『Fallout: New Vegas』 開発者が“ファンから受けた無茶振り”を明かす。ディスクが送りつけられ「直して返せ」

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Bethesda Softworksが2010年に発売した『Fallout: New Vegas』について、当時の主要開発者だったJosh Sawyer氏がSNS上でほろ苦い出来事を振り返っている。

Sawyer氏はかつてBlack Isle Studiosにて『Icewind Dale』開発に参加し、2005年にObsidian Entertainmentに移籍してからは『Neverwinter Nights 2』などのRPG作品に携わった。近年では『Pillars of Eternity』シリーズにてプロジェクトディレクターを、『The Outer Worlds』ではデザインディレクターを務めており、海外RPGファンにとっては比較的知名度の高い開発者だ。同氏はObsidian Entertainmentが開発を担当した『Fallout: New Vegas』において、リードデザイナー、およびプロジェクトディレクターとして作品の中核を担っていた。

Sawyer氏が自身のTwitterアカウント上に8月31日投稿したのは、一枚の画像だ。写真にはPlayStation 3版の『Fallout: New Vegas』パッケージと、貼り付けられた一枚のメモが収められている。メモに書かれたメッセージは「直して返して(Please fix and return.)」。同氏によれば、このパッケージは誰かから同作発売翌年の2011年に送られてきたものだという。
 

 
なぜ、「直して返して」なのか?それは、PlayStation 3版『Fallout: New Vegas』が多数の問題を抱えていたためだ。同作はPCおよびPlayStation 3/Xbox 360向けにリリースされており、コンソール版については国内展開もされた。PC版については現在でも盛んにModが開発されるなど、『Fallout』シリーズのなかでも根強い人気を誇っている。一方でバグやフリーズの多さが目につくとする批判も多く寄せられ、特にコンソール版についてはかなり苦しい状況にあったのだ。

今回のツイートで「直して返して」とされたPlayStation 3版についても、リリース後間もなくバージョン1.1および1.2とバグ修正パッチがあてられたものの、「バグ修正でバグが増えた」というユーザーの意見が出る有様だった。2011年にリリースされた現行最新バージョンの1.7パッチを経てもなお、多くの不具合やパフォーマンスの問題が残っているとされ、バグの情報も錯綜している。Sawyer氏に送られた同作パッケージとメモは、不具合の多さへの当てつけと皮肉を込めたものだったのだろう。
 

 
当時においてはSawyer氏も「不具合はPlayStation 3のメモリ容量の問題である」と伝えるなど対処に真剣に取り組んでいた。しかし、リリースから10年を経た現在では懐かしい思い出になっているようだ。同氏は続くツイートで「俺がPlayStation 3のディスクを直す映像」とコメントしつつ、映画「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」でニコラス・ケイジが死神の鎌か斧のような武器を作り上げるシーンを抜粋するジョークを飛ばしている。
 

 
同氏の一連のツイートには、リツイートやリプライなど多くの反応が寄せられている。そもそもディスクを直接送りつけて「これを直せ」という行動がやや突飛でおもしろいことと、10年前の出来事という郷愁がコミュニティの関心を誘ったのだろう。

なお、Sawyer氏は開発者でありながら、『Fallout: New Vegas』の難易度を上げる方向でゲームバランスなどを調整する同作PC版向けMod「JSawyer」を個人的に公開している。また、今年に入ってからも大型Modがリリースされるなど同作の人気は健在だ(関連記事)。

マルチプラットフォーム展開が当たり前となった昨今でも、各機種での不具合やパフォーマンス問題などはしばしば取り沙汰される。今後「このディスクを直してくれ!」と悲鳴をあげるユーザーが発生しないことを祈りたい。

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