スクウェア・エニックスは10月27日、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の禁止事項およびアカウントペナルティーポリシーを変更した。禁止事項については主にRMT業者への対策として、パーティ募集掲示板に関する禁止事項が2つ追加された。また、禁止行為の内容に関して、具体例を挙げた説明を大幅に追記した。アカウントペナルティーポリシーについては新たにペナルティポイントに関する記述が追加されたほか、過去のペナルティからの経過日数によるペナルティポイントの減衰システムが導入された。
禁止行為の追加は、プレイヤー数の増加に比例して急増したRMT業者への対策が主な目的となる。『FF14』では2021年7月ごろから有名ストリーマーの影響でプレイヤー数が急増しているが、人口増加に比例するようにRMT業者による宣伝が増加しているという報告が公式フォーラムなどに寄せられていた。しかし、これまで運営側としてはRMTに関する調査をおこなったうえでペナルティを実施しており、ペナルティ実施まで時間を要していたようだ。今回、RMT業者が日常的に使っている手段を禁止行為に指定することで調査の時間を削減し、より迅速にペナルティを課すことが可能となる。『FF14』においてRMTや代行行為はもともと禁止されていたが、調査に時間を割かず、より迅速にペナルティを課すために規約を強化したかたちである。
まず1つ目の禁止行為として、「パーティ募集掲示板において、他者のコンテンツのクリアやアイテムの入手等の手助けを目的とした活動を宣伝する行為」が追加された。これにより、パーティ募集掲示板において、コンテンツのクリアやアイテム入手の手助けに関する宣伝をおこなう行為が禁止される。RMT関連でレイドコンテンツクリアやアイテム入手の手助けとして代表的なものとして、『FF14』最高難易度レイドである「絶」シリーズのクリア代行が挙げられる。そのほかにも「零式」装備のロットを全て融通するといった募集や、時間のかかる周回コンテンツを手伝う行為も禁止行為にあたるとみられる。また、対価はリアルマネーに限らず、ゲーム内通貨のギルでやりとりすることも禁止行為にあたる。
注意したいのが、あくまで「手助けをする側の活動の宣伝」が禁止行為であって、手助けを受ける側がパーティ募集をおこなうのは禁止行為には該当しないことだ。例として「(コンテンツ)クリアを手伝ってください!100万ギル支払います!」「(コンテンツ)のアイテムがほしいです。入手できたら100万ギル支払います」という内容は禁止行為に該当しないことが明示されている。ドロップアイテムのロット権を譲ってもらったり、コンテンツの手伝いの対価をギルで支払ったりといった「傭兵募集」は、『FF14』の高難易度コンテンツにおいてよく見られる募集内容だった。今後も手助けを受けたい側が傭兵の募集をするのであれば禁止行為にはあたらないが、傭兵としての活動宣伝は禁止行為となってしまうため注意が必要だ。
追加された禁止行為の2つ目は、「パーティ募集掲示板の目的から著しく外れた募集を行う行為」である。近ごろ急増していたRMT業者による宣伝は、パーティ募集の一番上にくる「コンテンツルーレット」のカテゴリでおこなわれることが多かった。当然ながら「コンテンツルーレット」カテゴリはコンテンツルーレットに一緒に行くプレイヤーを募集するためのカテゴリで、通常のゲームプレイが阻害されてしまうことが問題となっていた。今回の禁止行為追加により、カテゴリの目的から著しく外れた募集をおこなうことは禁止される。パーティ募集には「その他」カテゴリが存在するため、プレイヤーイベントなどはそちらで宣伝しよう。
また、RMT業者への対策とは別に、禁止行為の内容に関して、具体例を含めた説明が大幅に追加されている。こちらは主にコミュニケーション面の具体例で、ハラスメントや迷惑行為の具体例を挙げており、執筆にかなり力を入れられていることがうかがえるボリュームだ。わいせつな表現や明らかな暴言を禁止するにとどまらず、コンテンツ攻略に際して他者に意見を述べる際のポイントなどにも踏み込んでいる。ゲームの規約としてはある意味かなり異質で、対人コミュニケーションを円滑に進めるうえで必要なことがわかりやすく噛み砕かれた内容だ。特に高難易度コンテンツをプレイしているとよく見かけるようなやりとりも掲載されており、普通にプレイしているプレイヤーであっても身の引き締まる思いがする。大幅な加筆ということもあり文量は多めだが、プレイヤーであれば一度は通読しておきたい。
アカウントペナルティポリシーの改定では、ペナルティポイントに関する説明が追加された。『FF14』では違反行為をおこなったプレイヤーにペナルティポイントが付与され、ポイントの合計に応じて科されるペナルティの内容が決定される。ペナルティポイントについて具体的な判定基準などは非公開だが、今回の改定でこのペナルティポイントの減衰システムが追加された。理由としては「過去のペナルティが永遠に残り続けることで、逆に再犯を生んでいるケースがある」ことが挙げられている。減衰するとはいえ、短期間でペナルティポイントが消えるわけではない。一番軽いペナルティであっても最低1年間はポイントは減衰せず、長期に渡って健全なプレイ意識を育んでもらうことを目的とした改定だ。
本日の規約改定により、跋扈するRMT業者への対策強化を打ち出した『FF14』。RMT業者への対策とあわせ、プレイヤー同士のコミュニケーションについての具体的禁止発言例も公開された。RMT業者のようなどこから見ても禁止行為をおこなっている存在とは違い、コミュニケーションにおいて禁止行為の境界線を引くのは難しい。改定告知ページにもあるように、「禁止行為の理解を深めようと思ったり、自身のプレイや発言をする際に迷うことがあったりした際の、ひとつの参考例 」として扱っていこう。
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