“なぜ『Call of Duty: Vanguard』を買わなかったか”を、海外メディアが調査。なぜ彼らは最新作を見送ったのか

海外メディアが、『Call of Duty: Vanguard』を買い控えたユーザーを対象にアンケートを実施した。今回のアンケートは、「なぜあなたは『Call of Duty: Vanguard』を買わなかったのか?」との意見調査だ。

海外メディアGamesindustry.bizが、『Call of Duty: Vanguard』を買い控えたユーザーを対象にアンケートを実施した。本作は欧州において、セールス面でやや陰りを見せていた。調査の結果からは、近年におけるゲーマー環境の一端が垣間見える。


『Call of Duty: Vanguard』は、今年11月5日に発売された『Call of Duty』シリーズ最新作だ。舞台を第二次世界大戦へと回帰し、4人の主人公が織りなすシングルプレイキャンペーンと多彩なマルチプレイモードをサポートしている。人気シリーズの最新作ながら、本作のセールスはヨーロッパ圏にてやや苦戦。英国での初週売上は前作『Call of Duty: Black Ops Cold War』の記録を40%下回ったと伝えられている(Gamesindustry.biz)。今回、なぜ『Call of Duty: Vanguard』の売上に陰りが見えたのか。その背景について同誌がアンケート調査を実施している。ゲーマーたちの世相が見える興味深い内容だ。

今回のアンケートは、「なぜあなたは『Call of Duty: Vanguard』を買わなかったのか?」との意見調査だ。調査はゲームイベントEGXとPAX運営元の協力を受けて実施された。サンプルとなったのはイギリスおよびアメリカの671人の“ハードコア”ゲーマーたちとのこと。まず、アンケートを取ったユーザーのうち284人が過去5年間のうちにシリーズ作品を購入したと答えた。しかし、そのうち『Call of Duty: Vanguard』を購入したのは59人(21%)に留まったとのこと。なぜ、残りの79%の225人は購入を見送ってしまったのか。Gamesindustry.bizはさらに詳細な理由を聞いている。なかには、複数の理由を挙げるユーザーもいたようだ。

Image Credit: Gamesindustry.biz


『Call of Duty: Vanguard』の購入を見送った理由のうち、最多は「ほかのゲームをやるので忙しいから」。割合は実に55%で、過半数が忙しさを理由にしている。昨今では長期運営型の基本プレイ無料シューターが増加傾向にある。また、サブスクリプションやセールなどで良質な作品が手軽に遊べる環境も充実してきている。「やるゲームが多くて手が回らない」との意見は、“積みゲー”しがちな多くのユーザーが共感するのではないだろうか。また、14%ユーザーは「基本プレイ無料の『Call of Duty: Warzone』で満足している」との意見を示している。同じフランチャイズのタイトル同士で、狙う需要がバッティングしてしまったのだ。

「忙しい」に次ぐ34%のユーザーが挙げたのが「『Call of Duty』シリーズに飽きてしまった」との意見だ。『Call of Duty』フランチャイズ作品は、モバイルや携帯機向けも含め毎年のように新作がリリースされている。恒例となった「今年も11月前後に『Call of Duty』が出る」環境に、食傷気味になってしまったユーザーも多いようだ。次いで24%のユーザーは「第二次世界大戦との設定に魅力を感じない」としている。


そして、本作のレビュー評価が振るわない点も買い控えに影響を与えているようだ。レビュー集積サイトMetacriticによれば、本作PC版の評価は批評家/メディアレビューが100点満点中72点と、前作と比較しても低め。さらに、ユーザーレビュースコアは10点満点中3.6点と苦しい評価だ。コンソール機についても同じ傾向が見られ、もっともユーザースコアの高いXbox Series X版でも5.3点となっている。20%のユーザーが、こうした評価を参考に『Call of Duty: Vanguard』購入を見送ったと語っている。

また、11%のユーザーが「別のゲームに期待して見送った」と回答しており、38%のプレイヤーが『Halo Infinite』を待っているとした。そして25%は『Battlefield 2042』を期待のタイトルに挙げており、大型シューター衝突の影響が示されている。ほかには、6%のユーザーが「発売元のActivision Blizzardをサポートしたくない」と答えている点も興味深い。同社は先ごろ、社内での性差別問題などで訴訟され、相次いで告発を受け批判に晒されている(関連記事)。会社のイメージが多少なりとも売上に影響を与えているのだ。

今回のGamesindustry.bizによる調査では、「ゲームが忙しくてゲームができない」との世相が示された。基本プレイ無料シューターの台頭も大きな影響を与えているだろう。しかし、日本国内やもっと広いサンプルの調査では、別の結果が出る可能性に留意したい。ゲーマーたちの心を惹きつけるため、『Call of Duty』フランチャイズは今後どのように舵を切っていくのだろうか。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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