スクウェア・エニックスは11月25日、プラチナゲームズと共同開発中のアクションRPG『バビロンズフォール』にて、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)からの装備提供を受けることを公表した。『バビロンズフォール』は11月15日から17日の3日間にわたってクローズドβテストを実施していたが、参加者から「『FF14』の装備アセットを使用しているのではないか」という指摘が寄せられていた。
『バビロンズフォール』はスクウェア・エニックスとプラチナゲームズが共同開発する新作アクションRPGだ。プレイヤーは、機棺(ギデオンコフィン)と呼ばれる特殊な装具を背負わされた戦士・哨士(センチネル)となり、莫大な遺産が眠るとされる巨塔バビロンの攻略を目指す。 ハック&スラッシュをベースとしたゲームシステムで、武器の組み合わせや装備品ごとの性能の違いによって幅広い戦略が楽しめる。これまでに計3回のクローズドβテストが実施されており、多くの人々がテストに参加した。
しかし、先日17日まで実施されていたクローズドβテストでは、SNSを中心に『バビロンズフォール』の装備デザインに疑問を持つ声が上がっていた。クローズドβテスト内で、『FF14』に存在する装備に酷似した装備が多数発見されたのである。参加者の中には『バビロンズフォール』で獲得した装備を『FF14』内で再現し、そっくりであることを強調するプレイヤーも現れた。
Hina氏が投稿したこちらのツイートでは、『バビロンズフォール』と『FF14』の装備比較がおこなわれている。1枚目はカスタムキュイラス、2枚目はツインシルク・キャスターフードとヴァレリアンアーチャー・アクトン、3枚目はフィリバスター・レンジャーガンビスンが、『FF14』側の装備として比較されている。ポケットの位置や装飾などが細かいところまで一致しており、何も知らされず『バビロンズフォール』のクローズドβテストに参加した『FF14』プレイヤーから疑問の声が上がるのも致し方ないレベルである。しかし、『バビロンズフォール』には参加者が懸念しているような権利的問題はない。『バビロンズフォール』は同じスクウェア・エニックス開発である『FF14』側から、正式に装備アセットの提供を受けているからだ。
『バビロンズフォール』プロデューサーの齊藤陽介氏が公式サイトに公開したお知らせによると、『FF14』からは装備だけでなくエモートの提供も受けているそうだ。アセットの提供の経緯としては、『FF14』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から申し出があったという。また、プレイヤーがゲーム内で目指す装備の外見には、『バビロンズフォール』独自のものがきちんと用意されているとのこと。『FF14』から提供された装備アセットは、ゲームの導入から中間レベル帯の外見として使用されているため、クローズドβテスト内で参加者が目にすることが多かったようだ。
『FF14』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏からもコメントが寄せられている。ハック&スラッシュ型のゲームでは、多くの種類の装備やアイテムを実装することが面白さにつながってくる。しかし、『バビロンズフォール』は完全新規タイトルで、予算を天井知らずにかけるわけにもいかない。本作の成功を願った吉田氏は、『FF14』の装備アセットの提供を持ちかけた。吉田氏はコメント内で「莫大な数があるので『FF14』だけで眠らせておくのはもったいない」と考えたそうだ。
筆者が調査した限りでは、『FF14』側から提供されたと見られる装備アセットは、2013年発売の「新生エオルゼア」から2017年発売の「紅蓮のリベレーター」までにデザインされたものばかりだった。『FF14』では最強装備が数か月間隔のアップデートごとに更新され、過去の装備が実用面で脚光を浴びることはほとんどない。『FF14』で眠っていた過去の装備アセットたちは、巨塔バビロンの攻略のため再び活躍の場を与えられたともいえるだろう。社内でアセット流用をするのは当然ともいえるが、こうした丁寧が説明がおこなわれたのは、ユーザーとのオープンなコミュニケーションを好む、吉田氏および齊藤氏が担当者だからともいえそうだ。
『バビロンズフォール』クローズドβテストから生まれた『FF14』からの装備アセット流用の指摘は、両作のプロデューサーから公式にお知らせがおこなわれたことでしっかりと説明がなされた。ハクスラアクションRPG『バビロンズフォール』はPS4/PS5/PC(Steam)向けに開発中だ。また、『FF14』最新拡張ディスク「暁月のフィナーレ」は12月7日発売予定だ。
© 2010 – 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
© SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by PlatinumGames Inc.
※ The English version of this article is available here