに踏み切ったとのこと。もともと35人ほどいた従業員を、10人ほどに削減するそうだ。発表において同スタジオは、「『Book of Travels』のローンチが期待よりも上手くいかなかったため」と理由を説明している。

『Book of Travels』は、TMORPG(「Tiny=小規模」MORPG)をジャンルとして掲げる作品だ。一般的なMMOと違い、本作はソーシャル機能を意図的に制限し、プレイヤー同士の遭遇も比較的少ないシステムとなっている。美しい世界のなかで一期一会の喜びが味わえる、というのがコンセプトだ。本作は2019年の発表の後、Steamでの早期アクセス配信をアナウンスしていた。しかし配信は3回にわたり延期(関連記事)。ついに今年10月12日にリリースを迎えるも、プレイヤー人口は伸び悩みを見せていた。リリース直後にはSteamピーク同時接続者数1390人を数えたが、以降は失速。リリースから1か月後には、毎日のピーク同時接続者数が100人前後で推移する状況となっていた(SteamDB)。他人との遭遇機会は少ないにせよ、人口が少ないのはマルチプレイゲームとしては致命的だろう。


Might and Delightは、削減対象となった人員について「熟練した、信頼できる愛すべきスタッフたち」であるとコメント。そのため今回のレイオフは「スタジオの11年の歴史のなかでもっとも困難な試練だった」と伝えており、スタジオ存続のための苦渋の決断だったことがうかがえる。また、今回レイオフについて明らかにしたのは、コミュニティに対する透明性を確保するためだったそうだ。Might and Delightに残った人員たちは、引き続き『Book of Travels』の開発に全力を注いでいくとのこと。

なお、今回の発表に伴い『Book of Travels』向けに、DLC「Cup of Kindness」がリリースされている。本DLCには追加コンテンツは含まれていないものの、「人を助けた時の温かい気持ち」が購入できるとのこと。つまり、開発チームをサポートする目的のDLCである。本作とスタジオの行く末を案じるプレイヤーは、購入を検討してみてはどうだろうか。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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