『スーパーマリオ オデッセイ』の柴犬には「nintendogs」のモデルが直接使われていた。一部界隈でホットな“流用話”にポジティブムード
『スーパーマリオ オデッセイ』に登場する犬が、『nintendogs + cats』の柴犬を流用したものであることが確認され、海外を中心にちょっとした話題となっている。発端となったのは、TwitterユーザーMaster of Galaxies氏の報告。『スーパーマリオ オデッセイ』に登場する犬が、直接移植されているとし、レンダリングされたモデルを比較する画像を添え投稿。6月20日10時時点で、3000以上のRTと1万上のイイネを獲得している。
Fun fact: The model of the dog in Super Mario Odyssey is a direct port of the Shiba Inu model from Nintendogs + Cats.
Left: Super Mario Odyssey (Render by me)
Right: Nintendogs + Cats (Render by Centrixe @ DeviantART) pic.twitter.com/T84I3Ol25D— Captain Byte! ⭐ (@CometMedal) June 17, 2019
見覚えのある、あのワンコ
『スーパーマリオ オデッセイ』では、帽子をかぶった愛らしい柴犬が登場する。“ボス討伐後”に、アッチーニャやニュードンクシティ、さらにはハニークレーターまでさまざまな場所に姿を現し、コインやパワームーンを掘り出し、プレイヤーを助けてくれる。マリオが居眠りすると寄り添って眠ってくれるほか、オデッセイ号に現れたり重要なムービーで現れたりと、かなり存在感のあるキャラクターとして活躍する。
[VRであそぶ] 右スティックの押し込みでカメラをリセットすることができちゃいます。ちょっとマリオを見失ってしまったときに便利です! pic.twitter.com/lWHQ9QaSEW
— スーパーマリオ オデッセイ (@mario_odysseyJP) April 26, 2019
『スーパーマリオ オデッセイ』ではニュードンクシティを筆頭に頭身の高い人間が登場するなど、リアルな生物描写もまじえられている。そうした中でもひときわリアルであり、それでいてファンタジー世界にも馴染んでいたワンちゃん。そんなプレイヤーの印象に残りやすいキャラクターが、『nintendogs + cats』からそのまま引っ張ってこられていたということで、話題を呼んでいるのだろう。これほど多く露出しながら、未だ流用であることが確認されていなかったということは、それだけ世界観に馴染んでいたといもいえる。『nintendogs + cats』はニンテンドー3DS向け、『スーパーマリオ オデッセイ』はNintendo Switch向けということで、いろいろと仕様は異なるかと思われる。厳密には“そのまま”ではなく修正が加えられているだろうが、公式の素材などを見ても、かなり忠実に移植されているように見える。
面白いのは、E3 2019後より一部海外任天堂コミュニティにて「流用」というキーワードはちょっとしたホットワードであったのだ。具体的には、『ポケットモンスター ソード・シールド』の木のモデルが『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』から流用されたのではないかと“イジられていた”こと。この話の発端は、『ポケットモンスター』最新作には必ずしも全てのポケモンを登場させることができないとプロデューサーの増田順一氏が語ったことから、その説明に納得できない人々が不満を漏らすために、ゲームの品質に対する批判を始めた。
「木」品評会
一部redditユーザーは、公開されているトレイラーから木の画像をキャプチャし“Nintendo Switch向けの高品質なモデルやアニメーションを作っている”という開発陣が発言したことをあげつらい、それでこの木のモデルなのかと皮肉。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の高品質な木と比較したのち、『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』とそっくりではないかと複数のユーザーが指摘。比較的似ていることから、“流用”話に至ったわけだ。その後も『ポケットモンスター Let’s GO』と木が比較されたり、笑い話半分皮肉半分といった形で、『ポケットモンスター ソード・シールド』の木と流用は一部の人々にとってホットワードであった。『ゼルダの伝説 時のオカリナ3D』はニンテンドー3DS向けで、『ポケットモンスター ソード・シールド』はNintendo Switch向け。やや近い話ということもあり、TwitterやRedditでも、今回の柴犬の流用に際して、ゲームフリークの名前をあげられている(モデリング部分はクリーチャーズも開発に携わる)。
しかしながら、この批判に対する妥当性には疑問の余地あり。まだ『ポケットモンスター ソード・シールド』は開発段階にあり、テクスチャやモデリングは今後向上していく可能性は高い。実際そうした事例が確認されている(関連記事)。さらに、“圧縮されて動いている”トレイラーから一部画像を切り取り、そのクオリティを批評するのは、アセットという観点から見てもフェアではないだろう。いじりがある反面で、この「木」いじりを批判するユーザーも多い。「新作ではポケモン全種類が登場するわけではない」という憤りが、強引な批判という形で現れているといえるかもしれない。Master of Galaxies氏がこうした話を汲んで『スーパーマリオ オデッセイ』の小ネタを投稿したのかは不明であるが、若干ネガティブであった流用話は、柴犬によりポジティブに受け入れられつつある。
開発においては、モデルに限らずさまざまな素材を0から作り上げるとなると、相当な労力がかかる。何かしら流用されることもあるだろう。その一方で、『スーパーマリオ』シリーズの3Dゲームにおいては、マリオの挙動が作品によってかなり違うことがたびたび話題となる。たとえば「居眠り」の仕様においては『スーパーマリオ64』のマリオの挙動が『スーパーマリオ オデッセイ』のマリオの挙動より、精巧に作り上げられていると報告されていた(関連記事)。最近では『スーパーマリオサンシャイン』のマリオは斜めの足場に足をおくことができるが、『スーパーマリオ オデッセイ』では、斜めの足場になるとマリオの足が宙に浮くという興味深い話も。流用されることが話題になれば、一方で仕様が違うことも話題となる。インターネットが発展し情報収集が容易になったことにより、ゲームそのものだけでなく、ゲームの仕様への考察もエンタメになりつつある時代がきている。
In Super Mario Odyssey, the game does not handle Mario's legs being on two different slopes correctly, with him appearing to stand halfway in mid-air (left). In contrast, Super Mario Sunshine, released 15 years earlier, has code that handles each leg's incline separately (right). pic.twitter.com/KVtnNiki9G
— Supper Mario Broth (@MarioBrothBlog) June 18, 2019