『League of Legends』プロ・セミプロリーグで全世界共通となる処罰基準が発表

League of Legends』(以下、LoL)を運営するRiot Gamesは2月23日、全世界のプロ・セミプロリーグで共通となるルール違反行為と処罰基準の制定を発表。わかりやすさと透明性を増した競技シーンの運営を目指し、定期的な基準の見直しも盛り込まれたシステムが今後運用されていく見通しだ。

 

これまでのプロシーンにおけるルール違反行為と処罰

最近『LoL』コミュニティを騒がせたルール違反とその処罰といえば、リーグへの参加資格停止という重い処分がチームに下された「LJL」の事例が記憶に新しい。各地域トップリーグへの登竜門となるセミプロリーグでは、オンラインで行われる試合も多いため、モニタの前に座るプレイヤーのみを入れ替える「替え玉」行為も後を絶たない。プロ選手がELOブースト(他人のアカウントを使いランク戦のレートを上げる行為、利用規約違反)やアカウント販売を積極的に行っていたことが発覚したケースもある。

こうした違反に対する調査・裁定は、これまで各リーグ公式がそれぞれ行い、経緯と処罰を発表していた。今まではその仕組みがうまく動いていたのだが、実情としては「時間の経過により処罰基準が変化する」「同じような違反行為でも地域間で裁定が異なる」「違反に対する処罰が予測できない」「ケースバイケースであるため裁定まで時間がかかる」といった欠点があった。サーバー設置地域の増加にしたがい、プロ・セミプロリーグの数やその運営に携わる人間は増え続けているが、あらゆる方面に対して説得力を持つ判断が可能な熟練した人材は急に増えはしない。

今回のルール違反行為と処罰基準の制定に際して、発表では「処罰をもっと頻繁に行いたいのではなく、処罰過程を効率化したい。リーグの処罰規範についてもっとわかりやすいコミュニケーションを行うことで、違反行為を取る動機を少なくし、チームと選手を教育していければと考えている」とその意図が述べられている。

 

違反・処罰の基準となる「Penalty Index」

発表されたGlobal Penalty Indexの冒頭部分。
発表されたGlobal Penalty Indexの冒頭部分。

まず、違反行為とそれに対する処罰リストである「Penalty Index」が公開されている。発表ではPenalty Indexの制定意図を「処罰に一貫性を持たせ予測できるようにするため」と説明している。

Penalty Indexは「LCS(LoL Championship Series、北米およびヨーロッパの公認トップリーグ)向け」および「全世界に存在する全公認リーグ向け」の2種類が存在する。LCS penalty index(リンク先はPDF)は、LCSにおいて3競技月間以内の参加資格停止事由となる違反項目が列挙され、それぞれの違反項目に対しての標準的な処罰が記されている。Global penalty index(リンク先はPDF)は、全世界のリーグにおいて標準となる、3競技月間以上の参加資格停止事由となる大きな違反項目リスト。Global penalty index記載の違反は競技の公平性を脅かす重大なものであり、これはLCSを含むあらゆるプロ・セミプロリーグ運営の同意を得ている規範となる。一方でLCS penalty indexには、オフライン試合を毎週行うというリーグの性質上、そういった試合での比較的軽い違反(配信カメラに向かってわいせつなジェスチャーを行うなど)に対する処罰が記載されている。各地域リーグには現状LCS penalty indexと同様の軽微な違反行為について記したpenalty indexが存在していないが、個別にPenalty indexが作られる予定とのことである。

Global penalty indexは毎シーズン初頭に見直され、その時々の問題に対し適切な対処を取るよう変更されるとも告知されている。

 

Penalty Indexの記述

Penalty Indexには、違反行為とその処罰が記述されている。例として「ELOブースト」の項目を見てみよう。

  • 違反内容:ELOブースト
  • 詳細:個人的な報酬(好意・金銭・物質的サービス等)と引き換えに、別プレイヤーのアカウントのランク戦レーティングを上げるため、そのアカウントを操作すること。
  • 典型的かつ最短参加資格停止期間:3競技月間(競技が行われている期間内の月を指す、詳しくは後述)
  • 最長参加資格停止期間:20競技月間
  • 時効期間:12か月

「違反内容」と「詳細」の項目では、具体的な違反内容が記述されている。その下の「典型的かつ最短参加資格停止期間」と「最長参加資格停止期間」は、それぞれ最低限の処罰と最大限の処罰を示している。

最低限の処罰は標準的な処罰だが、最大限の処罰が与えられるのは、類似した違反の中で初めて見られる極めて悪質な行為であるとのこと。たとえば「botプログラムを使って自動的にレベル上げをしたアカウントをただ販売するだけでなく、販売サイトを立ち上げて大規模に販売した」というのは、前者のアカウント販売だけであればよくある違反のひとつであるが、後者のようにリーグやゲーム環境に多大な影響をおよぼす極めて悪質な行為であれば、罪状が悪化し大きな処罰が与えられる。同様に、大きな違反行為を繰り返している場合も罪状が悪化する。

逆に「情状酌量の余地があるケース」では、リーグ公式の裁量によって処罰が軽微になる場合もある。これはたとえば「オンライン公式試合でチームが替え玉を使ってしまったが、替わった選手が自発的に事実をリーグ公式に届け出た」ような、ルールを犯してしまったものの反省を行動に移している場合。また「マネージャーに選手が八百長を強要されたが、脅迫されていたので抗えなかった」といった、選手の安全等が脅かされている場合も、情状酌量の余地があるケースとみなされる。

参加資格停止期間には「競技月間(competitive month)」という単位が用いられているが、これは1年の間にオフシーズンとなる11~12月を除く、実質的に競技が行われる期間を指している。オフシーズン中も参加資格停止期間のカウントが進むのなら、その年の後半に処罰を受けた方が得ということになってしまうため、平等かつ処罰として意味のある期間、ということで設定されている。八百長やチート、非選手のチームスタッフによる選手引き抜きといった違反行為には、最大限の処罰として「無期限の参加資格停止」が定められているが、これらは「競技シーンに影響の大きい重大な違反行為」であるための規定となっている。

最後の「時効期間」とは、1つの違反によって処罰されうる期間の長さを示している。違反行為がこの期間内に報告・暴露・調査開始の対象とならなければ、処罰対象にはならない。無論、隠し通せれば違反してもよいというわけではない。プロリーグに参加中の選手はコミュニティにとって注目の的であり、特にゲーム内やSNSでの振る舞いは常に多くの人間に見られている。

こうして決定された処罰内容は全世界で有効であり、ある地域で参加資格停止を受けた選手は、別の地域でも参加資格停止となる。

今回の処罰基準統一を決定した各地域のリーグ公式はもちろん、参加チームにおいては選手・運営スタッフが一丸となり、スポーツマンシップと透明性のある正当な競技を続けていかねばならないだろう。

 

違反行為と処罰を追跡する「Penalty Tracker」

違反と処罰の基準となるPenalty Indexとちがい、こちらは未公開だが、現在進行中のシーズンに行われた違反行為とその処罰を全て記録した「Penalty Tracker」も公開が予定されている。

先例をつまびらかにすることで、Penalty Indexの存在とあいまって、違反行為を行った場合に受ける処分を明確に予測してほしいという狙いであり、違反抑止の柱の1本となる見込み。

 

よりよい競技シーンを目指すフィードバックシステム

発表ではさらに、プロ選手・チームオーナーとの対話を増やし、LCSの処罰過程および構造について、関係者との議論を進めていく試みが告知されている。このシステムは「LCS Pro Player Panel」と名付けられており、昨年夏以来、各チーム内から代表として選ばれた選手1名がRiotオフィスに招待され、リーグのフォーマットや処罰などに広範囲に渡るフィードバックや議論を定期的に行うという仕組みになっている。これまでこうした話し合いは非公式に持たれていたが、今後は公式にプロリーグ参加中の選手からリーグを改善するための意見を受け取る場とするとのこと。これまで、2016シーズンのSummer Splitのシステム変更や、選手・チーム間契約の変更、そしてPenalty Indexの作成について、「LCS Pro Player Panel」の前身から受けた有益なフィードバックが反映されているそうだ。

Riot Gamesは同様のフィードバックの場をLCS参加チームのオーナー陣とも持っており、LCSへの昇格・降格システムの抜本的見直しなど、既に盛り込まれている変更もある。

“リーグのルールの背後にある目標のひとつは、チームにプロフェッショナルに振る舞ってほしい、良いスポーツマンシップを見せてほしいということにある。選手・オーナーたちといっしょに、これが意味するところについての継続的な対話をもっと続けていくことは、この信念にもとづくものである。”

Penalty Indexの制定にともない大きく透明化を果たした全世界の『LoL』プロ・セミプロリーグ。北米・ヨーロッパにおける、参加者との継続的な対話を通したトップリーグシステムの改善もまた、他地域のリーグにとっての手本となっていくだろう。

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