米任天堂がNintendo Switchの改造・販売業者を相手に訴訟を起こす。任天堂の海賊版との戦いは続く

 

任天堂が米国法人Nintendo of Americaを通じ、とあるフリーマーケットサイトの出品者に対して、12月11日に訴訟を起こしていたことが明らかになった。海外メディアTorrentFreakなどが報じている。訴えられたのは、アメリカ・カリフォルニア在住のMikel Euskaldunak氏で、Nintendo of Americaは著作権や商標権などの侵害を訴えている。というのもEuskaldunak氏は、フリーマーケットサイトを通じてNintendo Switch本体の改造代行を請け負い、さらに海賊版ゲームの販売もおこなっていた。また同社は訴状にて、被告は同氏に加え、将来的に最大100人にのぼる可能性を付け加えている。

Nintendo Switchにおいては今年1月、CPU/GPUのNDIVIA製Tegraプロセッサーの脆弱性が発見され、ハッキンググループによる解析や活用が進められてきた。これにより、各種エミュレーターの導入や、Nintendo Switch向けゲームのROMイメージの実行などが、Nintendo Switch本体に手を加えることで可能となっている。詳細を述べることは控えるが、Nintendo Switch本体を改造するためのキットを製造・販売するグループもおり、Euskaldunak氏はそれを用いて改造の代行を請け負っていたとみられる。

Image Credit: TorrentFreak

Euskaldunak氏が利用していたのはOfferUpというフリーマーケットサイト。このサイト自体は怪しいものではなく、アメリカ国内での個人間売買の場として広く利用されているようだ。しかしEuskaldunak氏はここで、Nintendo Switch本体の改造やエミュレーター導入の代行に加え、数千タイトルものアーケードゲームやクラシックゲームを数10ドルという価格で提供していた。さらに、複数のNintendo SwitchゲームのROMイメージを保存した64GBのMicroSDカードも販売。もちろん、改造済みのNintendo Switch本体で遊ぶことを目的としたものだろう。ゲームの容量によって収録タイトル数は異なり、『スーパーマリオ オデッセイ』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『DOOM』などから購入者が自由に選ぶ形で、4〜6本のゲームを50ドルで販売していた。

このほか、NES Classic Edition(北米版ミニファミコン)本体を改造して800本ものファミコンゲームをインストールし、通常価格の15ドル増しで販売していたことも訴状にて述べられている。Nintendo of Americaは、Euskaldunak氏はこれまでに100台以上のNintendo Switch本体の改造を請け負ってきたと指摘。そして裁判所に、Euskaldunak氏や関連する人物・団体について、Nintendo of Americaが保有する権利を侵害する製品やサービスの製造や提供の差し止め命令、改造チップやデバイスの破壊命令を出すよう求め、賠償金として権利侵害行為により被告が得た利益の3倍の金額を求めている。

同様の訴訟は今年10月にもあり、こちらは改造したPS4本体や海賊版ゲームをeBayなどで販売していた人物に対し、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが訴えている。このケースでは、被告は自らが運用するウェブサイトでも販売をおこない、違法行為を助長するような行為もみられる悪質なものだった(関連記事)。また任天堂としては、海外のROMサイトに対して訴訟を起こし、サイトの閉鎖と和解金を勝ち取ったことが話題となった(関連記事)。

なお、前述したNintendo Switchの脆弱性については、ハードウェアに依存するものであるため根本的な修正は不可能だとされている。それでも任天堂は、システムアップデートのたびに、こうした改造行為への対策を打っているようだが、改造する側もさらに対策を施している。今回の訴訟について改造キットの開発元のひとつは、拠点とする国の法に則って活動しているとコメントしており(Motherboard)、イタチごっこは続きそうだ。


国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。