台湾・香港・マカオリーグから『LoL』プロチーム「Dragon Gate Team」が追放処分。賭博目的の八百長が発覚
『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の台湾・香港・マカオ地域リーグ「LMS」を運営するGarenaは、4月24日にプロチーム「Dragon Gate Team」のリーグ永久除名処分を発表した(中国語公式記事 )。試合結果を故意に操作する八百長行為が認められたためであり、チームオーナーなど直接の関係者たちにも競技参加資格停止処分が言い渡されている。
発表によれば、「Dragon Gate Team」(以下、DG)による八百長行為が発覚したのは、先日終了した競技シーズン「LMS 2019 Spring Split」のレギュラーシーズン中。具体的にどの試合で八百長行為があったかは触れられていない。DGはLMSより永久除名処分となり、チームオーナーの胡偉杰(フー・ウェイジェ)氏もあらゆる地域におけるプロ・アマチュアチームへの関与を永久に禁止された。ジャングラーのJGY選手は直接八百長に関わったとして、18競技月間の参加資格停止処分、すなわち約4スプリット期間の公式競技参加禁止が言い渡されている。yogaヘッドコーチ、xiaoyuマネージャー兼コーチにもまた、12競技月間のプロ・アマチュア競技参加資格停止処分が下された。
DGは春スプリット最下位チームであり、4月25日には1部残留をかけた入替戦が行われる予定であった。しかしこの追放処分を受け、入替戦の対戦チームである2部リーグ1位「Super Esports」は自動的に1部昇格が決定し、入替戦が行われない旨も告知されている(中国語公式記事)。
選手らによる証拠集めと告発
これらの発表を受け、DGでトップレーナーを務めていた2188選手がFacebookにて自身の視点から見た経緯を語っている。投稿によると、2188選手が八百長行為を初めて認識したのは3月27日に行われた対Alpha Esports戦だという。
試合前日の3月26日、チーム運営は「ボットレーナーのSoul選手の家族に不幸があった」として、翌日のスターティングメンバーの入れ替えを内部に通達した。ところが2188選手の目から見たSoul選手は、いつも通りの振る舞いを続けていた。不審に思った彼がSoul選手に事情を聴いたところ「チーム上層部より報酬と引き換えに試合結果を操作するよう頼まれた」との告白を受ける。Soul選手をサブと入れ替えたのは、彼が八百長への加担を断ったためだったのだ。試合後に2188選手は「Alpha Esportsとの試合で八百長があったのか」とyogaヘッドコーチに尋ね、否定の返事をもらったとも書いている。この時点でDGはすでに最下位と入替戦行きが確定していたが、2188選手はSoul選手と共に競技で全力を尽くすことを決意したという。その後2人は八百長の証拠を集める行動に出る。試合後のオーナーとの夕食の席で、彼らは八百長行為について直接言及する発言を録音することに成功したものの、すでにJGY選手が八百長に関わっていることを知ることともなった。
公式発表には含まれていないが、こうして集められた証拠はLMSリーグ運営に提出され、今回の処分の根拠のひとつとなったのだろう。事実、JGY選手以外の所属選手は処分を受けていない。処分内容から推測するに、チームオーナーは賭博および八百長、選手は指示による八百長加担、ヘッドコーチは賭博が罪状であろう。2188選手はSoul選手を「5000人民元の報酬を断って危険な証拠集めを行った。彼こそ本当の英雄だ」と称え感謝を表明している。
eスポーツが社会に存在するために
eスポーツの歴史はまだ浅いものの、2015年に明らかになった『StarCraft 2』の大規模八百長事件(参考記事)をはじめ、時折こうした不正が報じられている。eスポーツにおける不正行為と一口に言ってもいろいろあるが、特に賭博、そしてそこから利益を受けようとする八百長は反社会的勢力との関わりを誘発し、何よりも競技の本質のひとつである公平さを大きく損なってしまう。
『LoL』プロシーンでは競技における不正行為の定義と処罰を標準化すべく、世界的な処罰基準である「Esports Global Penalty Index」が2016年に制定された(参考記事)。世界各地のリーグ別に定められたルールももちろん、こうした不正行為に対して断固とした拒絶を盛り込んでいる。不正行為が競技に、そして社会に対してプラスを生み出すことは決してないのだ。