『The Last of Us Part II』PSXにてシナリオに関する新たなヒントが与えられる。次なるゲーム映像は「E3 2018」にて公開

 

米国アナハイムにて12月9日に開催された「PlayStation Experience 2017」のパネルディスカッションにて、Naughty Dogのクリエイティブ・ディレクターNeil Druckmann氏、共同ライターHalley Gross氏、そして『The Last of Us Part II』の主要キャストが登壇した。司会を務めたのはコメディアン/女優のHanna Hart氏である。

まずはエリー役のAshley Johnson氏とジョエル役のTroy Baker氏による歌唱からスタート。曲は米国で有名なフォークソング「Wayfaring Stranger」である。悲しい世界を旅する放浪人が、これ以上彷徨い続ける必要のない、病も苦労も危険もない光り輝く世界を目指して旅するという、人生を歌った曲である。旅人が向かう先にいるのは、母親であり、父親であり、救い主(主な解釈としては死を指している)。なんとも哀調を帯びた歌詞だ。なおAshley Johnson氏は「母親」と「父親」の部分を、Troyは「Savior(救い主)」の部分を歌っている。

司会のHanna Hart氏は序盤から「エリーは母親に会えますか?(曲の歌詞を踏まえての質問)」「ジョエルは死んだんですか?」「ゲームのリリースはいつですか?」「3作目はありますか?」など登壇者を質問攻めに。Neil Druckmann氏がたじろぐ様子が見られた。もちろん、核心に迫る質問には答えていない。そんな中Druckmann氏は、本当はまだ公表すべきではない情報と前置きした上で、共同ライターのHalley Gross氏が脚本づくりの初日に「誰かを妊娠させてしまったかもしれない(I think I got someone pregnant)」と夫に伝えたというエピソードを紹介。登場人物の誰かが妊娠している/する可能性を提示した。思えば「Paris Games Week」で公開されたトレイラーでは(関連記事)、首を吊るされた女性が妊娠中であることを匂わすような台詞があった。彼女のことを指しているのか、エリーのことなのか(前作の「Left Behind」DLCの内容を考えると可能性は低そうだが)、それとも全く別のキャラクターのことなのか、気になるところである。

PlayStation Experience 2017」パネルディスカッション配信動画より

また本作のコミュニティでは、トレイラーに映り込んだ看板や植生などから、続編の舞台は米国シアトルになるという考察が進んでいる。このことを司会のHart氏に尋ねられたDruckmann氏は、噂が正しいことを認め、ゲームの大部分がシアトルで展開されることを明らかとした。

続いてトレイラーに登場したキャラクター「Lev」を演じるIan Alexander氏、「Yara」を演じるVictoria Grace氏、首を吊るされた謎の女性を演じるLaura Bailey氏が登壇。トレイラーでは、Ian Alexander氏がどのようなジェンダーの役を演じているのか不明瞭であったが、今回のパネルでGrace氏が「Lev」のことを「Brother」と呼んでいたことから、男の子であると考えてよいのかもしれない。なお「Lev」は13歳、「Yara」は16歳であり、二人が兄弟であることが分かっている。

謎の女性を演じるLaura Bailey氏は、今作ほど緊張するプロジェクトはないとコメント。ファンからの期待の高さはもちろんのこと、Troy Baker氏やAshley Johnson氏といった他の演者のパフォーマンスについていかなくては、との思いからもプレッシャーを感じているという。また過酷なアクションシーンを演じきるため、長い間トレーニングを重ねているとのことだ。モーションキャプチャー中の現場写真も数点公開された。

Neil Druckmann氏は、前作が親子的な「愛(Love)」を描く物語だとすれば、続編は「憎しみ(Hate)」の物語になるとかねてから発言していた。物事の見方によって正義と悪が変わっていくという点は前作から変わらない。そんな本作を開発をしていて難しいのは、1作目のファンの中には2作目を嫌う人がどうしても出てきてしまうという事実を受け入れることだそうだ。その上で自らが信じる道を貫かねばならないと氏は語っている。

また同氏は、Naughty Dogが今後もナラティブ重視の、リニアなシングルプレイゲームを作り続けると力強く宣言している。今年の「PlayStation Experience 2017」を振り返ると、オープニングセレモニーにてBethesda Softworksが「Save Player 1(シングルプレイゲームを救え)」キャンペーンを発表。現地時間9日に開催された『ゴースト オブ ツシマ』のパネルディスカッションでは(関連記事)、SIEのアソシエイト・ディレクターRyuhei Katami氏が「シューターやマルチプレイヤーゲーム以外の作品に関われる機会はそう多くはないので、とても楽しみにしています」と語っている。PlayStationは今回のイベントを通じて、「シングルプレイゲームを大切にしている」というメッセージをファンに向けて送ろうとしているのかもしれない。

終盤で開発の進捗具合を聞かれたDruckmann氏は「5割か6割かな?わからないよ」と回答。Halley Gross氏と共に練り上げたゲーム構想の規模が「どでかい」ということにも言及している。そしてパネルの一番最後では、司会のHart氏がすでにゲームの映像を見ることができたと明かし、Druckmann氏に「他のみんなが見れるのはいつですか?」と質問。氏は躊躇しつつも「E3 2018」と回答し、客席を沸かせた。