デジタルゲームの中古販売を可能にするPC向けプラットフォーム「Robot Cache」登場。売れば売るほど開発者に利益が生じる
今月1月16日に発表されたゲーム販売プラットフォーム「Robot Cache」がEurogamerなど海外のゲームメディアの間で大きな話題を呼んでいる。同プラットフォームのローンチは海外時間で4月〜6月内に公開予定だという。初代『Fallout』や『Wasteland 2』に携わったBrian Fargo氏が中心となり、プラットフォームが立ち上げられる。ゲームのDL販売が主流になった昨今において、ネットを通じて直接デジタルゲームを購入することができるストアというのは別段新しいものではない。
ではこの「Robot Cache」の何が注目されているのかというと、デジタルゲームの中古販売を取り扱っているということ、そして中古品の販売を通じてデベロッパーに利益をもたらすということだ。これまでデジタルゲームの中古品販売は同じくPCゲームプラットフォームGreen Man Gaming なども一時期方向性を模索していたが、このシステムではブロックチェーン技術を応用し導入されている。
このシステムを説明すると、先ずユーザーAは既に遊んだゲームのデータを「Robot Cache」を通じて新たなユーザーBに売却することができる。ユーザーAは販売を介して利益を得るわけだが、その内の70%は開発者側に送られ、5%はプラットフォーム側が回収、残りの25%の利益がAの手元に残ることになる。そしてAが受け取るのは現金ではなく、「Robot Cache」のみで使用できる仮想通貨「IRON」だ。
「IRON」はプラットフォーム内で販売されているゲームの購入に使用できるほか、同サービスを通じてマイニングが可能である。ちなみに中古販売価格は開発者側が決定することができるようだ。さらにAが売ったデータはBに渡り、Bがそのデータをまた新たなユーザーに売却する。売却する度に開発者に利益が発生し、仮想通貨が発行される。そしてこの膨大な情報のやり取り、すなわち「ゲーム売却履歴の追跡」を安定化させているのがブロックチェーン技術というわけである。
「Robot Cache」ではデベロッパー/パブリッシャー側の売上に対するプラットフォーム手数料が業界水準(30%)より25%低い「5%」であるという利点や、ブロックチェーンによるデジタルゲームの取引規模の把握により、さらなるデータ売却規模のコントロール、透明性と安全性の高いデータ所有権の維持ができることを謳っている。
過去Amazonが「電子書籍の中古販売」の特許を取得しているものの現在大きな動きはなく 、更に開発者側に明確な利益が生じる中古物取引の仕組みというのは存在していなかった。超えるべき壁は多く、PCゲームプラットフォームとしてどのように浸透するかはまだ想像に難しいが、ポテンシャルを感じさせるのも事実。静かにその経過を見守りたい。