『Apex Legends』でチーターの目撃報告相次ぐ。有名ストリーマーたちが開発元に対し警鐘を鳴らす
僅か1ヵ月で5000万人のプレイヤー数を記録した『Apex Legends』。飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を獲得し続けているが、多くの人数が集うゲームタイトルが必ず直面するとも言える、ある問題を抱えている。結論からいえば、抱える課題はチート問題である。
たとえば、Twitchでゲーム配信を行う海外ストリーマーDr.Disrespect氏のチームは、『Apex Legends』の配信中、不正行為を疑われるプレイヤーに一掃されてしまった。その後、ゲーム画面を遮断してカメラアングルを自身のみに切り替え、本作で増加傾向にあるチート使用者について「Respawn EntertainmentとElectronic Artsに警告だ。『Apex Legends』でチートが蔓延しつつある。これはウィルスだ。すぐに根絶しなければならない。」と言及した。
また、Twitchで活動する有名ストリーマーShroud氏は、彼と同じ『CS:GO』の元プロプレイヤーであるSkadoodle氏とjust9n氏と共にプレイする様子を配信中、とある一人の男にチームを全滅させられた。クリップを確認すれば分かる通り、Shroudは敵と鉢合わせになった瞬間に正確に全弾を命中させられ、ものの1秒程度で沈められている。AIMボットに相当するものを使用しているのではないかと疑われる。
本作では先月16日、リリースから約2週間で既に1万6000人以上のチート使用者をBANしたことが報告されており、プレイヤーの信頼を得るという姿勢を見せていた(関連記事)。しかしプレイヤー数の増加とともにチーターもまた増加傾向にあり、コミュニティ内では失望の意を表明するユーザーも現れている。また、現時点では死亡時にチートを即時に通報するなどのレポートシステムが整っておらず、公式サイトのフォーラムへの報告を強いられることも問題点として指摘されている。
これに関連する事例として、業者による迷惑行為がアジア周辺のサーバーを中心に多発している。キャラクターを選択する画面で、ゲーム内ボイスチャットによって何らかの宣伝と思われる音声が繰り返し再生され、試合が始まると同時にゲームを切断していくといったものだ。また、ゲームを切断することはないが、キャラクターを終始立ち止まらせたまま放置させるといったケースも確認されている。
こういったチートや迷惑行為などが横行しているのは、新規アカウントの成長段階で課金アイテムが入手できる『Apex Legends』のゲームシステムが少なからず関係していると思われる。『Apex Legends』は、プレイするごとに戦績に応じた経験値を得られ、一定の経験値が溜まるとレベルが上昇する。レベルが上昇すると、レジェンドや武器のスキンなどがランダムに封入された「Apexパック」を受け取ることができる。
レベルが高くなるにつれApexパックを受け取れる頻度は少なくなり、1レベルから20レベルまでは1レベル上昇ごとに1つ、21レベルから50レベルまでは2レベル上昇ごとに1つ、50レベルから100レベルまでは5レベル上昇ごとに1つとなる。現在の仕様では100レベルでカンストとなるため、無料で受け取ることができるApexパックは45個である。
『Apex Legends』のスキンにはノーマル、レア、スーパーレア、レジェンダリーと4種類のレアリティが存在している。最も珍しいレジェンダリースキンは低確率での出現となっている。またスキン種別も枝分かれしており、武器スキン、レジェンドスキン、レジェンドフィニッシャー、バナーフレーム、バナーポーズ、バナーデータトラッカー、イントロ時セリフ、キル時セリフの8種類が存在している。
【UPDATE 2019/3/7 17:50】
レジェンダリーの排出についての記述を修正しました。
システム上、アカウントを新たに作成して『Apex Legends』のレベルを上昇させてApexパックを開封する、といった手順を目当てのスキンが手に入るまで繰り返す、いわゆる”リセットマラソン”をおこなうことも可能だ。しかし前述のとおり、膨大な種類のスキンが存在していることから、狙ったものをピンポイントに当てられる確率は非常に低いのである。つまり、特定のレジェンダリースキンを保有したアカウントには価値があり、それらを求めるプレイヤーは多く存在しているということだ。
そういった背景から、その需要を満たすべくチートを使用して効率の良いレベリング、もしくは迷惑行為を働く業者によるレベリングの自動化がおこなわれ、レベルが上がったのちにそれらのアカウントが売買されているというケースが散見される。
根本的な解決に繋がるのは運営による対策である。ただユーザーからは、チートや迷惑行為をおこなうプレイヤー同士をマッチングさせてしまうシステムを導入するのはどうかという案も出ている(Reddit)。チート行為はアジア周辺のサーバーで比較的多く見られるため、アジアサーバーにてチーター同士をマッチングさせてしまえば、通常のプレイヤーは、不正行為をおこなうユーザーと出会う確率が低くなるだろう。早急に何らかの策が打たれるのを願うばかりだ。