『テイルズ オブ アライズ』が、PCプラットフォームSteamにて好調な滑り出しを見せている。同作は発売から間もなくしてSteamにおけるピーク同時接続者数が6万人を超えており、同プラットフォームにおける過去作をしのぐ評価とプレイヤー人口を獲得したようだ。
『テイルズ オブ アライズ』は、9月10日(コンソール版は9月9日)に発売された、バンダイナムコエンターテインメントが手がけるRPGシリーズの最新作。敵対する姉妹惑星ダナとレナを舞台に、鉄仮面の青年アルフェンと同族から追われる少女シオンのふたりを中心とした物語が展開される。本作はエンジンにUnreal Engine 4を採用し、アニメ調の雰囲気を残しつつも進化したビジュアルや、従来シリーズに比してテンポの早いダイナミックなアクションといった要素を盛り込んでいる。
『テイルズ オブ アライズ』がゲームプレイの進化を志した理由のひとつには、『テイルズ オブ』シリーズの新規プレイヤー獲得数の低迷があったようだ。同シリーズのゲームプロデューサーを務める富澤祐介氏は、過去のインタビューで本作の目標として目標として「海外プレイヤーの増進」および「若年層プレイヤーの獲得」を掲げていたほか、8月には新規プレイヤー数獲得における苦戦を吐露していた(関連記事)。
幸いにも、富澤氏および開発チームの意思と努力は大きく花開いたと見られる。『テイルズ オブ アライズ』は予約受付開始直後から、Steamにおける全世界売り上げランキング上位に登場(関連記事)。発売後も好調にプレイヤーを獲得し、記事執筆現在で最大約6万人のSteam同時接続者数を記録している(SteamDB)。
参考として、過去Steamにて国内外に展開していた『テイルズ オブ』作品のピーク時接続者数は、『テイルズ オブ シンフォニア』が1414人、『テイルズ オブ ヴェスペリア』リマスターが3450人、『テイルズ オブ ゼスティリア』が9696人、『テイルズ オブ ベルセリア』が8085人で、合算して約2万2645人である。(いずれもSteamDB調べ)。つまり、『テイルズ オブ アライズ』単体で、過去作品のピーク接続者数すべて足した数字を上回る結果を叩き出したのだ。
本作はPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けにも配信されているため、Steamのデータのみで本作売り上げの全容を推し量るのは難しい。しかしながら、6万人という同時接続者数はSteam全体で見ても上位に食い込む数字であり、シングルプレイ向けのJRPGとしてはヒット作といって差し支えない好調だ。また、Steamに展開しているバンダイナムコ発RPG作品としては、ピーク時同時接続者数1万4516人を記録した『スカーレットネクサス』や、3万3895人と好調だった『CODE VEIN』などを凌ぐ記録であり、まさに同社名物シリーズとしての復権を果たした印象だ。
『テイルズ オブ アライズ』はSteamユーザーレビューでの評価も堅調だ。同作には記事執筆現在で3509件のレビューが寄せられており、そのうち92%が好意的な「非常に好評」ステータスとなっている。爽快な戦闘やキャラのかけあいといったシリーズの魅力はそのままに、重厚で壮大な物語が展開されるほか、システムやUI面などの配慮が行き届いている点が、評価されている。ゲーム内で自己主張が強く、成長ブーストや術技などに関わるDLCについて批判は寄せられているものの、ゲームの完成度の高さから、総合的には好評を下すユーザーが多いようだ。
筆者がSteamのAPIを利用して調査したところ、うち日本語レビューは127件とやや少ない。一方で英語でのレビューは1329件、中国語でのレビューは1234件と多くの海外ユーザーが感想を寄せている。この傾向には、国内におけるSteamユーザーが比較的少ないという点も影響しているだろう。いずれにせよ国外からのレビューが多い傾向は、開発側が目指した海外ユーザーへの訴求に成功した結果とも考えられる。
なお、Steamにおいて過去展開していた『テイルズ オブ』シリーズは、『テイルズ オブ ヴェスペリア』リマスターを除いてすべて国外向けだった。今回、国内も含む世界同時展開となった『テイルズ オブ アライズ』が好調を見せたことで、バンダイナムコエンターテインメントのマーケティング方針に変化があらわれるかは興味深い点だ。
『テイルズ オブ アライズ』は、PC(Steam)およびPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S/向けに発売中。