『FF14』高難易度レイド「希望の園エデン零式:再生編」のワールドファーストが「Thoughts Per Second」に決定。遠隔3人編成のキーマンは超火力を有する黒魔道士か

『ファイナルファンタジーXIV』の海外レイドチーム「Thoughts Per Second」は12月10日の8時53分、パッチ5.4で実装された高難易度レイド「希望の園エデン零式:再生編」最終層である4層のボス撃破を報告した。

『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の海外レイドチーム「Thoughts Per Second」は12月10日の8時53分(日本時間)、パッチ5.4で実装された高難易度レイド「希望の園エデン零式:再生編」最終層である4層のボス撃破を報告した。このクリア報告は世界最速のもので、12月8日19時のパッチ5.4実装からおよそ38時間弱でのクリアとなる。

『FF14』では「零式」「絶」といった高難易度コンテンツは実装されるたびに世界中のプレイヤーが世界最速クリア、いわゆる「ワールドファースト」を目指してしのぎを削ってきた歴史があり、パッチ5.4で実装された「希望の園エデン零式:再生編」でもその例にもれず世界中のチームが競ってきた。

今回のレースを制したチーム「Thoughts Per Second」は、パッチ5.1で実装された高難易度コンテンツ「絶アレキサンダー討滅戦」でもワールドファーストを獲得した実績を持つ海外チームである。チーム名は直訳すると「1秒あたりの思考数」で、「プレイ中にどれくらい頭を使うか」を表している。これは「頭を使って攻略する」ということではなく、「余計なことを考えない」というような意味合いで、彼らが絶アレキサンダーを制した際に海外配信者Frosty氏が自身の配信番組「MogTalk」で行ったチームへのインタビューで言及されて話題となった。高難易度に挑むプレイヤーたちの中に浸透してきたフレーズでもあり、レイド攻略中に「TPSを下げろ」といったふうに使われることもある。


Thoughts Per Secondの今回のジョブ構成は暗黒騎士・ガンブレイカー・白魔道士・占星術師・忍者・吟遊詩人・黒魔道士・召喚士。DPSは遠隔DPSに偏った編成だ。パッチ5.2で実装された「希望の園エデン零式:共鳴編」のレイドレースを制したチーム「Sylink」も当時のジョブ編成は遠隔DPS3人を採用しており、少し変則的ではあるものの、昨今のレイドレースにおいてはあまり珍しくない構成と言える。現在「希望の園エデン零式:再生編」の踏破に向けて配信や進捗の公開を行っているチームにも遠隔3人構成は多く、例えば日本トップ勢であるクルル氏のチームのDPSは竜騎士・踊り子・召喚士・召喚士の構成を取っている。

遠隔DPSを3人採用する理由は、ボスから離れて攻撃しなければならない場面が多いためとも考えられるし、チームメンバーのジョブ練度を考慮して最適な構成をとった結果であるとも考えられる。

Thoughts Per Secondは絶アレキサンダー討滅戦でワールドファーストを獲得したときも同じDPS構成を採用していたが、その理由に「近接DPSを2人採用した構成と比べて、ギミック処理を考えるときにさまざまなアプローチができる」ことを挙げている。近接DPSを殴らせることを考えずに柔軟なギミック処理方法を考案できるのが強みであるということだ。リミットブレイクを撃つためにどうしても必要となってくる近接ジョブ1枠に忍者を採用しているのも忍術による遠隔攻撃が強力である点が大きいためと見られ、実際に絶アレキサンダー討滅戦でのインタビューでもそのメリットを語っている。

Frosty氏の配信番組「MogTalk」より


一般的なジョブの特徴にくわえて、海外の黒魔道士トッププレイヤーであるSfia氏個人の存在も大きいだろう。前述のインタビューでは遠隔3人構成のメリットにギミック処理のことを挙げていたが、「近接DPSを2人採用する構成が悪いというわけではなく、うちのチームにはとても強い黒魔道士がいて、近接DPSを2人にしないといけない理由もなかったからこの構成にした」という理由も語られているのだ。Thoughts Per Secondの選択した忍者・吟遊詩人・黒魔道士・召喚士というDPS構成は、ピーキーだが使いこなすことができれば超火力を出すことができる黒魔道士というジョブを最大限まで引き出すことができるSfia氏あってのものとも言えるだろう。

ヒーラーに占星術師を採用している理由も、この火力部分を伸ばすことができるのが大きいのではないだろうか。『FF14』のバッファージョブは、バフを与える相手の素の火力が高いほどその威力を伸ばすことができるような性能となっている。カードによって味方の攻撃力を底上げすることができる占星術師によって火力を底上げし、装備の整っていない初週の零式攻略におけるDPSチェックを突破しようという意図だろう。その意味では、近接に忍者を採用しているのは忍術による個人火力にくわえて、敵の被ダメージをアップさせる「だまし討ち」の存在も大きいのかもしれない。


ここまでお読みいただいた読者の中には、近接DPS2人の採用はクリアするのに不利となるのではないかという印象を受けた方もいるだろう。しかし、上記はあくまでワールドファースト争いをするような熾烈なレースをする上での話である。前回の零式である「希望の園エデン零式:共鳴編」でもワールドファーストのSylinkは遠隔DPS3人構成だったのは前述のとおりだが、ワールドセカンドである「SLEIPNIR」は竜騎士・忍者・踊り子・召喚士の標準構成だ。もちろん彼らの後に続くかたちで初週にクリアしたパーティーにも標準的な近接2・遠隔2の構成が多いだろう。遠隔3人構成はクリアのためにジョブ考察を重ねたチームの選択であり、近接2人を使っていては勝てないわけではないことには留意してほしい。

今回は海外チームであるThoughts Per Secondが制したワールドファースト争い。しかし、トップ勢のレイドレースはまだまだ続いている。この記事を執筆している間にも日本のクルル氏のチームが敵のHPを1%以下まで削って時間切れとなるような、手に汗握る展開の配信を行っていた。ワールドファーストは出たものの、レイドに挑むプレイヤーたちの戦いは終わらない。次のクリアチームはいったいどこになるのか、楽しみに応援していきたい。

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Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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