『ディビジョン2』PC版はSteamではなくEpic Gamesストアにて販売へ。今後のUbisoft新作についてもEpic Gamesストアでの販売予定あり


UbisoftとEpic Gamesは1月9日、『Tom Clancy’s The Division 2(ディビジョン2)』のPC版を、Ubisoftの自社プラットフォームであるUbisoft Storeのほか、Epic Gamesストアで販売することを発表した。前作『ディビジョン』が配信されているSteamでの販売予定は無し。『ディビジョン2』のSteamストアページはすでに削除されている。

また今回の提携にあたり、どちらのストアのプレイヤーであってもシームレスなソーシャル機能・相互運用を実現できるよう、Ubisoftのデジタル著作権管理ソフトUplayと、Epic Gamesストアのオンラインサービスとの統合を進めるとのことだ。

PC版の予約はUbisoft StoreおよびEpic Gamesストアにて受け付け中。スタンダード、ゴールド、アルティメットエディションが揃えられており、Epic Gamesストアで予約したプレイヤーもプライベートベータに参加可能となっている。

※E3 2018にて公開されたゲームプレイトレイラーの日本語字幕版

2018年12月に正式オープンしたEpic Gamesストアは、Steamよりも開発者有利なロイヤリティ配分(開発者の収益配分は、Steam:通常70%、Epic Gamesストア:88%)や、インディータイトルのローンチ独占発表により注目を集めてきた。後者に関しては、すでに配信されている『Hades』『Ashen』『Hello Neighbor: Hide and Seek』のほか、今後は『Genesis Alpha One』『Maneater』『Satisfactory』『World War Z』『Super Meat Boy Forever』『The Walking Dead: The Final Season』などの配信が予定されている。

なおローンチ独占にあたっては『Maneater』の販売元Tripwireが、Epic Gamesによる開発資金の出資をほのめかしていたほか、『Satisfactory』のCoffee StainはEpic Gamesから契約金を受け取っていると明確に語っている。

そしてこのたび、『ディビジョン2』という最注目AAAタイトルのひとつを獲得してきた形となる。Ubisoftは今後も複数の自社タイトルについて、Epic Gamesストアと提携すると発表しており、SteamではなくEpic Gamesストアで販売するというパターンは今後も続くと考えられる。なお2月に発売されるUbisoftの新作『Far Cry New Dawn』に関しては、現時点でまだSteamストアページでの予約を受け付けている。こちらのタイトルに関してはこのままSteamで販売されるのだろう。

Valveは2018年12月、ヒットタイトルを対象としたロイヤリティの段階的引き下げを発表(関連記事)。ゲームの収益が1000万ドル(約11億円)に達すると、Valveのロイヤリティ(ストア税とも表現される)が通常の30%から25%へと変更。5000万ドル(約54億円)に達した時点で、それ以降の収益に対するロイヤリティが20%へと引き下げられるというものであった。

大型タイトルのSteam離れを防ぐ狙いがあったと思われるが、いきなりSteam売上ランキング常連のUbisoft新作を失うことになった。Steamの2018年売上ランキングでは、トップ12(プラチナ区分)に『レインボーシックス シージ』『アサシン クリード オデッセイ』『ファークライ5』が入っており、続くゴールド区分にも『アサシン クリード オリジンズ』、シルバー区分に『ゴーストリコン ワイルドランズ』が入っている(関連記事)。今後Ubisoftの新作が販売されなくなれば、Valveとしては痛手となる。

今回の提携発表にあたりEpic GamesのCEO Tim Sweeney氏は「私たちのゴールは、パブリッシャーに魅力的と感じてもらえるストアを提供することです。それはユーザーと直接つながることができる仕組みや、88%の収益配分という形で実現しています。特に後者は、クリエイターがさらに素晴らしいゲームを制作するための資金を投資することを可能にします」とコメント。Ubisoftのヴァイス・プレジデントChris Early氏は、「Epicはこれまでにもゲーム業界の慣例を打ち破ってきましたが、Epic Gamesストアも同様です。そしてUbisoftでもこれをサポートしたいと考えています」と語っている。UbisoftのようにSteamからEpic Gamesストアに鞍替えする大手パブリッシャーが増えていけば、Epic Gamesの存在感はさらに増していくことだろう。

※『ディビジョン2』のPC版フィーチャーの説明動画

PC版スペック表 Image Credit: The Division 2 Official

オープンワールド・オンラインRPGシューター『ディビジョン2』では、ウィルス・アウトブレイク発生から7か月後の米国ワシントン D.C.を舞台に、首都制圧を企む組織を阻止するため自律部隊ディビジョンが再び立ち上がる。前作『ディビジョン』はローンチ時点でのエンドコンテンツ不足が指摘されていたが、続編では初めから本格的なキャンペーンと、最大8人で挑むレイドを含む濃密なエンドゲームが用意されるという。またローンチ後も無料DLCとしてさまざまなコンテンツが追加されていく。

『ディビジョン2』はPlayStation 4/Xbox One/PC(Ubisoft Store/Epic Gamesストア)向けに、2019年3月15日に発売予定。開発は前作と同じくMassive Entertainmentメインで進められている。