米任天堂、Nintendo Switch本体改造業者との裁判で勝訴。差し止め命令を勝ち取る


米国任天堂が、Nintendo Switch本体の改造や海賊版ゲームの販売をおこなっていた人物を相手取り、2018年12月に訴訟を起こしていた件について、カリフォルニア中央地区連邦地方裁判所は2019年12月30日、任天堂側の勝訴を言い渡していたことが明らかになった。海外メディアTorrentFreakなどが報じている。

被告はアメリカ・カリフォルニア在住のSergio Mojarro Moreno氏、および身元不明の10名の人物。Moreno氏については、当初は利用していたフリーマーケットサイトのアカウント名であるMikel Euskaldunakとして訴えられていたが、裁判を通じて本名が明らかになったようだ。Moreno氏は、Nintendo Switch本体の脆弱性を突いたハックが可能になったことを受け(2018年6月以降に製造された本体は対策済み)、海賊版ソフトを利用できるよう本体の改造やエミュレーター導入の代行を請け負い、また複数のNintendo SwitchゲームのROMイメージを保存したMicroSDカードの販売をおこなっていた(関連記事)。

今回の判決にて裁判所は、任天堂のゲーム機やゲーム作品、キャラクターの人気は、多大な投資によって形成されていると認めたうえで、被告Moreno氏は同社の著作権や商標権が有効であること、また任天堂が(Nintendo Switchのハックを防ぐ)技術的な対策を講じていたことを認識していたと指摘。そして同氏に対し、任天堂による技術的保護を回避するデバイスなどの提供や、任天堂および関連メーカーの著作物の、インターネットやあらゆるデジタルネットワークを通じた無許可の販売・貸し出し行為を禁じると言い渡した。また判決の公示日には、それらをすでに保有していないこと、あるいは破壊したことを証明する書面を任天堂に提出することも命じている。

これらの差し止め命令や破壊命令については任天堂が求めていたものであり、裁判所はそれを認めた形だ。一方で、同社は被告が得た利益の3倍の金額を賠償金として要求していたが、こちらについては認められなかったようだ。弁護士費用も、両者がそれぞれ自己負担するよう求めている。また、Moreno氏以外の身元不明の10名に対する訴えは棄却された。

任天堂は、これまでにも海外の違法ROM配布サイトを閉鎖に追い込んだり、今回の件でハックに利用されていたツールの開発元Team Xecuterのホームページへのイギリス国内からのアクセスを、ISPにブロックさせることにも成功している(関連記事)。こうした権利侵害行為への毅然とした対応は、これからも地道に続けていくことになるだろう。