『ポケモンユナイト』のプレイヤー素行評価システム「フェアプレイポイント」に注目集まる。度重なる悪質行為にはマッチング出禁も


株式会社ポケモンは6月24日、『ポケモンユナイト(Pokémon UNITE)』Nintendo Switch版のネットワークテスト版を配信開始した。基本プレイ無料のMOBA作品である本作のシステムが、テスト版ながらしっかりと体験できる内容となっている。なかでも、プレイヤーの振る舞いによって報酬、またはペナルティが与えられる「フェアプレイポイント」システムが、一部コミュニティの注目を集めているようだ。


本作は、株式会社ポケモンとTencent Gamesのゲーム開発部門TiMi Studiosが共同開発した、5対5の戦略バトルゲームだ。TiMi Studiosは『伝説対決 -Arena of Valor-』といったMOBAと呼ばれるジャンルの作品を手がけており、本作のゲームシステムもMOBAの系譜にあたるものとなっている。また本作は、経験値を貯めてトレーナーランクを上げることで報酬がアンロックされていく、いわゆるバトルパス方式の報酬システムや、プレイヤーランキング、プロフィールといったソーシャル要素など、基本プレイ無料ゲームでは比較的ポピュラーな要素を盛り込んでいる。

なかでも、一部コミュニティの興味を引いたのが「フェアプレイポイント」システムだ。プレイヤーはそれぞれ100点のフェアプレイポイントを持っており、ゲーム中の振る舞いによってはこれが増減し、点数にあわせて報酬やペナルティが発生する。具体的には「試合中の長時間のバトル放棄で-5ポイント」など、悪質な行為をおこなうと減点され、「ランダムマッチの完了で+2ポイント」といったように、試合を完了させることで加点される。なお、1日の加点は+5ポイントまでに制限されており、悪質な行為を連続プレイで帳消しにする、といったことは難しくなっている。


このフェアプレイポイントには報酬が用意されている。90以上をキープしていれば、ポケモンをアンロックする「ユナイトライセンス」購入などに使えるゲーム内通貨「エオスコイン」が20枚手に入る。一方で、フェアプレイポイントが90未満になれば報酬は無し。さらに80未満になれば「ランクマッチ参加禁止」、60未満で「スタンダードバトルのランダムマッチ禁止」と徐々に重いペナルティが課されることになる。60未満になれば、NPC相手の対戦で+1ずつポイントを取り戻すしかなくなるのだ。その名のとおり、プレイヤーのフェアプレイを促すことを目的としたシステムとなっている。

なお、TiMi Studiosが過去に手がけたMOBA作品『伝説対決 -Arena of Valor-』にも同様のシステムが導入されている。こちらは「Credibility Score(信頼性スコア)」と呼ばれるもので、基本的な仕組みは『ポケモンユナイト』のフェアプレイポイントと同じだ。

しかし、信頼性スコアについては他プレイヤーからの通報などによってもスコアが増減するようになっているほか、減点の幅は大きく、加点は小さい傾向になっている。たとえば試合を途中で諦めた場合最大10ポイント失うことに対し、試合を完了して得られるポイントは1。一方で『ポケモンユナイト』のフェアプレイポイントは、加点の幅も大きめ。信頼性スコアシステムを、より幅広いプレイヤー向けに調整したものと見られる。


類似のシステムを備えたゲームはほかにも存在している。そのひとつがMOBAジャンルゲームの代表とされる『リーグ・オブ・レジェンド』に実装されている「名誉レベル」システムだ。こちらは「フェアプレイを促す」という目的自体は似通っているものの、フェアプレイポイントとは逆で「ペナルティを受けるとレベルが下がる」という仕組みになっている。レベルが上がった際の報酬は比較的豊富に用意されており、レベルを上げることによる“うまみ”に重きを置いて、公正なプレイを促している。

SNSなど国内コミュニティでは、フェアプレイポイントについてはおおむね肯定的な意見が多く見られるようだ。具体的には、「悪質なプレイヤーが除外される」「ほかのゲームにも導入してほしい」といったコメントや、「『リーグ・オブ・レジェンド』の名誉レベルもこの形式にしてほしい」とする意見が投稿されている。MOBAタイトルでは、ゲームシステムの関係もあってか、暴言を吐くなどプレイヤーが悪態をつきがち。本作に関しては、『ポケモン』を冠したMOBAタイトルということで、幅広い層のユーザーが遊ぶことが想定される。小さな子供が大人のプレイヤーに傷つけられて心にダメージを負う、といったことも起こり得る。フェアプレイポイントが話題を集めた理由として、そうした懸念もあるのだろう。

現状では1マッチで40枚のエオスコインが手に入るなか、フェアプレイ報酬は20枚となっている。この報酬が適切かどうかは、プレイヤーによって意見が変わりそうだ。しかしながら、『ポケモンユナイト』は現在テスト段階であり、正式リリースおよび今後のアップデートで、フェアプレイポイントに関する調整が入る可能性はある。コミュニティの注目を集めるこのシステムが、本作のプレイヤーベースにどう作用していくのか、正式リリースを楽しみにしたい。

ポケモンユナイト』Nintendo Switch版は、2021年7月に正式リリース予定。現在実施中のネットワークテストは、6月26日23時59分に終了予定だ。2021年9月にはiOS/Android版も配信が予定されている。