Bungieは5月27日、同社が提供するオンラインFPS『Destiny 2』の調整計画について発表した。発表には、同作のPvP(対人戦)シーンにおいて大きなトピックとなり続けていた、サブクラス「ステイシス」の広範な弱体化が含まれている。実装以降、コミュニティの話題になることも多かった要素に手が入るということで、プレイヤーたちからは大きな反響が寄せられている。
ステイシスは、大型DLC「光の超越」で追加されたサブクラスだ。「敵を凍結させて動きを止める」というデバフ能力をもち、その強力な特性ゆえにしばしば批判の的にされてきた。というのも、接敵してから勝敗がつくまでが早いPvPにおいては、「動きを止める」という能力自体が非常に強力であるためだ。
強力なだけではなく、凍結されたプレイヤーは「凍結解除以外の操作を受け付けなくなる」というストレスを強いられるのも、問題視されている点。コミュニティからは同サブクラスの弱体化を望む声が継続的に上がっており、最近ではTwitter上で「#nerfstasis(ステイシス弱体化しろ)」ハッシュタグがトレンド化するなどの現象も起きていた(関連記事)。
今回の発表でBungieは、「ステイシスがクルーシブル(対人戦モード)においてあまりにも支配的」とするコミュニティの意見に、同感すると述べている。開発チームは、ステイシスとそれ以外のサブクラスとのPvPモードでのバランスを取ることを目標としているそうだ。
またBungieは、PvPについて「(スキルに対し)ガンプレイが後れを取っているように感じられる」として、スキルと銃撃戦のバランスが取れていないとの見解を表明している。たしかに、現環境は凍結スキルの応酬のようになっている面もある。Bungieはステイシスに限らず、全クラスの調整を通じて、PvPのバランスをスキル合戦から銃撃戦寄りにしていく方針のようだ。
同記事では具体的な修正内容についても紹介されている。まず、ステイシス全体について、スキルによる凍結の持続時間を1.35秒に短縮するとのことだ。もちろん、依然として対人戦では致命的な凍結時間。しかしながら、現環境では凍結を食らうと2秒は身動きが取れないため、大幅な短縮となる。また、凍結時間の短縮にともない、凍結解除操作ができなくなるそうだ。いずれもスーパースキルについては現在の仕様を保つとのこと。
ほかにも、凍結状態に並ぶ「遅延」デバフ状態の弱体化が予告されている。遅延状態は、「移動速度低下」「武器の精度が落ちる」そして「通常スキル使用不可」という強力な効果をもつ。こちらについては、移動速度の低下が緩和され、デバフ状態でもスキルの使用が可能になる。そして、精度の低下がなくなるかわりに、銃撃をうけると照準がぶれる「ひるみ」が増加する、といった大幅な変更がなされる予定だ。
ステイシスについては、上記以外にも広範にわたる性能弱体化が予告されている。以前から継続して弱体化がおこなわれていたステイシスに、本格的にメスが入るかたちだ。内容は細に入っており、『Destiny 2』に存在する3つのメインクラスそれぞれに、固有ステイシススキルごとの調整がなされる。具体的には前述の「#nerfstasis」運動の一端になったハンタークラスの「冬の気配」の弱体化や、タイタンクラスのスライディングスキル「クライオクラズム」の発動に1.25秒の助走が必要になる、などだ。
『Destiny 2』コミュニティの反応は、おおむね今回の発表を歓迎するものが中心だ。海外掲示板Redditの『Destiny 2』対人戦コミュニティ/r/CrucibleGuidebookでは、今回の調整予告を伝えるスレッドにプレイヤーたちから声が寄せられている。スレッド内では「神様マジありがとう」とシンプルに喜びを表現するユーザーや、「対人戦を忌避していたが、やっとプレイできる」と述べるユーザーなど、ステイシス弱体化の喜びをあらわにする声が見られる。
一方で、この調整に異議を唱えるユーザーも存在する。同サイトのほかの『Destiny 2』コミュニティ、/r/DestinyTheGameには、タイタンクラスを愛用するユーザーの意見が投稿されている。タイトルは「クライオクラズムの弱体化はいいが、タイタンの移動関係スキルほぼすべてに助走が必要なのはいらだたしい」というもの。
実をいうと、今回の弱体化予告を3種のメインクラスごとに見た場合、もっとも広範な弱体化を受けているのは、タイタンのステイシスサブクラスである「ベヒーモス」だ。Bungieによれば、主要なゲームモードでトップレベルの勝率を誇っているのがベヒーモスとのこと。そのため、重点的に手がくわえられるのかもしれない。
『Destiny 2』の対人戦では、素早く接敵や避難をおこなえる、瞬発力ある移動スキルが重視される。ハンタークラスは全サブクラスを通じて回避スキルを保有。ウォーロッククラスは、サブクラス「ドーンブレード」で空中ダッシュを利用でき、こちらもPvPで強力だとされるクラスだ。一方でタイタンは、スライディング速度の上がるクライオクラズムと、空中タックルが可能な「氷結の一撃」を軸とするスタイルが主流になっていた。その双方が、今回の弱体化の対象となってしまったのだ。
上記のタイタンユーザーは投稿にて、今までのベヒーモスが強力過ぎたことを認めつつも、今回の調整は移動スキルについて比較的不遇のタイタンにとって、あまりに酷ではないかという思いを綴っている。同スレッドは記事執筆現在、750あまりのUpvote(高評価)を集めており、返信欄では議論が活発だ。今回の弱体化予告も歓迎一色ではないということを示しており、バランス調整の難しさを感じる。
ついに実装される見込みとなった、ステイシスの大幅弱体化。大枠としてはプレイヤーたちが喜ぶ内容となったものの、クラス間のバランス調整は一筋縄にはいかないようだ。本記事で割愛した、多岐にわたる調整内容については、「今週のBUNGIE」を確認されたい。