Atariの新型ゲーム機「Atari VCS」の開発は、本格製造前の最終段階に突入。ローンチに向けて順調であることをアピール

Atariの新型ゲーム機「Atari VCS」の開発は、本格製造前の最終段階に突入。また「Atari VCS」の心臓部に採用するSoCをAMD Ryzen Embedded R1000にアップグレードし、4K/HDR/60fpsのコンテンツをサポートできるようになったとのこと。

Atariは11月28日、現在開発中の新型ゲーム機「Atari VCS」に関するさまざまな疑問に答えるQ&Aを公開した。この中で同社COOのMichael Arzt氏は、Atari VCSは現在プリプロダクションの最終段階にあると発言。2020年3月にローンチするという現在のスケジュールに沿って進行しているとした。

一方、Atari VCSの開発費を募るクラウドファンディングをおこなったIndiegogoでの出資者向けには、これまで2019年内に発送するとしていたものの、こちらは数週間延期するとのこと。それでもローンチ前には届けるとしている。

Atari VCSは、Atariのクラシックゲームやサードパーティが提供するゲームなどをプレイでき、さらにウェブブラウザやNetflixなどのストリーミングサービスの利用も可能な新型ゲーム機だ。Atariがかつて販売していたゲーム機「Atari 2600」を彷彿させるデザインの筐体とコントローラーが特徴的である(現代的なコントローラーも用意)。OSにはUbuntuベースのLinuxを採用し、ユーザーによるカスタマイズが可能なサンドボックスモードも提供するとされている。

Atariが手がける新たなゲーム機ということで大きな注目を集め、Indiegogoでのクラウドファンディングも成功した。ただ、発売時期について当初予定から延期を繰り返し、最終的にIndiegogoにて設定された2019年7月という予定もまた延期。さらに今年10月には、システム設計を担当していたRob Wyatt氏が、半年以上にわたって報酬が支払われていないとしてプロジェクトから離脱するなど、Atari VCSには不穏な空気が漂っていた(関連記事)。今回のQ&Aの投稿は、発売延期したものの、現在の計画どおりに開発が進んでいるとアピールした形だ。

なお、直近の発売延期については、心臓部に採用するSoCをAMD Ryzen Embedded R1000にアップグレードしたためだと説明している。これにより、4K/HDR/60fpsのコンテンツをサポートできるようになったとのこと。

プリプロダクションをおこなっている中国の製造現場の様子。2019年11月撮影とのこと

現在Atariは、製造をおこなう中国にてAtari VCSの本体やコントローラーのテストと最終調整をおこなっているところだという。また、GUIやAtari VCSからアクセスできるストアについては、ほぼ完成しているとのこと。一方で、一部報道で不安視されていた、Netflixなどのネイティブアプリをローンチと同時に提供できるかどうかは明言を避けた。ただ、Netflixのようなサービスはウェブブラウザを通じて利用できるとしている。

そして肝心のゲームについては、Unityをサポートしたうえで、Atari VCSのローンチ時期に向けていくつかのスタジオと協力しているという。詳細については発売が近づいた段階で発表するとのこと。また、Atari VCS専用の「Antstream」アプリも提供予定であることが明かされた。Antstreamは、クラシックゲームをストリーミングでプレイできるサブスクリプションサービス。SNKやデータイースト、ジャレコ、アークシステムワークス(テクノス)などとライセンス契約を結び、多数のタイトルを提供している(関連記事)。

AtatiのMichael Arzt氏は今回の投稿にて、Atari VCSの開発状況に満足している旨のコメントをし、またコミュニティからのサポートに感謝の意を示している。開発の進捗については、近いうちにまた報告するとのことだ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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