『Dead by Daylight』では3月末、DLC「Demise of the Faithful」と共に殺人鬼プレイグ・生存者ジェーンが実装されたことは記憶に新しいが、4月になり再び大きな新要素が複数サプライズ実装された。本記事では4月前半に実装された新要素をチェックしつつ、内容を解説していく。
往年の名作ホラー映画の続編ドラマと電撃コラボ、生存者アッシュ登場
3月28日からアメリカ・ボストンで開催されていたゲームイベント「PAX East」にて、海外テレビドラマ「Ash vs. Evil Dead」(邦題:死霊のはらわた リターンズ)の主人公、「アシュレイ・J・ウィリアムズ」通称アッシュが『Dead by Daylight』に生存者として参戦することが公式に発表された。アッシュは1981年に公開された映画「The Evil Dead」(邦題:死霊のはらわた)の主人公であり、誤って「死者の書」により蘇ってしまった人間に憑依する死霊たちと戦うこととなる。今回『Dead by Daylight』では映画3作の続編であるテレビドラマ版から、中年となったもののひょんなことから再び死霊との戦いに身を投じていくこととなったアッシュが登場する。ゲーム内のモデルとボイスは原作でアッシュを演じたBruce Campbellが演じている。
アッシュの固有パークは原作の活躍を反映したアグレッシブなものが揃う
次に、アッシュと共に実装された固有パークを見ていこう。
■フリップ・フロップ
瀕死状態での回復進行度の50%が、殺人鬼に担がれた時にもがき進行度に変換される。最大変換量はもがきゲージ全体の50%分。
殺人鬼から攻撃を受け、瀕死状態となったときに有効なパーク。生存者は瀕死状態となったとき、殺人鬼がその場を去れば自力で95%までゆっくりと回復できる。もしこのパークを装備した状態でそのチャンスを得ると、殺人鬼が戻ってきて担ぎ上げられたとき、最初からもがきゲージが半分ほど貯まった状態になるという効果だ。もがきゲージは殺人鬼から見えないため、フリップ・フロップの効果は発動するまでわからない。うまく成功すればフックにたどり着くと思っている殺人鬼に不意打ちし、窮地を脱することができるだろう。奇しくも3月に実装された殺人鬼プレイグのパーク「伝播する怖気」を装備し、瀕死の生存者を放置して近くの生存者を追うプレイスタイルの殺人鬼に効果を発揮しやすい。
一方、自分が瀕死となったあと殺人鬼がその場を去らなかった場合やすぐに戻ってきた場合はほとんど効果がない。決まれば大きな効果を得られるが、状況を選ぶことは確かだろう。瀕死時の回復速度を上げる「不滅」や、移動速度を上げ、移動中に回復可能となる「執念」と組み合わせることで効果を得やすくなるが、そのためにパーク枠を割くのであれば、積極的に仲間の盾となることで殺人鬼に二兎を追わせることを狙うなど、プレイスタイル自体もパークに合わせることを考えたほうがいいだろう。
■ベルトを締めろ!
最大48メートルまでの距離で、瀕死の生存者の回復進行度がそのオーラの強さで判別できる。あなたが瀕死状態の生存者を負傷状態にまで回復させると、回復したその生存者とあなたの双方に5秒間、殺人鬼のオーラが見える。
これは、フリップ・フロップとは逆に仲間が瀕死のときに効果を発揮するパーク。前者の効果は、瀕死の仲間の回復度により白く光って見えるようになる。ただし瀕死の生存者は一刻も早く回復を図ろうとするのが常であるため、あまり有り難みがあるとは言えない効果だ。このパークの真価は後者、瀕死の生存者を回復すると殺人鬼のオーラを見る事ができる効果にある。瀕死から回復した直後の生存者は非常に危険な状態にあり、殺人鬼の居場所や進行方向を正確に把握することで、逃げる方向や治療を継続するかの判断ができるのは非常に大きい。ただしこのパークもフリップ・フロップと同じように、殺人鬼が二兎を追うプレイスタイルでない限り有効活用できるタイミングは限られるだろう。
■英雄の奮起
殺人鬼の通常攻撃を3回受けるとパークが発動する。パーク発動中、次に負傷状態から瀕死状態になることがあってもそれは無効になる。次に完全に回復した際、殺人鬼から16メートル以上離れている場合は殺人鬼にあなたのオーラを視える。パークはあなたが次に瀕死状態になったときに無効化する。オブセッション状態になる確率が上昇する。オブセッションは1マッチにつき1人のみ。
パークの説明文がやや難解だが、わかりやすく整理するとこうなる。
「殺人鬼の通常攻撃を3回受けると次回負傷状態で受ける攻撃を無効化する。ただし、発動した後に無傷状態まで回復すると殺人鬼からオーラが見えてしまう」
発動には準備が必要だが、殺人鬼が生存者をフックに吊るすための「攻撃を2回当てる」というフローを1.5倍に延長することができる非常に強力なパークだ。『Dead by Daylight』の殺人鬼は、常に発電機の進行度という時間との戦いであり、条件付きで生存者側が大きく時間を稼ぐことができる「与えられた猶予」「決死の一撃」に並ぶ最強力パークのひとつとなるだろう。しかし、パーク説明文ではやや分かりにくい落とし穴もあるので注意が必要だ。
・パークの発動準備を行うためには、殺人鬼の「通常攻撃」を受ける必要がある。プレイグの疫病発症、ヒルビリーのチェーンソー、ハントレスの手斧など、「通常攻撃」に入らない攻撃は意外と多く、強力なもの揃いだ。相手殺人鬼により大きな相性差が発生することは覚悟しておくべきだろう。なお執筆時点のバージョン(2.6.4)ではナースのブリンク攻撃が通常攻撃にカウントされていないが、不具合であり修正予定であると発表されている。
・いざパークが発動可能となったとき、攻撃を無効化するのは「負傷→瀕死」となる攻撃だ。つまり、無傷状態から一撃で瀕死にされた場合、「英雄の奮起」は発動しない。特にゲーム終盤で余裕を持っていたら「呪術:誰も死から逃れられない」で一気に叩き伏せられるパターンは要注意だ。
・パークが発動後、そのまま殺人鬼に追われ続け瀕死となれば「英雄の奮起」の効果は完全に終了する。しかし何らかの理由で逃げ切り無傷まで回復すると、殺人鬼から16メートル以上離れているとき常にオーラが表示されるようになってしまう。この効果だけ見ると類似パークに「執念の対象」があるが、「英雄の奮起」は文字通り“常に”オーラが表示されてしまう。マイナス効果が発動中は殺人鬼や仲間と距離を取り、二次災害を広げないように注意しよう。救急箱があるのであればギリギリまで治療しておき、いざ殺人鬼に見つかったら即座に治療を完了することでマイナス効果を回避するというテクニックもある。
Twitch連携機能でプラットフォームの垣根を超えた大会の開催が可能に
アッシュの実装と同時に、Twitch拡張機能「Amazon GameOn Tournament Organizer」(以下、GameOn)と『Dead by Daylight』の連携が発表された。GameOnは本来ゲーム本体とAmazon Web Serviceが連携し、Twitch配信者と視聴者がゲーム内で競い合うことができる機能だ。配信の視聴からプレイヤーとして配信者と関わることができることを特徴としており、現在『Paladins Strike』や『SCP: Secret Laboratory』などに対応しており、今後『SCUM』にも対応予定であるという。そんな中『Dead by Daylight』の対応が前触れなく発表されたことが反響を呼んだ。後述の公開トーナメントへの参加を求め、一時『Dead by Daylight』の公式Twitchチャンネルが配信中でないにも関わらずチャットで埋め尽くされるほどであった。
『Dead by Daylight』におけるGameOnのトーナメントは、マッチ終了後のランク査定にも使われているエンブレムポイントが使用される。所定の期間・マッチ回数においてより多くのエンブレムポイントを獲得したプレイヤーが勝者となる。現在は殺人鬼・生存者ともに共通で評価されるようになっており、どちらを使用しても同じようにカウントされる。トーナメントの作成は開発スタジオであるBehaviour Interactive(以下、開発チーム)と「Fog Whisperer」と呼ばれる50名の公認配信者に限定されているが、公式アナウンスでは「現在は」と前置きされているため、今後拡張される可能性があるということだろう。また実装時から開発チームがトーナメントを開始しており、こちらは特定の配信者の視聴者でなくても参加できる。
また、GameOnはプラットフォームに関わらず参加可能だ。『Dead by Daylight』はクロスプラットフォームの対応予定はないとされているが、Steam・PlayStation 4・Xbox Oneどのプレイヤーでも平等に競い合うことができるシステムが用意されたのは特筆すべきだろう。
3月に調整されたランク査定が生存者側のみ再調整、ランク昇格が容易に
DLC「Demise of the Faithful」実装である2.6.0アップデートとともにランク査定に変更が加えられ、殺人鬼・生存者ともにランク1~12において昇格および現ランクの維持が難しくなった。それまでは全てのランクにおいて昇格などの条件はすべて同じでありマッチングするプレイヤーと自身の活躍でのみ評価が左右されていたが、この変更からはランクが上昇すればするほどより手強いプレイヤーの中で高度な活躍を迫られるという厳しい仕様となっていた。2.6.4アップデートでは生存者側のみこの仕様が若干緩和され、2.6.0~2.6.3の間よりランク1~12の生存者はランクの維持・昇格が行いやすくなった。この変更について開発チームは「当初の想定より生存者の昇格が困難となり、ランク1~12において殺人鬼がマッチングを行うのが困難となってしまったため」と説明している。
『Dead by Daylight』は地理的な距離とランクによりマッチングを行っているため、殺人鬼:生存者の比率が大きく崩れると待ち時間が長くなってしまう。以前お伝えしたハロウィンイベントでの殺人鬼過多によるマッチング長期化問題と似たような状況が通常の環境でも起こってしまった形だ。2.6.4アップデートによる調整で、高ランクでもマッチング時間が短くなるような結果が期待されるところだ。
次回PTBの開催が予告、終盤戦などに大きなテコ入れが予告
これらの変更に加え、大型アップデート前にベータ版のような形で公開されるPublic Test Build(以下、PTB)が今後数週間以内に公開されることが発表された。特に注目すべきは、今夏の実装が予告されていた専用サーバーのテストが早くも開始されることと、ゲーム開始・終盤の展開に大きなテコ入れが入ることだろう。ゲーム開始時は、何らかの原因でロード中にゲームがクラッシュし、本来4人であるはずの生存者が3人以下で開始した場合は“マッチを中止し、結果画面に戻る”という抜本的な解決策が示された。生存者が修理しなければならない発電機は(合計人数+1)台となっており、少人数の場合は若干の優遇策があるが、殺人鬼に追われたり救助に向かったりしている間の人手不足を考えると少人数マッチは生存者側にとって大きな苦難となる。今回の変更によりこのような状況がなくなり、アイテムなどを棒に振ることは少なくなるだろう。
またゲーム終盤の変更は“End Game Collapse”と名付けられ、マッチ終盤が「よりエキサイティングなものになる」と予告されている。PTB開始前に情報が公開されるとのことなので、こちらも見逃せない。
『Dead by Daylight』は、日本国内向けにSteamおよびPlayStation 4で配信中だ。