PS4ゾンビサバイバル『Days Gone』ディレクターが「発売時に支持されなかったゲームの続編は求めないでほしい」と発言。その言葉が出た背景とは

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『Days Gone』はPS4向けに発売中のゾンビサバイバルゲームである。同作は来月5月18日にはPC版の発売を控えている。より多くのプレイヤーが遊ぶことになるが、現在このタイトルはやや複雑な状況に置かれており、続編の計画についても不穏な報道がなされている。その『Days Gone』のライター/クリエイティブ・ディレクターをつとめたJohn Garvin氏(以下Garvin氏)が4月17日、YouTube上のインタビューで複雑な心境を明かした。VGCが報じている。

評価の割れるゲーム『Days Gone』

『Days Gone』は、賛否両論ある作品だ。リリース当初は不具合などもありメディアからの評価は低め。Metacriticにおけるメタスコアは、100点満点中で71と、大型タイトルとしては低い評価になっている。一方でユーザーからは根強い支持を集めており、記事執筆現在のユーザースコアは10点満点中で8.3と、メタスコアよりやや高い数字に落ち着いている。

2019年のGolden Joystick Awardsではすぐれた物語が評価され、「ベストストーリーテリング」を受賞するなど人気をあつめ、ファンからは続編を望む声があがっている。しかしながら、人によって評価の分かれる作品であり、遊んだ手段(フルプライス購入/セール購入/PSPlusフリープレイ)やプレイした時期によっても感想が変わってくるゲームであると言える。

続編開発中止報道

続編についても一部ユーザーから切望されていたものの、その望みはある報道によってほぼ断ち切られた 。というのも、Bloombergは4月9日、『Days Gone』続編の開発は中止となったと、独自ソースをもとに伝えたのだ。同紙は『Days Gone』制作元のSIEベンドスタジオが、別の開発会社ノーティードッグを支援するため分割され、『アンチャーテッド』新作、およびノーティードッグの新規IPの開発支援に割り当てられたと報道。

ほかにも、スタジオの扱いに不満を抱いたトップリード(指導的立場の開発者)を含むスタッフたちがスタジオを離脱したと伝え、『Days Gone』については開発期間の長さと発売当初に受けた不評を理由として、続編の計画が白紙化されたとしている。なお、同記事によればSIEベンドスタジオは現在、独自の新規ゲーム開発に路線を移したとしている。

『Days Gone』ゲームディレクターのJeff Ross氏はTwitter上で、機密保持契約に配慮した表現をしつつも、上記記事を執筆したJason Schreier氏のツイートを引用するかたちで、続編計画の存在と後の白紙化が事実だと暗に認めた。

上記のJeff Ross氏と、今回インタビューを受けたGarvin氏は昨年、それぞれ20年以上の長きにわたって在籍した『Days Gone』開発元であるSIEベンドスタジオを去っている。両名が不満を抱いてスタジオを去ったかは定かではないが、後述のインタビューの内容から察するに、すくなくともGarvin氏については円満とはいえない経緯での退社だったようだ。


そんな中、初代『ゴッド・オブ・ウォー』のディレクターを務めたことで知られるDavid Jaffe氏(以下Jaffe氏)は自身のYouTubeプログラム「GABBIN+GAMES」において、Garvin氏への生放送インタビューを実施。同放送は4時間以上にわたり配信された。Garvin氏はインタビューの中で『Days Gone』に関することのほか、SIEベンドスタジオで経験した苦労や、同スタジオをはなれる原因となった、自身のパーソナリティー(人格)問題について語った。

怒れるGarvin氏

インタビュアーのJaffe氏は以前同チャンネルに出演したJeff Ross氏の発言を引用しつつ、『Days Gone』がプレイヤーたちから愛されていること、PS Plusのフリープレイタイトルとして提供されたことで人気が上昇していることに触れ、それらのムーブメントについてどう考えるかGarvin氏に質問を投げかけた。

「既に会社から離れていたので特にはないよ。だけど見ているみんなが興味を持つかもしれない意見はある。そのうちのだれかは腹を立てるかもしれないけど」と前置きした上で、Garvin氏は語気を荒くして意見をのべた。

Garvin氏は「(特定の)ゲームが好きなら、定価で買いやがれ(If you love a game, buy it at fucking full price.)」と語ったのだ。また同氏はJaffe氏 から「遊ばずにどうしてそのゲームが好きになるかどうかわかるんだい?」と聞かれ、「たしかに遊ばずに好きかどうかは判断できないが、発売直後に支持を集められなかったゲームの続編が出なくても、不満を言わないでほしい」と答えた。

そして、発売直後から好調な売り上げを記録した『ゴッド・オブ・ウォー』を引き合いにだし、『Days Gone』の発売直後の売り上げが、ソニーにとって続編を実現するまでのラインに至らなかったのではないか、という自身の見解を明らかにしたほか、「手がけたゲームがメタスコア70点をとるようでは、そのフランチャイズのクリエイティブ・ディレクターは長く続けられないだろう」と語り、ソニーがMetacriticのスコアをビジネス上の判断材料として重視しているとの見解を示している。

Garvin氏は「(セールやフリープレイなどで)ゲームに触れる人が増えることは(実際の売り上げにくらべれば)ゲームの展開にとって重要ではない。ゲームを定価で買うことは、開発者を直接サポートすることだ」とも述べた。セールやPS Plusでのフリープレイなどで手に取るよりも、定価で購入した方がゲームタイトルの将来やスタジオの支えになるということだろう。


さらに、Garvin氏は自身が手がけた日本未発売のPSP用ゲーム『Syphon Filter: Dark Mirror』について触れ、同作を「駄目にされた」といい、その理由は海賊版の氾濫、そしてソニー(SCE/現SIE)の対応が追いつかなかったことであるとした。「数字は違うかもしれないが、海賊版サイトで『Syphon Filter: Dark Mirror』が20万回もダウンロードされていて腹が立ったし、“ポケットから金が抜き取られている”ような気持ちになった」とその時の心情を振り返っている。

ほかにもGarvin氏はインタビューの中で、SIEベンドスタジオを離れた理由は『Days Gone』のセールスや続編にまつわる問題ではなく、自身のパーソナリティーに原因があると語っている。Garvin氏は「100人規模のスタジオで、短気を起こしやすい人間がディレクター陣に居てはいけない」と述べ、SIEベンドスタジオの規模が拡大し、チームの人数が増えていくなかで、環境の変化に適応できなかったこと、それが原因となりスタジオを離れる結果となったことを認めた。

開発者としてのゲームを売ることの難しさ

Garvin氏の発言、とくにゲームの売り上げと続編に関する発言は英語圏のゲーマーコミュニティにも波紋を呼んだ。Twitterでは、今回の発言に触れたGarvin氏のツイートを引用するかたちで、「消費者に責任転嫁している」、「口を開く前にもっと考えた方がいい」といった批判の声や、「彼(Garvin氏)は間違っていない、私はクリエイターやゲームタイトルの未来を応援したいのでフルプライスで購入している」といった賛同の声など、さまざまな意見がよせられている。


今回のインタビューを行ったJaffe氏も、コミュニティの反響に応えるかたちで、「ジョン(Garvin氏)は企業がどのようにゲーム続編制作の決断をするか話しただけだ。ジョンは消費者のことを一番に考えている」とGarvin氏を擁護する意見をツイートしている。

ゲームの開発、販売もビジネスである以上は、売り上げや評価をもとにした“ビジネス的判断”は避けられないことだろう。今回のインタビューでGarvin氏はその“ビジネス的判断”に対する、開発者側からの意見を表明したが、その激しい口調もあり賛否を呼んでしまったようだ。

開発者には開発者の苦悩が、企業には企業としての判断があり、消費者も常に好きなゲームをサポート出来るとは限らない。長期間の開発と巨額の投資が求められる大型ゲームの展開には、常にシビアさがつきまとう。『Days Gone』にまつわる一連の騒動からは「ゲームを売る」というビジネスの難しさの一端が垣間見えるようだ。

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