『Dead by Daylight』PTBバージョン2.5.0配信開始。窓枠乗り越えやパークの仕様変更など、今回のバランス調整点を解説
日本時間1月9日未明、『Dead by Daylight』Steam版においてバージョン2.5.0のパブリックテストビルド(以下、PTB)が公開された。これは大規模アップデート前に恒例で実施されている公開テストであり、新要素やゲームバランスの調整を本実装およびPlayStation 4およびXbox One版の配信前に体験し、フィードバックを集めるためのものだ。PTBは、Steam版Dead by Daylightを所持しているプレイヤーであれば誰でも参加可能。PTBへの参加方法はこちらをチェックしよう。
今回PTBで実装された内容は、12月にリリースされた新殺人鬼等を含むDLC「Darkness Among Us」と3月にリリースされる次期DLCの合間にあたるゲームバランス調整が主だ。目立った新要素は少ないものの、見逃すことができない変更がいくつか含まれている。重要度が高いものを中心にチェックしていこう。
生存者はバランス調整やバグ修正により大きな変化が
まず生存者側から見ていこう。窓枠の乗り越えに下記の変更が加えられた。
中間速度の窓枠乗り越えにアニメーションを追加
中間速度の窓枠乗り越え速度を1→0.9秒に変更
窓枠乗り越え後に慣性を追加(乗り越え後に立ち止まらないように)
殺人鬼に見つかったとき大いに活用する必要がある窓枠。現在、窓枠を乗り越えるモーションには下記3パターンがある。
①片手をつきながら勢いよく飛び越えてそのまま走り続ける高速乗り越え
②両手をつきながらお尻を上げ、両足を使ってバタバタと乗り越える中速乗り越え
③音を立てないよう静かに乗り越える低速(ステルス)乗り越え
走っていない状態で窓枠を乗り越えると③となる。速度は遅いものの音を立てずに窓枠を乗り越えられるため、殺人鬼に見つかっていない状態ではよほどの理由がない限りこの乗り越えを使っているだろう。
チェイス中に発動したいのは①だ。素早く、乗り越え後もスムーズに走り続けられるため、よほど殺人鬼に接近されていない限り引き離せる可能性が高い。しかし、このモーションで窓枠を乗り越えるには必ず直線で2.5m以上助走して窓枠に飛び込まなくてはならない。この条件を満たせないと②の中速乗り越えが発動する。
バージョン2.4.0では、この中速乗り越えを行うと1秒間の硬直が発生し、乗り越えたあとも一瞬立ち止まってしまう。殺人鬼の攻撃は窓枠越しでも届くため、高速乗り越えをしようとした場合助走が足りず中速乗り越えとなり、あっという間に殺人鬼に追いつかれて窓枠越しに攻撃を受けてしまった……というのは誰しも経験したことがあるだろう。
今回のPTB 2.5.0ではこの中速乗り越えの硬直が0.9秒に軽減され、更に乗り越え後に若干の慣性が残り、移動の再開しやすさが少し上がった。高速乗り越えがベストであることに変わりはないが、中速乗り越えせざるを得ない状況のとき殺人鬼の攻撃を被弾してしまう可能性が少し抑えられた。特に助走のスペースや時間が十分確保できないケースがある壁の迷路のエリアや、各マップの固有建築でのチェイスが少し楽になるだろう。
次に、発電機修理に関するバグ修正に注目しよう。
発電機は、基本的に2人以上での修理が可能だ。しかし1人あたりの修理効率をそのまま反映することで発電機の修理速度があまりにも早くなり、殺人鬼の対応が非常に困難となるマッチが発生していたため、バージョン1.2.0(2016年10月配信)で上記の弱体化が施された。いつの段階からこの仕様が正常に動作していなかったかは公開されていないが、PTB 2.5.0におけるバグ修正は同じ内容の再適用だ。
このバグ修正により、少なくとも2.4.0と比較して発電機の修理効率に大きな変化が生じることになる。発電機の修理は生存者にとって生死を左右する極めて重要な要素だ。そのため、この修正内容にもう少し注目したい。 発電機を単独で修理した場合、修理完了までは80秒かかる。これを前提とし、発電機の修理人数別に必要時間を確認しよう。※なおスキルチェックは発生せず、修理速度に影響を及ぼす要素は存在しない状況と仮定する。
このように、同時に修理する人数が増えるほど発電機の修理効率は低下する。それでも単独で修理するよりは遥かに早く修理を終えることができるが、ここではあえて「協力」によって発生する潜在的な損失に注目したい。例えば80秒間という限られた時間で発電機の修理を行うとき、C列にある通り、4人で同時に修理すると2.8台しか修理できない。一方4人が散開し別々に修理すれば同じ80秒間で当然4台修理できる。発電機丸々1台以上の差が開いてしまうのだ。
もちろん現実には殺人鬼の接近や仲間の救助などにより臨機応変な対応を迫られるが、マッチ序盤、マップ上に未修理の発電機が多く残っているときはあえて共同作業をしないことで修理効率を上げるべきかを一考する価値があるだろう。一方ゲーム終盤で修理できる発電機が少なくなってきたときは、残り発電機の配置を考慮しつつ、全体的な効率より1台の修理速度を重視して修理をねじ込むか否かという状況判断を行うと、更に脱出率を高められるかもしれない。
生存者のパークもテコ入れ、不人気パークに光が
生存者のパークにも複数のバランス調整が入った。主なものを見てみよう。
効果範囲から抜けた生存者に対する効果残存を15/20/25秒→15/15/15秒に変更
有能の証明(Prove Thyself):効果変更
4m以内で発電機を修理している自分以外の生存者1人につき、発電機の修理速度を1/2/3%→10/10/10%上昇(最大3/6/9%→30/30/30%)
協力行動で得られるBPを50/75/100%増加
有能の証明の効果が発動するのは1回につき1人のみ
セルフケア(Self Care):全ての治療行為の速度を45/35/25%低下させるように
※素手で治療する際に適用されていた50%の速度低下は削除されます。
※開発チームより:この仕様はPTB用にテスト変更されたものです。本実装されない可能性があります
主に発電機の修理速度を上げるために活用されていた「リーダー」はその息を潜め、代わりに効果が弱すぎるために完全な不人気パークと化していた「有能の証明」が一躍発電機修理高速化パークとして躍り出た。その効果も前述の共同作業による効率低下を自分のみ相殺するよう調整されており、しかも獲得ポイントが増加する効果が新設された。『Dead by Daylight』は仲間と協力してナンボ!という人はぜひ獲得したいパークのひとつとなった。
一方バージョン1.7.0(2017年9月配信)で弱体化されたセルフケアは、2.5.0で大きな変更が加えられた。自分に対する治療速度ペナルティが緩和される代わりに、仲間に対しても治療速度ペナルティが適用されるようになったのだ。素手や医療キットを使った仲間の回復はもちろん、治療速度を上げる「きっとやり遂げる」や「植物学の知識」の効果と相反するようになってしまい、協力的なプレイスタイルと相性が悪くなってしまった。前述の「有能の証明」とは対照的に、孤独を愛するプレイヤー向けのパークとしての特徴が濃くなったと言えるだろう。
殺人鬼に大きな仕様変更、ピッグとリージョンは強化
殺人鬼側はフックの生成に若干の仕様変更が入ったが、それよりも生存者側のある仕様変更の影響が大きい。
今まで生存者側はマッチを終了(つまり死亡あるいは脱出成功)すると結果画面に遷移することができ、殺人鬼のロードアウトを閲覧することができた。生存者側がフレンドとプレイしているとボイスチャット等でまだゲーム中のプレイヤーにも内容を共有されてしまうことが不公平感を生んでいたが、今回の変更により一律に閲覧することができなくなった。「呪術:誰も死から逃れられない」「血の番人」「怨恨」など、マッチ最終盤で真の力を発揮するパークを活用しやすくなった。
また、殺人鬼ピッグには下記の変更が加えられた。
※ピッグ:ジグソウボックスが近距離に出現しないように
殺人鬼ピッグ
しゃがみ&しゃがみ解除の必要時間を2→1.3秒に変更
アドオン”Combat Straps”の効果を1→0.3秒に変更
※基本必要時間の変更に対応するため。
脅威範囲を28→32mに変更
しゃがみ&しゃがみ解除時の脅威範囲の縮小&拡大時間を6.6→4秒に変更
しゃがみ攻撃発動のスコアを50→100に変更
しゃがみ攻撃命中のスコアを250→500に変更
ピッグ1つ目の特殊能力、逆トラバサミが極端に解除しやすくなるジグソウボックスの配置に対策が施され、2つ目の特殊能力、しゃがみの発動・解除の速度が上昇し、しゃがみ攻撃の報酬ポイントが増加した。一方脅威範囲が拡大することで生存者に察知されやすくなってしまったが、これは速めに設定されている移動速度に頼らず、もっとしゃがみ攻撃を活用するようプレイヤーに示唆を与えているようにも見える。しゃがみの高速化はチェイス中のフェイントに活用しやすくなった側面も持つため、積極的に狙っていきたいところだ。
そして昨年12月に実装されたばかりの殺人鬼リージョンに更なる強化が加えられた。
殺人鬼リージョン
手動で狂奔を終了しても能力ゲージがリセットされないように
狂奔モード中の視覚ブラー効果を低減
既に負傷している生存者を狂奔攻撃した際、深手タイマーのカウントダウンを30→20秒に変更
※無傷の生存者に対しては30秒のまま。
※開発チームより:この仕様はPTB用にテスト変更されたものです。本実装されない可能性があります。
『Dead by Daylight』の恒例行事として、新殺人鬼の実装直後はその能力のユニークさゆえに対応できず蹂躙されるプレイヤーが続出するが、ひとたびコミュニティが冷静さを取り戻すと対策が広まり、実装時ほどの脅威が感じられなくなるという流れがある。リージョンは実装前からキャラクターの強さ自体に賛否両論があったが、特殊能力を使用した攻撃は無傷の生存者にも負傷中の生存者にも与える結果が変わらないという仕様を突かれ、あえて負傷を治療せず発電機の修理に専念するという戦略が成り立っていた。今回の変更では、既に負傷している生存者に対して特殊能力を使った攻撃を行うと深手ゲージの進行が早まる特性が追加されたため、負傷状態を維持することに大きなリスクが伴うようになった。
間もなく発売3周年を迎えようとしている本作は、新要素だけでなくバランス調整においても活発な変更が行われている。しかし、いくつかの変更点に但し書きが付記されている通り、PTBは本実装前のテストの目的が強く、全ての変更がそのまま本実装されるとは限らないことは念頭に置いておくべきだろう。
1月末から旧正月イベントの開催も予告されている『Dead by Daylight』 は、日本国内向けにはSteam/PlayStation 4にて配信中だ。
【UPDATE 2019/1/12 22:50】
隔週金曜日に行われているDeveloper Streamにて、PTBで行われたバランス調整の更なる変更が発表された。本記事で取り上げた内容に関してアップデートする。
まず、「セルフケア」の仕様変更だ。前述の通り「セルフケア」は素手で自分を治療することに対する50%の速度低下が削除され、代わりに仲間の治療も含む全ての治療行為の速度が45/35/25%低下する仕様に差し替えられていたが、本実装の見送りが決まった。しかし「効果のアイデア自体は気に入っている」とのことで、今後全生存者共通パークとして別に実装することを検討するとのことだ。
次に「有能の証明」と発電機の修理速度についてだ。このパークの効果が変更されることはないが、PTB現在では工具箱など他の修理速度上昇効果にも最大30%のバフが乗ってしまっているため、想定よりはるかに早く発電機を修理できてしまう。これは修正され、本来PTBで想定されていた効果が本実装される予定だ。「有能の証明」は数値だけ見ると非常に効果が高くなったように見えるが、最大でもPTBで修正された不具合である発電機の複数人同時修理ペナルティを相殺するに留まるため、2.4.0より発電機修理は遅くなるという再確認がなされた。
最後に殺人鬼リージョンの大きな変更として挙げられた、既に負傷している生存者を特殊能力で攻撃したときの深手タイマーが20秒に短縮される仕様変更だが、これも本実装は見送られることとなった。この変更は上でも述べた、生存者が負傷状態を気にしなくなる問題についてコミュニティから寄せられた解決策だったが、実装を見送ったのは「結果に満足しなかったため」としている。今後、リージョンは別のバランス調整を検討していくとのことだ。