オンラインゲームの素敵さを描く『FF14』非公式ムービーが話題。ネットを介して生まれる人間関係の奇妙さと温かさ

オンラインゲームの人間関係について描いた『ファイナルファンタジーXIV』の非公式ショートムービーが話題を呼んでいる『FF14』プレイヤーの女性がインゲームの人間関係について、「現実より大切なわけじゃない」「でも大切なもう一つの世界」と、その向き合い方を再確認する内容。

オンラインゲーム上の人間関係とは奇妙なものだ。現実の姿や年齢、本名はおろか性別すらも知らない相手と、コンテンツの攻略方法について真剣に話し合ったり、時には喧嘩をしたり、交際に発展したり。現実の人間関係よりも真剣に向き合っている人もいれば、「所詮はゲーム」と割り切った関係を築いているプレイヤーもいることだろう。そんなオンラインゲームの人間関係について描いた『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FF14』)の非公式ショートムービーが話題を呼んでいる。動画を作成したのはTOI TOI PICTURESのzaneko氏。『FF14』プレイヤーの女性がインゲームの人間関係について、「現実より大切なわけじゃない」「でも大切なもう一つの世界」と、その向き合い方を再確認する内容だ。実写とゲーム映像を交互に織り交ぜ、オンラインゲーマー特有の奇妙な距離感とその温かさを巧妙に描いている。

「PLAY EORZEA – 主人公は私たち」と題されたショートムービーは、とあるOLがチョコボレースのBGMを目覚ましに起床し、会社へ向かうところからスタートする。通勤バスの中で主人公は『FF14』公式の携帯アプリ「ファイナルファンタジーXIV コンパニオン」でインゲームの仲間とやりとりをしているが、モノローグでは「年齢も 性別も 顔も知らない誰かと モニター越しに繋がるこの世界のことを 理解できない人がいるのも知ってる」と語るとおり、現実の世界ではオンラインゲーマーであることを隠している様子。喫茶店で待ち合わせ相手が現れればゲーム仲間とやりとりしていたスマートフォンをさっと隠してしまうし、「いい歳してゲーム?なんて笑われるかな」と外聞を気にしている様子も見せる。それでも家に帰れば『FF14』にログインし、仲間とコンテンツに出かけ、「この世界だから話せることがある」「この世界だからなれる自分がいる」と語る。

演出の巧みさや小道具の可愛らしさ、そしてもう一つの居場所としてのオンラインゲームの世界を肯定する内容が共感を呼び、「PLAY EORZEA – 主人公は私たち」は投稿された直後からSNS上で話題になった。動画の実写パートに出てくる一部衣装や小道具は、出演者であるまめこ氏が手がけている。主人公の女性の衣装にさりげなくソウルクリスタルをモチーフにしたボタンがあしらわれていたり、スマートフォンカバーに人気マスコット「パイッサ」が描かれていたりと芸が細かい。

TOI TOI PICTURESは「新生エオルゼア」時代から動画を投稿し続けており、インゲームのみで撮影を行った短編映画作品から今回のような実写作品まで、幅広い作風で活動している。前作「ミニオンの大冒険」はYou Tubeで14万回以上再生され、世界観・シナリオ監修スタッフである織田万里氏も長女と視聴したとTwitterで語っていた。公式と見間違うほどのクオリティの高さもさることながら、作品の端々に込められたzaneko氏の『FF14』愛が感じられるのが人気の理由だ。

ゲーマーも非ゲーマーも「所詮ゲーム」という枕詞を付けがちだが、人と人との繋がりであることに変わりはない。喧嘩をしたり、笑い合ったり。人間関係にインターネットを介しているかどうかは関係がないのだということを、「PLAY EORZEA – 主人公は私たち」は再確認させてくれる。

また、zaneko氏はTwitter上で、今回投稿された「PLAY EORZEA – 主人公は私たち」の制作風景を納めたパンフレットの公開を告知している。舞台裏を紹介する資料の公開予定は3月21日。気になる方はzaneko氏のTwitterをフォローし、公開を待つといいだろう。

Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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