『Microsoft Flight Simulator』を「実際の飛行機」に乗りながら比較実験するゲームクリエイター現る。ぜいたくすぎる検証の結果やいかに


Microsoft Flight Simulator』と現実世界を、“実際に比較”する猛者が現れた。本作は8月にマイクロソフトから発売された飛行シミュレーションゲーム。その売りは細部までモデリングされた3Dマップの写実性だ。検索エンジンBingが擁する膨大なデータに加え、人の手による緻密な作業も交えながら驚異の再現度でゲーム世界を生成。200万以上の都市や15億の建物、山・川・森林といった自然環境などを忠実に作り込んでいる。まさに2020年のビッグタイトルのひとつとして数えられる本作だが、そのすごさを「身をもって」体験したユーザーは少ないだろう。今回、ある気鋭のゲームクリエイターが前代未聞の比較検証に乗り出したようだ。 

オランダの開発者Rami Ismail氏は、かつてインディースタジオVlambeerにてデュオを組んでいたひとり。『Nuclear Throne』をはじめ数々の作品で知られており、今年9月の解散(関連記事)以降も開発者支援を続けるなど、積極的に活動してきた。そんなIsmail氏は12月2日、「とうとうこのときがやってきた」とツイート。続けて、「フライトしながら『(Microsoft)Flight Simulator』を遊ぶときだ」と宣言した。すなわち現実世界でIsmail氏自身が飛行機に搭乗しながら、機内に持ち込んだPCで『Microsoft Flight Simulator』をプレイするというのだ。現実とゲーム内で同じ時刻・同じ路線の飛行機に乗り、ゲームがどこまで現実のフライトを再現しているのかその目で確かめるというわけである。
  

 
離陸から1時間後、Ismail氏から飛行途上の報告が入る。現実・ゲーム内のフライトはきわめてシンクロ率が高いとのことで、高度が上がって雲海に突入する瞬間は双方間で数秒の差しかなかったという。『Microsoft Flight Simulator』内において、上空の気象条件が高い精度で再現されていることの表れだろう。その後空路を進む中で若干の時差は広がったものの、オランダのアムステルダムから海上に出るまでの時差は5分程度にとどまったという。 

そこから現実・ゲームのフライトは差を拡げることなく、目的地のアイルランド上空に到着。ここでIsmail氏はAIの自動操縦からマニュアルに切り替え、やや早く降下を始めることで現実とまったく同じ時刻に着陸することを試みた。この間にも、窓の外に見える雲海の位置や星々、さらに夜が明け空が赤らむタイミングと色彩まで完全に一致していることが、実況ツイートにより克明に語られている。結果的に、Ismail氏の操縦する飛行機は現実とは4分程度の差で目的地の空港に着陸するはこびとなった。 
 

 
Ismail氏は早くから『Microsoft Flight Simulator』を楽しんできたクリエイターのひとりだ。9月から10月にかけてはTwitchにて、チャット欄に視聴者がコマンドを打ち込むことで飛行機を操縦できる参加型の配信を実施してきた。本作をプレイしてきた経験からその正確さに対する信頼はあったものの、今回は現実のフライトとリンクさせることで改めて精度の高さを思い知らされたという。総じて楽しいフライトだったと、締めの言葉で語られた。
  

 
『Microsoft Flight Simulator』は米国時間12月22日に大型アップデート配信予定。待望のVR対応も告知されている(関連記事)。さらに2021年1月26日にはイギリスをテーマとしたアップデートが予告されており、本作はまだまだ進化を遂げていく見込みだ。