台湾ホラー『還願 Devotion』が映画化へ。映画版『返校』のプロデューサーと監督が続投
台湾のインディースタジオRed Candle Gamesが手がける『還願 Devotion(以下、還願)』が、映画化されるようだ。プロデューサーおよび監督については、同スタジオ作品『返校 -Detention-』の映画版と同メンバーが続投する。udn遊戲角落など各現地メディアが報じている。
『還願』は、1980年代の台湾を舞台にしたホラーゲーム。プレイヤーはある男となり、仲睦まじい家庭が崩壊していく様を追体験していく。作中では現地の宗教や文化が色濃く描かれ、特有の恐怖を演出している。2019年にSteam向けにリリースされ、メディアやユーザーから高い評価を受けた。しかし、同作はリリース直後に大きな問題に直面していた。アセットの一部に政治的メッセージと取られかねない描写が発覚し、批判を浴びたのだ(関連記事)。
結果として、同作はSteamから取り下げられ、一時はゲーム自体が入手困難な状況にあった。現在はスタジオ公式ストアにて販売されている。『還願』はゲームとしての質を認められながら、いささか複雑な背景のある作品なのだ。一方で、同スタジオの過去作『返校 -Detention-』は各プラットフォームでの販売を続けていた。2019年には同作の映画化作品が台湾で成功を収めており、同年開催の中華圏の映画の祭典「第56回金馬奨(ゴールデン・ホース・アワード)」においては12部門にノミネート。2億6000万台湾元(約9億2700万円)以上の興行収入も記録し、同年の台湾映画では1位のヒットになっている。 日本でも同作が2021年に公開されたほか、Netflixでの実写ドラマ化もされるなど、広い展開を見せていた。
今回、『還願』を映画化すると伝えたのは、台湾の女優兼映画プロデューサーである李烈(Lee Lieh)氏だ。同氏は先ごろ、所属していた映画プロダクション「影一製作公司」から独立。自身のプロダクション「一種態度」を立ち上げて複数映像作品の制作に取り組むと発表した。その中で、『還願』の映像化権獲得と制作が告げられたのだ。
現地各メディアの報道によれば、『還願』映画版で監督を務めるのは徐漢強(John Hsu)氏。同氏と李烈氏は、『返校 -Detention-』 映画版にもそれぞれ監督とプロデューサーとして携わっている。つまり、今回の『還願』映画版は前作にて好評を博したタッグで再び取り組むかたちになる。前述の通り、『還願』はやや複雑な背景をもつタイトルだ。それでも映画化に向けた動きがあるのは、前作の成功に後押しされたとも考えられる。原作の陰鬱で衝撃的な物語が、どのように映画化されるのかも興味深い。なお、現時点では具体的な公開時期などは不明だ。続報に期待したい。
『還願 Devotion』はPC(RedCandle E-Shop)向けに配信中だ。
※ The English version of this article is available here