『フォートナイト』がダウンするとPornhubのアクセスが増える。ゲームの成長と合わせてアダルト需要や脱衣フォートナイトの人気が上昇中

『フォートナイト』では4月11日、大規模なサービス障害によりゲームを遊べない状態が丸1日続いた。では、その1日の間ゲーマー達は何をしていたのだろうか。大手アダルトサイトのPornhubが開示したデータによると、手持ち無沙汰になった『フォートナイト』プレイヤー達の一部はアダルトサイトになだれ込んできたようだ。

『フォートナイト』では4月11日、大規模なサービス障害によりゲームを遊べない状態が丸1日続いた。では、その1日の間ゲーマー達は何をしていたのだろうか。大手アダルトサイトのPornhubが開示したデータによると、手持ち無沙汰になった『フォートナイト』プレイヤー達の一部はアダルトサイトになだれ込んできたようだ。

 

サービス障害でPornhubの検索数上昇

オンライン・マルチプレイゲームではサーバトラブルが付き物。本作も例外ではなく、2018年2月にもアクセス集中に伴う長期メンテナンスを経験している。ただし、累計プレイヤー数が4500万人を超え(Dot Esports)、マスメディアにも取り上げられる大ヒット作へと成長した『フォートナイト』ほどのタイトルにもなると、ゲームとは直接関係のない業界にまで影響が波及する。

『フォートナイト』が緊急メンテナンスを実施していたその日、Pornhubの公式Twitterは「早く復旧してもらわないと、次は私たちのサーバがクラッシュしてしまいます」とつぶやいた。これはつまり、『フォートナイト』がダウンするとPornhubにアクセスが集中するということなのだろうか。公式Twitterの反応に興味を抱いた海外メディアのPCGamesNはPornhubにコンタクトを取り、『フォートナイト』のサービス障害が実際にサイトのトラフィックに影響を及ぼしたのかどうかを質問。率直に言うと、答えはイエスだった。

「フォートナイト」というキーワードでの検索数が急上昇。Image Credit: Pornhub.com/insights

開示されたレポートによると、『フォートナイト』のサービスが停止していた時間帯、Pornhubでは「フォートナイト」という単語の検索数が60%増加。そしてサービスの復旧と時を同じくして平常時の数値に戻っていったという。またGoogle Analyticsのデータと照らし合わせ結果、同期間中はゲームに関心の強いユーザ全般からのアクセスが増えていたことも併記されている。

Pornhubが自身のサイトで『フォートナイト』に言及したのは今回が初めてではない。3月20日には「Pornhub Battle Royale」と題されたレポートにて、『フォートナイト』の人気拡大に合わせて関連キーワードでの検索数が急激に増えたことを伝えている。2017年7月に早期アクセス販売が開始された当初はそれほど人気ではなかったが、2017年9月にバトルロイヤルモードが追加されてから数字が伸び始め、2018年3月に人気アーティストDrakeがTwitch配信者Ninjaのストリームに参加した際には検索数が824%も上昇したという。

緊急メンテナンス中に限らず、平常時の検索数自体も増加傾向にある『フォートナイト』。Pornhubが公開した2017年の検索キーワードランキング(関連記事)では『オーバーウォッチ』や『ポケットモンスター』のキャラクターがランキング上位を埋め尽くしていたが、2018年には『フォートナイト』が何かしらの形でランキングに食い込んでくる可能性が高いだろう。

 

脱衣フォートナイトで再生数を荒稼ぎ

『フォートナイト』とアダルト要素を組み合わせたコンテンツのニーズが高いことは、「ストリップフォートナイト」の人気ぶりからも窺える。これはゲーム内で1キルを達成するごとに女性が1枚ずつ衣服を脱いでいくというコンセプトの動画を指す。女性ストリーマーが自らセクシーな衣装で視聴者を誘うのではなく、男性配信者が女性をゲストとして呼び、両者の掛け合いと脱衣への期待を楽しむという形式を取っている。出演している女性にもよるが、人気YouTuber「RiceGum」氏の「ストリップフォートナイト」シリーズは1000万回再生を超えているものが多い。

Image Credit: RiceGum

視聴者を誘うため、挑発的なタイトルとサムネイルにより肌の露出をほのめかしているわけだが、実際にヌードを見せてしまうとYouTubeのガイドラインを破ることになる。よってほとんど肌を見せることなく、もしくは自主規制により胸元が見えないよう隠されたまま終わる。視聴者の多くが期待しているであろう展開にはならないことから、一種の釣り動画とも言える。ただ、再生数欲しさに真似する動画配信者が増えると、タイトルやサムネイルの煽りもエスカレートしていく。その一例として生まれたのが、「One Kill = One Clothing With My 13-Year-Old Sister(13歳の妹と一緒にストリップフォートナイト)」という、未成年の脱衣行為を匂わせる動画だろう(Polygon)。動画を公開したのは、自らクリックベイトを多用していることを認めているtouchdalightことCarmie Sellitto氏。実際には13歳でも妹でもない女性YouTuberが出演していたわけだが、その扇情的でペドファイルな煽り方から批判が集まり、今では動画は削除されている。

世界的に人気なゲームとお色気をセットにすることで、再生回数を荒稼ぎする「ストリップフォートナイト」の配信者達。チャンネル登録者数が1000万人を超えている人気YouTuberのRiceGum氏は、「とんでもない再生数を稼げるとわかっていながら止める理由なんてないだろう」と自身の動画にて発言している。これに対し『フォートナイト』で頭角を現したTwitch配信者Mythは、「なぜなら動画配信者は強い影響力を持っていて、若い視聴者たちがあなた自身やあなたの価値観を参考にするかもしれないからですよ。あなたのコンテンツを見る限り、物質主義的な価値観や、セックス、そのほか多くの不快な内容に頼っているものが多くて、それらが問題を招くかもしれないですよね」と、同じくインフルエンサーという立場にある者としての意見を述べている。

「RiceGum」氏の動画に関しては、女性との掛け合いを通じてコメディタッチの動画に仕上げようという意向が見える。だが『フォートナイト』は若年層からの人気が高いコンテンツ。「Myth」氏がコメントしたように、人気配信者が率先して色気に頼ることを懸念視する声もあるようだ。ちなみにYouTubeのガイドラインは、動画のサムネイルについて「コンテンツに最適なサムネイルを選んでください。性的な刺激のあるサムネイルを選択すると、サムネイルが削除されたり、動画に年齢制限が設けられたりすることがあります。サムネイルはサイトの至るところで動画の横に表示されるタイトルカードであるため、すべての年齢層に対して適切なものであることが求められます」と規定している。どこまでの表現であればOKなのか、「ストリップフォートナイト」は配信プラットフォームと配信者との探り合いという側面も有している。

 

「一緒にフォートナイトしない?」という誘い文句

「ストリップフォートナイト」のYouTube動画では『フォートナイト』の広告が流れることもあるのだが、開発陣が許容しているわけではない。Epic Gamesは「ストリップフォートナイト」を問題視する記事を公開したPolygonに対し、ブランドイメージにそぐわない動画で『フォートナイト』の広告が使用されないようフィルタリングを強化するとのコメントを寄せている。

一方、Epic Gamesがスポンサーした動画として、大学生(主に女子大生)相手に「一緒に『フォートナイト』しない?」と声をかけて連絡先を交換するという趣旨のものがある。YouTubeチャンネル「BigDawsTv」にて公開されているものだ。日本で言えば、大学キャンパス内で「一緒にモンハンしない?」と誘うようなものだろうか。ナンパ行為自体がハラスメントと見なされがちな時勢ではあるが、BigDawsTv氏の人柄、そしてゲーム仲間を探すという無害な名目が相まってか、バッシングの対象とはならなかったようだ。

https://www.youtube.com/watch?v=i-M4y8aY1dg&t

Pornhubではアダルト動画、YouTubeでは脱衣動画の人気が高まり、汎用性の高い誘い文句としての可能性すら秘めた『フォートナイト』。これまで暴力、性的表現、射幸性ビジネスといったマスメディアに叩かれやすいトピックから距離を置いた作品として成長を遂げてきたわけだが、このまま『フォートナイト』とアダルトを結びつけるコンテンツが増え続けると、事情はまた変わってくるのかもしれない。

Ryuki Ishii
Ryuki Ishii

元・日本版AUTOMATON編集者、英語版AUTOMATON(AUTOMATON WEST)責任者(~2023年5月まで)

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