海外ユーザーが『DOOM』をプレイアブルGIF化。力業でクラウドゲームになった紙芝居状態の名作FPS

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名作FPS『DOOM』を、Webページ上のGIF描画で遊べるようにした海外ユーザーがあらわれた。力技ながら、広義のクラウドゲーミングとも言える仕組みになっている。ことあるごとにさまざまな媒体でプレイ可能にされる『DOOM』が、また新たな場所に出現した。 
 

 

『DOOM』は1993年にリリース、今なお愛され続けるFPSゲームの金字塔だ。同作はソースコードが公開されており、ゲーム制作技術の歴史的にも重要なタイトル。一方、その移植の容易さを利用し、現在においても『DOOM』をいろいろな媒体でプレイ可能にするユーザーがあとを絶たない。最近ではスマート冷蔵庫や、果ては妊娠検査キットで『DOOM』を描画した例がある(関連記事)。「とりあえず『DOOM』を動かしてみようぜ」というのは、もはや一種の文化と言えるだろう。 

今回、『DOOM』のWeb移植をおこなったのは、海外TwitterユーザーのAndrew Sillers氏。同氏は海外の二次創作コミュニティサイト、Archive of Our Own上に移植した『DOOM』を公開している。ページを開くだけで誰でもプレイ可能だ。この移植は海外コミュニティの話題となっており、同ページでは、主人公Doomguyがひっきりなしに操作されている。 
 

 
同氏が公開したWeb版『DOOM』は、描画をGIFでおこなっており、操作はリンクのクリックでおこなう。画面更新は秒間に1~4回程度という紙芝居状態であり、かなり力技の実装だ。しかしながら、動作の仕組みは広義のクラウドゲーミングといっても差し支えない、興味深いものとなっている。少々専門的な話にはなるが、以下に解説したい。 

まず、今回の『DOOM』はプレイヤーの端末上で動いているわけではない。ゲーム本体はSillers氏の設営したサーバーで動作しており、画面に表示されているのはそのスクリーンショットだ。プレイヤーが操作する際は、リンクをクリックしてSillers氏サーバーに操作情報を送信、それがゲーム内に反映される仕組みとなっている。 
 

Image Credit: !!Con / Andrew Sillers 

 
なお、今回移植先となったサイト、Archive of Our Ownにはゲームを動かすための特別な機能などはない。というのも、同サイトは前述のとおり二次創作作品を記録、共有するためのコミュニティとなっている。そのため、基本的には小説や絵などの投稿を想定したつくりになっている。今回の『DOOM』移植が話題となっている理由のひとつには、「え、そこで『DOOM』動かしちゃうの」という驚きもありそうだ。 

実をいえばこの仕組みは、概念的にはGeForce NOWやStadiaなどのクラウドゲーミングサービスと共通するものだ。もちろんSillers氏の移植版『DOOM』は実験作に過ぎない。高遅延、低フレームレートとなっており、ゲームとして楽しむことは難しい。『DOOM』ソフトウェア自体もひとつしか動いていないため、同じページを見ているプレイヤー全員の操作がすべて、同時に流れ込み、完全におかしな動きになっている。
 

Image Credit: !!Con / Andrew Sillers

 
しかしながら、この仕組みを極力シンプルに作り上げたのが興味深い点だ。Sillers氏版『DOOM』は、プレイヤー側については画面を表示するGIF画像1枚と、操作リンクURLのみで構成されている。すなわち、画像とURLを張れる場所ならどこでも『DOOM』を遊ばせることができるのだ。プレイヤーが使うブラウザーは、モバイル/PCを問わない。極論を言えば、やろうと思えばこの記事にさえ、Sillers氏の『DOOM』を簡単に埋め込むことができてしまうのだ。 

Sillers氏はGIF画像が、環境によって「ストリーミング動画」のような挙動を示すことに興味を持っていたようだ。Sillers氏のGitHubページによれば、実証実験としてライフゲームやテキストアドベンチャーなどを、今回と同様の手法でプレイ可能にしている。そうした実践を踏まえ、「これだけできるなら、『DOOM』だって動かせる」という発想の広がりにつながったようだ。 

Sillers氏はコンピューティング技術に関する催し「!!Con(Bang Bang Con)」に出演。今回の『DOOM』および過去の実験作品について解説している。その様子はYouTube上で公開(英語)されているため、興味のある方はぜひチェックしてみてほしい。 
 

 
ノウハウが厚く蓄積されていることもあり、なにかと技術的な挑戦の題材にされやすい『DOOM』。一発芸的な側面もあるものの、いろいろなプラットフォームに現れる『DOOM』はゲームの可能性を示すものでもあるだろう。次は一体どこに『DOOM』が出現するのか、楽しみにしたい。 

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