『FF14』にて、最新パッチのすべてのオオヌシが釣り上げられる。実装から2週間、ヌシ釣り愛好家たちの研究によって判明したオオヌシの棲み家

スクウェア・エニックスが運営するMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』で、5月25日に公開のパッチ5.55で実装されたオオヌシの釣り上げ条件がすべて判明した。「漆黒のヴィランズ」における漁師たちの戦いはひとつの区切りを迎えたと言えるだろう。

スクウェア・エニックスが運営するMMORPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)で、5月25日に公開のパッチ5.55で実装されたオオヌシの釣り上げ条件がすべて判明した。6月10日の早朝には実装されているすべてのヌシを釣り上げた称号「Big Fish」を手に入れたプレイヤーも現れ、「漆黒のヴィランズ」における漁師たちの戦いはひとつの区切りを迎えたと言えるだろう。いえてぃ君氏はTwitterにて、6月10日早朝にヌシコンプリート称号「Big Fish」を獲得したことを報告した。Big Fishは今回実装されたオオヌシだけでなく、これまでに実装されたすべてのヌシ・オオヌシを釣り上げることで手に入る称号だ。現時点でいえてぃ君氏以外の報告は見つからず、称号の獲得は世界初とみられる。


『FF14』には釣り場ごとにヌシと呼ばれる大物の魚が存在し、大型拡張パッケージの最後のパッチには、各エリアに「オオヌシ」と呼ばれるラスボス的存在のヌシも追加される。5月25日にリリースされたパッチ5.55では、パッチ5.Xシリーズのオオヌシとして6種類の魚が実装された。ヌシやオオヌシは釣り場のみがわかる状態で実装され、漁師たちはヒットする時間帯や天候などの条件について、まったくの手探りの状態から探し当てていくこととなる。魚の設定や過去のオオヌシの傾向などから漁師たちが釣り上げ条件を特定していく様子は拡張パッケージ最後の恒例行事ともなっており、今回のオオヌシもプレイヤーの間で情報交換が盛んにおこなわれていた。

パッチ5.55で実装されたオオヌシは「アクアマトン」「ロンカの大水蛇?」「ミズウオ」「リストラカントゥス」「イラッド・スカーン」「サプライズエッグ」の6種類だ。ヌシ釣り愛好家たちはこれまで試行錯誤を重ねて情報交換をしていたが、イラッド・スカーンとサプライズエッグについては実装から2週間以上も実際に釣り上げたプレイヤーはいなかった。そんななか、6月7日の0時過ぎごろにイラッド・スカーンの釣り上げ報告が上がる。パッチ4.Xシリーズのオオヌシ「神々の愛」のような超短時間のヌシで、別の天候から「快晴」へと移ろいが起こった際に釣れるのではないかという予想のもとの釣り上げだったようだ。6月10日現在も条件は確定されてはいないものの、雷雨から快晴への移ろい天候時、23時30分(エオルゼア時間)から30分だけ釣り上げのチャンスがあるという見解が有力視されている。


残すはサプライズエッグのみとなっていたオオヌシの捜索だったが、7日の夜、釣り上げはならずともオオヌシと思われる手応えを残して逃げられたという報告があった。すな氏はTwitterにて、砂塵から灼熱波へと天候が移ろった1時20分(エオルゼア時間)ごろに、サプライズエッグと思われる竿のしなりを観測したことを報告。直近で同様の条件が重なるタイミングは6月10日の早朝5時30分と6時40分の2回であることが、多くの漁師の間で共有された。このタイミングを逃すと、次回のサプライズエッグ釣り上げチャンスは10日後の6月20日。ヌシ釣り愛好家たちは少ないチャンスをモノにすべく、10日の早朝からサプライズエッグが潜むアム・アレーンの釣り場「砂の川」へと集合したのである。

https://twitter.com/chacha4157/status/1401847534566338565


サプライズエッグを釣るためにはちょっとした“仕込み”も必要であり、事前の準備にやや時間を要する。オオヌシのなかには釣り上げのために「漁師の直感」バフをつける必要がある魚もおり、サプライズエッグの場合は「サンドエッグ」を10匹釣りあげることが要求されるのだ。サプライズエッグが釣れると予想されている時間は0時から2時の間。現実時間にしておよそ5分程度である。本戦中に悠長に仕込みをしている余裕はないため、0時までにサンドエッグを9匹釣っておき、アビリティ「セイムキャスト」(直前に釣れた魚と同じ魚を釣る効果)を使っておくのがベターと言えるだろう。そして本戦直前、ちょうど0時になるタイミングを見計らって10匹目のサンドエッグを釣り上げると、ようやくオオヌシとの戦いに挑むことができる。そこからはサプライズエッグに狙いを定め、ひたすら砂海にルアーを投げ込み続けることとなる。

筆者が訪れたワールドの釣り場でも、早朝5時頃から何人もの漁師たちが竿を投げ込んで仕込み作業に勤しんでいた。漁師たちは世界ではじめて謎のタマゴを釣り上げるべく、そしてオオヌシをすべて釣り上げたという名誉を得るべく、砂嵐の吹きすさぶ枯れた大地へと集合したのである。ある者は釣り上げを果たして雄叫びを上げ、ある者は手応えのみを残して逃げられ落胆して。釣果はさまざまであったが、釣れた者も釣れなかった者も、誰もがこのお祭り騒ぎを楽しんでいたように感じられた。

早朝のアム・アレーンの様子


すべてのオオヌシの釣り上げ報告が出揃い、『FF14』の漁師たちの戦いは一区切りを迎えた。しかし、条件の判明はゴールではなく、多くのヌシ釣り愛好家たちにとってスタート地点であるとも言えるだろう。オオヌシがオオヌシたるゆえんは、その「釣りにくさ」にある。そもそも釣り上げチャンスが少なかったり、針にひっかかっても異常に逃げやすかったり、漁師の直感バフを得るのが非常に面倒だったり、といった具合である。パッチ4.Xシリーズのオオヌシ「紅龍」が顕著であるが、半年近く通い詰めてもまったく釣れない、という例もある。釣り上げ条件が判明しても、簡単に釣れるとは限らないのがオオヌシなのだ。

今回実装された6種類のオオヌシでの釣り上げ報告は、釣り上げチャンスの少ないオオヌシが最後まで残っていた。チャンスが来ないというのもなかなか厄介な部類に入るが、この2匹以外のオオヌシもなかなか凶悪な釣り上げ条件のものが揃っている。ミズウオは漁師の直感バフのために現実時間で数時間釣り場に軟禁されることもあるし、ロンカの大水蛇?はエサとなるヌシ「ロックワの衛士」がびっくりするほどかからない。ヌシのコンプリート称号は気が遠くなるほどの試行回数をこなす根性と、実際に釣り上げる運をモノにすることでようやく手が届くものなのだ。いえてぃ君氏のヌシコンプリート報告は、まさにその根性と幸運の上に成り立ったものと言えるだろう。釣り上げるまで何度も挑戦が必要なオオヌシには根気よく通い詰め、イラッド・スカーンとサプライズエッグについては釣り上げ条件が判明した直後のチャンスをしっかりとモノにしている。多くの漁師たちの情報交換によって特定された条件を基盤に、釣れなくとも根気強く釣り場へ通う精神力と、確率に勝利する運の良さ。いえてぃ君氏のBig Fishワールドファーストは、この3つが揃って成し遂げられた偉業と言えるだろう。

漁師たちの情報交換によってオオヌシの居場所がすべて判明した『FF14』。しかし、漁師たちの戦いはまだ続いている。なお、本稿はテンペストのオオヌシであるミズウオを待つ時間で書き上げられたものである。

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Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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