『VALORANT』と『Destiny 2』運営元が共同で、チートツール販売業者を提訴

『VALORANT』のRiot Gamesと『Destiny 2』のBungieが共同で、チートツール販売業者を提訴。

『Destiny 2』を開発・運営するBungieと、『VALORANT』を開発・運営するRiot Gamesが相原告となり、チートツール販売業者を相手取る共同訴訟の訴状を、米国カリフォルニア州中央部地区連邦地方裁判所に提出していたことがわかった。海外メディアのPolygonが報じている。被告となるのは、GatorCheatsなどのチートツール販売ビジネスを展開しているCameron Santos氏およびGatorCheatsのスタッフたち。原告側は訴状にて、両社タイトルに関連したチートツール販売業務の即時停止、損害賠償金の支払い、チートツール販売を通じてGatorCheatsが得た収益の支払いなどを求めている。

Santos氏ならびにGatorCheatsのスタッフに対しては、『Destiny 2』『VALORANT』に限らず、複数のマルチプレイヤーゲームのチートツールを提供している疑いが寄せられている。GatorCheatsのウェブサイト上だけでなくメールやDiscordなど販売手段はさまざま。商品ラインナップも、他プレイヤーの位置表示やエイムボットなど多岐に渡る。『VALORANT』用のチートツール「Gatorant」は月額90ドル、『Destiny 2』用の「Destiny 2 Cheats」は3か月プラン100ドル。より高額な生涯プランなども提供しており、これらのツール販売によって膨大な収益をあげてきたはずだと訴状にて言及。損害賠償額は何億円にものぼると伝えている。

なおBungieは2020年11月、GatorCheatsに対し販売停止通告を送っており、そちらを受けてGatorCheatsはチートツールの販売を表向きには停止。しかし裏では販売が継続されていると原告側は主張している。不正ツールの販売は、原告のビジネスやセールス、評判、そしてプレイヤーのゲーム体験を損なう行為であると説明。運営主であるSantos氏ならびに身元不明のGatorCheats関係者(カスタマーサポート担当者など)らによるデジタルミレニアム著作権法違反(著作権保護のために設けられた技術的保護手段の迂回禁止条項違反)、ユーザー利用規約を害する行為、そして不正競争を根拠とし、業務の即時停止、損賠賠償金の支払い、そしてチートツール販売による収益の支払いを求めている。

このようにゲームの開発・運営元がチートツール販売業者を訴えるケースは多い。たとえばActivisionが『Call of Duty: Warzone』用のチートツールを開発・販売するCXCheatsを提訴し、チートツール販売停止に至った事例(関連記事)。Ubisoftが『レインボーシックス シージ』用のチートツール販売業者を訴えた事例(関連記事)。そのほかにも『Grand Theft Auto Online』のTake-Two、『フォートナイト』のEpic Games、『PUBG』のPUBG Studio(旧:PUBG Corp)、『オーバーウォッチ』のActivision Blizzard、『ポケモンGO』のNianticなど、チートツール販売者に対して訴訟を起こした事例には枚挙にいとまがない。そして多くのケースで、ツール提供停止や損賠賠償命令に至っている。チートツール販売業者を相手取る訴訟自体は多い。ただ、今回のRiot GamesとBungieのように、複数の企業が協力し、共同訴訟を起こすというのは、珍しいケースといえる。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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