『Call of Duty』チーター撲滅を掲げる新アンチチートツール、発表翌日にシステムファイル流出の疑い。宣戦布告からの爆速流出にコミュニティどよめく
Activisionが10月14日に発表した新アンチチートシステム「RICOCHET Anti-Cheat」について、ハッカー側にやや不穏な動きが見られたようだ。10月15日、同アンチチートに用いられていると称するファイルが、チート関連フォーラムにて公開されたのだ。この動きをアンチチート関連情報を伝えるSNSアカウントが取り上げ、話題を呼んでいる。
「RICOCHET Anti-Cheat」は、Activisionが先ごろ発表した新アンチチートシステム。このシステムは『Call of Duty: Vanguard』の発売とともにローンチされ、年内には『Call of Duty: Warzone』にもアップデートとともに実装される予定だ。同アンチチートの特徴としては、新たにPCのカーネルレベルドライバが同梱される点がある(関連記事)。
このカーネルレベルドライバは、簡単にいえば「一般的なソフトより強い特権をもつソフトウェア」だ。PCは基本的に、WindowsやLinux、macOSなどのOS(オペレーティング・システム)を通じてユーザーに機能を提供している。「RICOCHET Anti-Cheat」は一般的なソフトウェアと異なり、OSに近しい層で動作するカーネルレベルドライバを提供するため、さらなる堅牢性が期待できるのだ。
Windowsにおいて、ドライバのシステムファイルは基本的に「.sys」という拡張子をもつ。今回Web上に共有されたのは、「RICOCHET Anti-Cheat」のドライバと称する.sysファイルだ。ファイルは海外のチート関連フォーラムに投稿された。同投稿はTwitter上でアンチチート関連情報を届けるアカウントであるAnti-Cheat Police Departmentによって取り上げられ、ユーザーの多くの反響が寄せられている。
まず、今回共有されたファイルの真贋について。上述ツイートのスクリーンショットおよび筆者の調査により、同ファイルは実際にActivisionによるデジタル署名がなされていることが確認できた。また、ファイルが共有されたフォーラムスレッドでは、このドライバファイルの解析情報とするコメントが書き込まれている。しかし、このファイルが本当に「RICOCHET Anti-Cheat」から流出したものと断定はしかねる状況だ。
今回の報について、もちろん懸念を示すユーザーもいる。一方で、アンチチートが破られてしまう懸念よりも、発表直後の出来事におもわず笑ってしまう気持ちの方が大きいユーザーもいるようだ。Activisionは先ごろ、「RICOCHET Anti-Cheat」の予告としてチーターたちに対し大々的な“宣戦布告”をおこなっていた(関連記事)。注目を集めた矢先の出来事に、コミカルさを感じてしまうユーザーもいるのだろう。
繰り返しになるが、今回流出したファイルが本当に「RICOCHET Anti-Cheat」由来だという保証はない。また、同アンチチートはカーネルレベルドライバ実装のみならず、複数の対策を組み合わせた構想だ。具体的にはサーバー側の分析監視ツール刷新や、調査プロセスの改良などのチート対策が盛り込まれている。今回のファイルがたとえ本物だったとしても、直ちに「RICOCHET Anti-Cheat」の有効性がまったく損なわれる事態にはなりづらいだろう。
発表直後にファイルリーク疑惑が持ち上がり、いささかの懸念はある。しかし、「RICOCHET Anti-Cheat」の真価が問われるのは『Call of Duty: Vanguard』ローンチ後である。新アンチチートを引っさげたActivisionとチーターの開戦の狼煙は、まだ上がってはいない。
『Call of Duty: Vanguard』は「RICOCHET Anti-Cheat」とともに、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Battle.net)向けに11月5日発売予定。同アンチチートは『Call of Duty: Warzone』にもPacificアップデートとともに年内導入予定だ。