『スカイリム』バグなし1時間12分クリア記録樹立。スピードランなのに待機しまくり世界新


The Elder Scrolls V: Skyrim(以下、スカイリム)』にて、新たなスピードラン(RTA)記録が打ち立てられた。バグを利用しない“正攻法”による新記録だ。
 

 
『スカイリム』は、Bethesda Softworksが手がける人気オープンワールドARPGだ。本作は今年11月11日に発売10周年を迎えた。同日には記念作品『The Elder Scrolls V: Skyrim Anniversary Edition』が海外向けにリリースされ、日本語版も現在開発中だ(関連記事)。10年を経た今でも一定のプレイヤー数を保ち、スピードラン記録も継続的に更新され続けている。長きに渡り根強いファンに愛されている作品だ。

そして11月28日、『スカイリム』にて新たなスピードラン記録が樹立された。記録を出したのはアメリカのスピードラン走者であるnucular氏だ。同氏は1時間12分15秒というタイムで、『スカイリム』難易度Noviceのメインクエストを疾走し、最終ボスを撃破した。驚くべきは、前述の通りこの記録が「Glitchless(バグなし)」カテゴリーで打ち立てられた点だ。RTAといえば、ありとあらゆる手段を駆使するAny%(バグあり)のイメージも強い。“正攻法”ながら多彩なテクニックを駆使するnucular氏のランには、普段の『スカイリム』プレイにも活かせそうな小技が駆使されている。
 

 
同氏のスピードランはいきなりバグすれすれのテクニックから開始する。冒頭のヘルゲン脱出シーンでは、アルドゥインが破壊した壁の穴からおもむろにジャンプ。そのまま謎の動きで外壁の上を疾走している。本来とは違うルートを通っての大幅なショートカットだ。一見バグ利用とも思えるが、壁抜けなどはおこなっておらず、正規に設定されたコリジョンの上を通過している。本作のRTAコミュニティでは「なにがバグでなにが仕様か」は長い歴史のなかで熟議されている。つまり、このきわどいテクニックも、バグには入らないと定義されているのだ。

ヘルゲン脱出後、敵には目もくれず疾走するnucular氏。気になるのは、休憩して時間をスキップする「待機」を頻繁におこなっている点だ。この行動は時間のロスに見える。同氏の解説によれば、こまめな待機によってスタミナを回復しているとのこと。ダッシュなどで消費するスタミナの自然回復には、一定時間がかかる。それに対し、待機は実時間では一瞬で実行される。このテクニックにより、待機できない状況を除いてほぼ無制限にダッシュできるのだ。

ほかにも、今回のランでは多数のテクニックが利用されている。印象的なものとしては、あえて衛兵に暴行を働き、逮捕されて牢屋のある場所へショートカットしている。刑期は寝て過ごせば一瞬だ。スタミナを回復するワインを大量に溜め込み、待機不能エリアでガブ飲みしつつ駆け抜けるのも面白い。体の丈夫なドラゴンボーンならではの芸当だろう。また、キャラクリエイトにもこだわりがある。本作では身長に応じてキャラクターの移動スピードが変化する仕様がある。そのため、nucular氏はもっとも身長の高いハイエルフ(アルトマー)の女性をチョイスしている。女性である理由については「走ってる最中のうめき声が多少マシだから」とのこと。仕様の範囲であらゆる工夫をした結果、今回の1時間12分15秒なる記録が誕生したのだ。
 

 
海外スピードラン集計サイトSpeedrun.comによれば、今回の記録はロード時間を除けば堂々の1位だ。nucular氏は「ファストトラベル場所のアンロックし忘れで30秒ほどロスした」と語っており、さらなる記録更新にも期待がもてそうだ。