現地時間11月23日、第64回グラミー賞(以下、グラミー賞2022)のノミネートが発表された。グラミー賞とは、ザ・レコーディング・アカデミーが主催する音楽の祭典。50年以上続く歴史と権威あるアワードだ。Jon Batisteが11部門にてノミネートされ、BTSもBest Pop Duo/Group Performanceにノミネートされるなど、さっそく候補曲やアーティストに大きな注目を集めている。そんななか、なんと『星のカービィ』サウンドのアレンジ曲が、Best Arrangementにノミネートされているようだ。
候補としてあげられているのは、「Meta Knight’s Revenge」である。もともとは『星のカービィ スーパーデラックス』のゲームモード「メタナイトの逆襲」の戦艦ハルバードをベースとした曲。同モードでは、プププランド征服を阻止するため戦艦ハルバードを破壊していく。時間制限のある緊張した状況のなか、ハルバードを駆けていく疾走感が、BGMとして見事に描かれている。数々の名曲を手がけてきた作曲家石川淳氏が誇る、人気サウンドのひとつである。
【UPDATE 2021/11/24 14:40】
「メタナイトの逆襲」概要について修正。あわせて原曲についても加筆および調整
同曲はもともとはふたつに分かれており、『星のカービィ スーパーデラックス』では、「メタナイトの逆襲:ステージ」「戦艦ハルバード:艦内」として収録。リメイク作である『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』では「戦艦ハルバード:甲板」「戦艦ハルバード:艦内」として収録。どれが正式名称かは不明であるが、どちらも正解なのだろう(カービィWiki)。また同曲は、甲板と艦内であわせて「メタナイトの逆襲」としてアレンジされることも多い。『大乱闘 スマッシュブラザーズ』シリーズでは「メタナイトの逆襲」という名のアレンジメドレーBGMとして登場。おおむね原曲もアレンジも「メタナイトの逆襲」として認識されているだろう。
そんな「メタナイトの逆襲」をアレンジしたのが、今回グラミー賞にノミネートされた「Meta Knight’s Revenge」である。“チップチューンアーティスト”であるButton Masher氏がアレンジに参加し、The 8-Bit Big Bandが演奏を担当。原曲の疾走感はそのままに、ジャズ調にアレンジされておりラグジュアリーさ漂う。一方で、チップチューンなども差し込まれるなど工夫も多い。すばらしい原曲と、小洒落たアレンジにより、ユニークなジャズサウンドになっているわけだ。
アレンジとはいえ、ゲームサウンドがグラミー賞にノミネートされるというのは興味深い。Best Arrangement自体が一風変わった部門ではあるが、そのなかでも異彩を放っている。ノミネートは、ザ・レコーディング・アカデミー会員の選考により決められているそうだ。ザ・レコーディング・アカデミー会員が、「Meta Knight’s Revenge」を選んだということなのだろう。
あくまでノミネート段階であるが、ゲームサウンドのアレンジがグラミー賞の候補に入ることが注目に値する。グラミー賞2022の発表は現地時間2022年1月31日におこなわれる予定だ。なお『星のカービィ』楽曲の公式アレンジとしては、カービィカフェに用いられた「サウンド・オブ・カービィカフェ」シリーズが存在する。同作のアレンジに興味をもったかたは、そちらの購入を検討するといいだろう。
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