『レインボーシックス シージ』アジア展開を踏まえたゲーム内表現の一部変更プランを全撤回。コミュニティからの猛反発を受けて

『レインボーシックス シージ』で予定されていたゲーム内表現の一部変更プランが撤回された。『レインボーシックス シージ』のアジア展開拡大を想定して暴力・性的表現、ギャンブル関連のビジュアルを修正する計画であったが、コミュニティからの猛反発を受けて撤回する形となった。

Ubisoftは11月20日、『レインボーシックス シージ』の公式ブログを更新し、今月初頭に発表したゲーム内の表現変更プランを撤回することを伝えた。同社は当初、『レインボーシックス シージ』のアジア展開を拡大する上で、ゲーム内の一部表現に手を加える旨を告知。内容としては、マップ・アイコンの暴力表現・性的表現・ギャンブル関連のビジュアルを変更・削除するというもので、主にガイドラインが厳しい中国での展開を想定した表現変更プランではないかと、コミュニティ内では推測されていた。

この表現変更については、開発チームの負担軽減・迅速なコンテンツ開発を可能にすべく、各国共通の単一ビルドとして運営していく方針を見せていた。ただし、現実的には全ての国にて単一ビルド運営を続けることは難しいため、特定地域では別ビルドで運営していくことになる可能性があるとも伝えられていた(関連記事)。ベースとなるグローバルビルドでできるだけ多くの国をカバーしつつ、さらなる例外対応が必要な国では細かな個別措置を行うといった具合だろう。しかしながら、こうしたUbisoftの方針に反発する声がコミュニティの一部からあがり、Steamのユーザーレビュー欄では否定的意見が激増していった。具体的には、ゲームプレイへの影響を危惧する声や、Ubisoftの運営方針を疑問視する声が挙がっていた。

メレーアイコンのナイフが拳に、デスマークの骸骨が人型のシルエットに変更。そのほかマップ上の髑髏や裸体の女性のシルエット変更、スロットマシーンや血痕の削除などが計画されていた

これらの変更は、先日詳細が発表されたイヤー3シーズン4「ウィンドバスティオン」(関連記事)の開幕にあわせて実装される予定であったが、このたび、表現変更に関する予定を全撤回することがアナウンスされた。Ubisoftいわく、コミュニティおよびプレイヤーの意見を踏まえて新たな解決手段を模索した結果、全撤回という決断に至ったという。全プレイヤーのゲーム体験、特にリリース当初からゲームをサポートし続けてきてくれたプレイヤーのゲーム体験を尊重するために、開発陣が意図したゲーム本来のビジュアルを、可能な限りキープしようという考えであるとのことだ。既に工数をかけて対応を進めていたプランを、公開ギリギリのタイミングで破棄しなくてはいけないほどに、コミュニティからの反発が大きかったとも読み取れるだろう。

アジア展開の拡大を想定した表現変更プランであったことから、今回の撤回がアジア圏のプレイヤーにどう影響するのかどうか気になるところ。その点Ubisoftは、既存のプレイヤーはこれまでどおり他国のプレイヤーと同じ内容のゲームを遊べると伝えている。あくまでも既に販売対象となっている国のプレイヤーについての話であり、これから進出する予定の国での対応については語られていない。現時点ではまだ発表できる段階ではないことがうかがえる。

表現変更自体は、既に開発が進められている「ウィンドバスティオン」アップデートに盛り込まれており、これからアップデート配信までの期間内に、表現を元に戻していく作業に入るという。よって、ほぼほぼ変更前の表現内容に戻った状態でアップデートが配信される予定であるが、配信開始までの日数が限られているため、一部変更内容の戻し作業は、アップデートの配信に間に合わない可能性があるとも伝えている。また既に変更した内容を短時間で元に戻すことは容易ではなく、内部テスト/デバッグ期間も限られることから、シーズン開幕の延期やビルド安定性の低下につながる恐れがあるとのことだ。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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