『LoL』ケイルとモルガナがセットでアップデート。天使の双子チャンピオンは、どのように変化したか?

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは3月6日早朝にリリースしたパッチ9.5で、既存チャンピオン「ケイル」と「モルガナ」のリワークを実装した。このアップデートでは、キャラクター設定からゲームプレイまで、両キャラクターの調整がはかられている。

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは3月6日早朝にリリースしたパッチ9.5で、既存チャンピオン「ケイル」と「モルガナ」のリワークを実装した。このアップデートでは、キャラクター設定からゲームプレイまで、ふたりを構成する要素が現在の環境に即した水準へと改善される。

ケイルはフルリワーク、モルガナはビジュアルのみをリワーク

鎧に身を包んだ背に純白の翼を背負い、その手に携えた剣で罪人に裁きを与える天使「ケイル」。強大な力を手に入れるために堕天使となった妹である「モルガナ」。この2人は2009年のアルファテスト時から存在する最古のチャンピオンに数えられる。ケイルはシーズン1(2010年)の6月にリワークが行われてスキル性能が変更されており、その後も時々小さな調整が加えられてきてはいるが、大きな変更は今回が初めてだ。

モルガナも同様に、実装直後からこれまで大きな性能変更はない。今回の変更にともなって改めて作られた公式紹介動画「チャンピオンスポットライト」でも、「今でも優れたチャンピオンとして活躍しているため、スキルの変更はありません」とアナウンスされている。大幅な変更はないものの、細かな数値調整と、アルティメットスキルの発動中は対象へ向かって移動する際に、移動速度が増加するという新効果が加えられている。

今回のアップデートでまず目を引くのは、2人のビジュアルの大幅刷新だ。これまで140体を超えるチャンピオンを世に送り出してきた開発チームの手により、3Dモデルのプロポーションやテクスチャの質が著しく向上している。既存スキンの数はケイルが9、モルガナが8。それぞれのスキンの外見や演出も全てが一新されており、スプラッシュアートも古いものは描き直され、新しいものも手が加えられている。それぞれの3Dモデルやアートもぜひ堪能してほしい。

詳しくは後述するが、ケイルにはいわゆる「変身」ギミックが新設されており、レベルが上がると兜を脱ぎ翼の数が増えていく。変身の各段階はもちろん、スキンごとにカラーリングや演出が異なっており、画面を見るのも楽しいチャンピオンに仕上がっている。

 

新ケイルは試合終盤志向のハイパーキャリーへ

さて、大規模な改修を受けることとなったケイルの性能を見ていこう。とは言っても一昨年以降ずっと開発関係者が答えてきたように、リワーク前とコンセプトの大枠は変わっておらず、今回のアップデートはどちらかというと、新しいキャラクターのパワー水準に古いチャンピオンを合わせていく類のものだ。通常攻撃の射程は近距離(試合開始時)、消費リソースはマナと変わっていない。

ケイルのプレイの根幹は通常攻撃であり、旧Eはその通常攻撃を近距離から遠距離へと変化させるスキルだったが、レベルが上がるとほぼ常時発動可能になるため終盤はEキーの連打が必要になってしまっていた。よってこの効果は自動的に効果を発揮する変身ギミックとして、新固有スキル「聖なる上昇」へと移動している。ケイルのチャンピオンレベルが上がると、6・11・16という節目のレベルごとに通常攻撃に強力な付加効果がつき、外見が変化していく。新E「星炎の刃」からは遠隔攻撃化能力が完全に消えたわけではなく、発動させると次の通常攻撃は遠隔攻撃に、Lv6以降は対象の周囲の敵にもダメージを与えるようになる。新Q「裁きの射光」は物理&魔法防御と移動速度を低下させる攻撃を放つ唯一のCCスキルだが、対象指定スキルだった旧Qから方向指定スキルに変わっている。

新W「天の祝福」の性能は回復&短時間の移動速度アップと、旧Wからほぼ変わっていないが、こちらはケイル自身と対象の味方の両方に有効になった。そしてアルティメットスキル「聖なる審判」も、対象がしばらく無敵になるという効果は変わらないものの、効果時間終了時に対象の周囲に剣が降り注いで範囲ダメージを与える効果が追加されている。ケイル自身はアルティメットを発動すると効果終了まで「詠唱」状態になり、移動以外の行動が取れないため、集団戦では自身に使うよりも味方に使うのがベターになるだろう。

このように、ケイルのスキルは主に「通常攻撃を強化する」と「ユーティリティを提供する」という2つの能力に分かれている。デザインディレクターのMeddler氏はユーザーの疑問に答えるコメントで「序盤が非常に弱い代わりに、試合終盤にすさまじい強さを発揮するハイパーキャリーとして設計している」と答えており、ある程度までは危険を避けつつファームやアシストでレベルを上げて装備を整えるプレイが要求される。

担当デザイナーのRiot August氏のコメントによれば、固有スキルによって範囲攻撃化した場合には、範囲攻撃全てに命中時効果が適用されクリティカルが発生するほか、Eで遠隔攻撃化した通常攻撃にもあらゆる命中時効果が有効になってルーン「マナフローバンド」が起動する、といった特殊な挙動が存在する。新ケイルが持つダメージ系のスキルには攻撃力と魔力双方の反映率がついている上に、通常攻撃をしてこそ意味があるものばかり。したがってアイテムビルドは旧ケイルとあまり変わらず「グインソー・レイジブレード」を軸とし、攻撃速度を重視したハイブリッドビルドがよさそうである。想定ポジションはミッドおよびトップであるとAugust氏はコメントしているが、PBEでのプレイ動画には旧ケイルでプレイできていたジャングル(YouTube動画)なども存在しており、当分はさまざまな試みがなされるだろう。

 

デマーシアという国家の礎となった双子の天使たち

アップデートにともない、姉妹のキャラクター設定も根幹から一新されている。旧設定では『LoL』の世界から遠く離れた異界より召喚された存在だった姉妹だが、新しい背景においては選ばれた人間に力を授ける神性が住まう「霊峰ターゴン」から正義を成すための力を受け継ぎ、魔法忌避国家「デマーシア」の礎を築いた古の存在という設定になった。ケイルは法にもとづく正義を司り、モルガナは犯した罪のつぐないを望む者たちを救う。そんな2人は協力して民を導いていた。だが、互いに足りないところを補い合っていた彼女らの信念の差が民の対立へとつながり、姉妹は永遠に修復不能な仲たがいを起こすこととなる――この経緯を描いた叙事詩「翼の姉妹の頌歌」も公開されている。

現在のデマーシアにおいて姉妹の存在は遠い伝承となっており、新ショートストーリー「正義の炎のもとに」は民を守るための法と正義を執行するケイルの伝承を、「崩れかけの神殿に捧ぐ祈り」は歴史の影へと消えたモルガナの正義を描く。「デマーシアの物語が大きく動き出す」と予告されていた今年、虐げられてきた魔法使いたちを束ねて反乱を起こしたサイラスの登場に続き、ケイルとモルガナの設定がデマーシアの礎として再定義されたのには、物語展開上の意味が必ずあるはずだ。Marvelとの提携のもと制作されている『LoL』コミックシリーズでも、次の展開はデマーシア所属チャンピオンである「ガレン」と「ラックス」の物語であると予告されている。デマーシアにかかわるキャラクターを総動員する物語は、一体どこまで何を描くのだろうか。『LoL』史上かつてない壮大な展開の続きが楽しみである。

ケイル&モルガナのアップデートを記念して、クロマのセットも期間限定で販売される(日本時間3月6日の記事執筆時点では未販売、後日販売開始予定と告知)。2人のチャンピオンはその古さゆえ価格も安く、ケイルは450BE/260RP、モルガナは1350BE/585RPとなっているため、スキンにこだわらないのならすぐに購入して試すこともできる。ケイルは操作が簡単な反面、ゲーム運びが難しい面があるが、モルガナはクラシックなサポート&ミッドで使い勝手もよい。10年前から愛されてきた双子の天使姉妹は、姿形が新しくなった今後もきっと、皆に愛され続けるにちがいない。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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