『LoL』2019年のプランが発表。ランク制の見直しから新チャンピオン、メディア展開まで

『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の2019年展開予定が公開された。ランク制の見直しや新チャンピオン、新ゲームモード、さらにはコミックや小説といったゲームを超えたメディア展開など、『LoL』は今年も予定が盛りだくさんだ。

リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』を開発運営するRiot Gamesは、1月24日から6日間にかけて2019年の展開予告を公開した。ゲーム内イベントや新規コンテンツから、IPのメディア展開やe-Sportsイベントといった項目まで、今年もユーザーを楽しませるコンテンツが数多く予定されている。

 

スプリット制、新褒賞、ティア区分の見直しで大きく変わるランク戦

パッチ9.2(1月24日実装)と同時に始まった、2019シーズンのランク戦。過去にもフレックスキューの導入やポジション選択といった一部システムの変更は行われてきたが、キューごとにランク評価が存在するという『LoL』のランク戦の根幹は変わってこなかった。しかしシステムは古くなればほころびが生まれ、ユーザーの新しい要望を満たせなくなってしまう。こうした状況を改善するための大きな変更を2019年より導入すべく、昨年いっぱいをかけて変更計画の告知とユーザーとの意見交換が行われていた。

2019シーズンのランク戦には複数の大きな変更が行われるが、そのうちの1つである「ポジションごとのランク」はひとまず日本サーバーでは実施されない。これは従来のキューごとのランク評価ではなく、試合中のポジションごとにランク評価が行われるという新システムだが、ランク戦の根幹に関わる変更のため北米と韓国地域のみでまずはプレビューが行われる。

これまでのランク戦は1年を通した評価により最終的に褒賞がもらえるシステムになっていたが、2019年はシーズン中の区切りである「スプリット」が導入され、3つの期間に分かれることにもなっている。この期間については、メタゲームシステムの主席デザイナーであるSapMagic氏のツイートによると、あくまでその時点での予定ではあるが、スプリット1が1月23日~4月16日、スプリット2が4月16日~7月30日、スプリット3が7月30日~11月5日という日付で進行していくようだ。前述した「ポジションごとのランク」は地域限定プレビューを行うのがスプリット1の期間で、全世界で施行される予定はスプリット2からとなっている。

各スプリットでプレイする価値が生まれるよう、新褒賞「ランクアーマー」も導入される。

これまでブロンズ~チャレンジャーまでが存在し、その中でそれぞれ5ディビジョンに分かれていたティアも再編され、各ティアの最底辺である5番目のディビジョンを削除して4区分へ。そして新たなティアとしてブロンズの下に「アイアン」、マスターとチャレンジャーの間に「グランドマスター」が新設された。シーズン最初、もしくは完全新規プレイヤーがランク戦を始める時に行われる「振り分け戦」もユーザーフレンドリーな仕様へと細かく改善されている。詳細については公式告知を参照されたい。

 

今後も続々と登場する新規&既存のゲームモード

昨年には「オデッセイ」イベント期間限定でPvEモード「オデッセイ:脱出」が開放され、完全新規のPvPゲームモードとして「ネクサスブリッツ」のアルファテストも2回にわたって実施された。これらが好評だったとして、2019年もPvE・PvPの新ゲームモードの開発を行うとのこと。

期間限定ゲームモードについては既存のものの改良も進める予定と発表された。現在開催中の旧正月イベント「ルナーフェスティバル2019」で開放中の「ARURF+」は、あらゆるスキルのコストおよびクールダウンが極小になるハイスピード展開で人気の期間限定ゲームモード「ARURF」の改良版だ。ゲームデザイナーであるRiot Mort氏のコメントによれば、「ネクサスブリッツ」ではチャンピオンのプレイ感触を変化させずにモード独自のバランス調整を行うテストも行っており、とても良い結果が出たために同様のバランス調整を今後は「ランダムミッド(ARAM)」でも行っていくとのことである。

 

ミッドシーズンアップデートの廃止

ゲームプレイプロデューサーのSafelocked氏は動画内でさらに、これまで年2回設けてきた大規模なゲームシステム変更機会を見直すとも発表している。ランクシーズン終了直後から翌年のランクシーズン開始直前までの「プレシーズン」期間は、ランク戦はプレイ可能なものの、評価が褒賞に直結しない上に、大規模変更が入る時期として認知度が高いため、2019年も変わらずシステム変更の時期とする。

一方で例年5月頃に「ミッドシーズン」としてシステム変更を織り込んでいた時期は、ランク戦シーズンの最中のためにシステム変更によるストレスが大きいと見て、大規模変更を取りやめるとしている。ただ昨年は比較的大きな変更を、こうした定常ルーチンの外でも実装できていたことから、ミッドシーズンアップデートがなくなった分の変更は随時通常パッチで行う体制にもするとのことである。現に、クリティカルアイテム群の性能見直しが次期パッチである9.3で予定されており、その後もゲームのダメージ全体の見直しといったものがすでにプロジェクトとして始動していることが発表されている。

 

新規チャンピオンやリワークも

気になるのはチャンピオンに関わる新規要素だ。直近の発表である2018年8月のロードマップでも発表されていた、天使&堕天使の姉妹であるケイルとモルガナのアップデートは今年後半の実装を目指して鋭意制作中。バグだらけであることがコミュニティでも常々ネタにされていたチャンピオン「モルデカイザー」のビジュアル・ゲームプレイのフルアップデートも、今回ついに予告された。

今後の新規チャンピオンとしては、まず本のイメージ画像と共に「不思議系サポート」が予告されている。性能としては味方にバフを与える「エンチャンター」である。エンチャンターの新チャンピオン実装は2012年12月の「ナミ」以来、少なくとも6年ぶりとなる見込みだ。ゲームプレイプロデューサーのReav3氏は11月に「次の新チャンピオンはケイル&モルガナのVGU前に実装する見込みが高い」とコメントしており、ここで言及されているのが「不思議系サポート」の実装になるのかもしれない。さらに新しく「アサシン」クラスのチャンピオンについても開発が始まったばかりと言及されており、「解き放たれし者、サイラス」が先日実装されたばかりではあるが、早くも今後の展開が楽しみになる発表だ。

 

コミックや小説へと広がる『LoL』の世界、ゲームを飛び出す新スキンも

昨年12月に始動したMarvelとの提携コミック第一弾「アッシュ:アヴァローサンの戦母」は第2話まで大好評配信中。展開予告では「アッシュ」の次のシリーズが「ガレンとラックスの関係性を掘り下げる全5話のシリーズ」と予告された。ガレンとラックスは2010年に実装された古いチャンピオンであり、魔法忌避国家「デマーシア」の国家体制を象徴する兄妹でもある。デマーシアを揺るがす革命家たるサイラスの出現にともなって動き出すデマーシアの物語の中で、兄妹の関係にも変化が現れるのかもしれない。デマーシアについては中編小説も発表予定とのことで、ガレン&ラックスのシリーズ完結後の年末には、第3弾として「ゼドがアイオニア最凶のアサシンを追う物語」が待ち構えているとも。侵攻により調和を乱された国家「アイオニア」所属チャンピオンの中では過激派と目されるゼドは人気チャンピオンではあるが、物語での描写はあまり多くない。「アイオニア最凶のアサシン」の正体も気になるところである。

物語展開といえば、2018年は「スターガーディアン」や「オデッセイ」「K/DA」など、チャンピオンが微妙に違うアイデンティティで存在する「平行世界」を掘り下げる設定や物語も充実した年だった。今年もこういった平行世界の展開を続ける方針であり、過去の人気シリーズであるPROJECT・アーケード・スターガーディアンのイベントを開催予定ということなので、これらのシリーズの新スキンや関連ゲームモード、そしてそれらに関係したゲーム内ミッションを大いに期待できるだろう。ショートストーリー「嗤う影の男」が発表された「荒野シリーズ」は既存のスキンシリーズを見直してテコ入れした結果、成功が認められたものであり、こうした既存シリーズのリローンチも行っていくようだ。

「秩序vs混沌」「ガレンvsダリウス」とこれまでのVSイベントは互いのアイデンティティのぶつかり合いを描いてきたが、2019年のテーマはなんと「猫vs犬」。かわいらしい犬のスキンがフィズに実装されるようだ

さらには新スキンテーマとして「少年アニメ」というワードも飛び出している。スキンチームプロデューサーのI am Carlos氏によると、今年前半にスーパーパワーの持ち主や新チャンピオンが登場するとのこと。ゲームを飛び出した「K/DA」の成功もスキン開発予定に大きな影響を与えており、ミュージックに着想を得たスキンを増やしていくとも語られている。他にも2年連続で開催して好評を博した「VS」イベントのチラ見せや、ついにプレステージエディションの4人を並べることができる「K/DAアーリ」「K/DAイブリン」の発売決定、スキンに恵まれないチャンピオンについての新スキンリリースなどについても言及されている盛りだくさんの内容となっているので、ぜひ自分の目で予告を確認してほしい(YouTube動画リンク)。

 

楽しさが広がる2019シーズンの『LoL』は始まったばかり

ここまで盛りだくさんの予定に言及してきたが、以上は全て『LoL』のゲームとIP展開に関連したもののみ。他にも2019シーズンのe-Sports展開として、春夏間の国際大会開催の具体的な場所・日程や、プロ選手への道の整備なども同時に予告されている。

ここで触れられていない新規コンテンツ予定ももちろんあるだろう。どうやら2019年という年はファンにとって『LoL』をゲームの内でも外でも楽しむ機会が広がり、娯楽としての『LoL』にどっぷりと浸かれる年になっていきそうだ。

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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