国産ローグライクリメイク『Elona Mobile』サービス開始。モバイル向け『Elona』は原作からどう変わったのか

 

LTGAMES GLOBALは4月20日、iOS/Android向けにローグライクRPG『Elona Mobile』のサービスを開始した。基本プレイ無料タイトルであり、開発は中国の企業である数字狗(デジタルドッグ)が担当している。


『Elona Mobile』は国産フリーゲーム『Elona』のモバイル向けリメイク作だ。原作『Elona』は、日本の個人デベロッパーのNoa氏によって開発、2007年にリリースされた無料のローグライクゲームである。自由度の高いオープンワールド、ローグライク作品らしい手応えのある難易度設定、そして独特なユーモアなどが魅力で、リリースから10年以上が経った今でもなお、コアなファンに愛されている作品だ。

筆者もそんな『Elona』にハマったゲーマーのひとりであり、このたびサービス開始された『Elona Mobile』に早速触れてみた。モバイルゲームとして全面的にリメイクされながらも、原作への敬意が感じられる仕上がりという印象である。


まず目を引くのが、よく描き込まれた可愛いドット絵だ。原作と比較してキャラクターはすこし等身が縮められ、キュートで丸みのある印象となっている。自キャラクターの外観(スキン)は原作と違い、用意されているものから選択する方式。スキンの種類によって能力値にボーナスもつくようだ。装備中の武器がグラフィックに反映されるようになったのも嬉しいところ。

UIや操作もモバイル向けに改修されている。原作では、パソコンのキーひとつひとつにみっしり操作が割り当てられていて習熟に時間がかかる操作法と、主に方向キーでの移動と「しらべる」キーを使い、詳細な行動はメニュー分岐で選択するというような操作法を両立させていた。『Elona Mobile』では、たとえば「剣のアイコンをタップすれば近場の敵を攻撃する」といった、より直感的な操作を目指したUI設計がなされている。


ほかにも、ストーリーをより理解しやすいようにカットシーンを設けたり、次に何をすればいいのかわかりやすいよう、クエストを提示して目標地点を示してくれたりと、原作にくらべて親切な設計になっている。しかしこの点については原作の「さあ、好きにしろ!」といわんばかりの放任的な魅力とトレードオフになっており、人によって好みが分かれるかもしれない。


ほかにもフィート(キャラクターの特徴)選択のスキルツリー化、キャラ作成の簡略化など、未経験者がプレイしやすくなるような変更が随所になされている。筆者が気になったのは、ガチャやログインボーナス、シーズンパスなどのソーシャルゲームとしての新規要素や、ゲーム内課金が盛り込まれている点だ。ビジネスである以上マネタイズが不可欠とはいえ、原作の好き放題に慣れ親しんだプレイヤーは、モバイルゲームらしい要素の数々に少々面食らうかもしれない。なお、少なくとも序盤は課金を気にすることなく、サクサクと楽しんで進められた。


モバイルゲームとして大きく改変された本作。原作の曲をそのまま活かしたBGMや、丁寧に作り込まれたグラフィック、チュートリアルの小ネタなどさまざまな面から、原作『Elona』を愛し、多くのプレイヤーに届けたいという開発元の思いがにじみ出ているように筆者は感じた。

『Elona Mobile』公式Twitterアカウントによれば、本作は原作者のNoa氏と、モバイル版開発元デジタルドッグの担当者との対話と理解の上で制作されているそうで、原作へのリスペクトを感じる作りはそういった経緯から生まれたものかもしれない。


Noa氏もクローズドβからこっそり参加しており、正式リリースを迎えた『Elona Mobile』を祝福しつつ楽しんでいるようだ。なお、Noa氏は現在『エリン宿( Elin’s Inn )』というサンドボックスRPGを開発中である(関連記事)。


『Elona』のテイストを活かしつつ、スマホで遊べるようになった本作。手軽に遊べるRPGに興味のある方は一度触れてみてはいかがだろうか。『Elona Mobile』はiOS/Android向けに基本プレイ無料(課金要素あり)で配信中だ。