Steam「サマーセール」AUTOMATONライターが選ぶおすすめインディーゲーム 9選

Valveは現在、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて「サマーセール」を実施中だ。期日は日本時間の6月22日から7月5日まで。2016年末から2017年上半期に登場した多数のトリプルA級タイトルから人気インディーゲームが値引き対象となっており、どのタイトルを買うべきか頭を悩ませているプレイヤーも多いだろう。

Valveは現在、PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて「サマーセール」を実施中だ。期日は日本時間の6月22日から7月5日まで。2016年末から2017年上半期に登場した多数のトリプルA級タイトルから人気インディーゲームが値引き対象となっており、どのタイトルを買うべきか頭を悩ませているプレイヤーも多いだろう。今回はサマーセールで買うべき、各ライターのおすすめインディーゲームをこちらにまとめたので、ぜひ検討の対象としてほしい。

UNDER NIGHT IN-BIRTH Exe:Late

774円(2980円、74%オフ、日本語あり)Steamストアリンク

格ゲーといえば対戦がすべて―― というワケではない。シングルプレイが充実したタイトルもあり、アクションに心得があるなら1人用ゲームと割り切って遊べるぞ。ストーリーがフルボイスは本作の他に、『アルカナ3』 \596(-80%)、『ブレイブルー』 \196(-80%)、『スカガ』+日本語ボイスDLC \886(-65%)、『メルブラ』 \644(-74%)、『GGXrd-SIGN』 \983(-67%)なら、1クール分のアニメに「オマケ」で格闘ゲームがついてくる。とにかくストーリー付き格ゲーが安い。

数あるタイトルの中でUNIを選んだのは理由がある。1人用ゲームとして割り切って遊ぶときに重視したい「新作体験」だ。格ゲーパートは、これまでの常識が一切通用しない独自のシステム。アートワークやストーリーは、「ラノベ原作深夜アニメの二次創作ゲーム」調を意識したハイコンテクスト。それらが混然し、ピュア・ラノベナイズ・2Dヴァーサス・アクションという新ジャンル感を醸し出す。

近年の格ゲーでもっとも“攻め”たハイエンド系を、セール価格で是非試してほしい。ちなみに、7月20日には新バージョンがPS3、PS4で発売する。新キャラの「ミカちゃん」も登場するので、そっちもチェックしてほしいんゆー!
by Hikaru Nomura

 

Sakura Space

637円(980円、35%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

ボティラインがくっきり出るスペースぴっちりスーツの女の子たちが、ヒモで縛られたり服が溶けたりとファンサービスに遭いながら、濃いめのスキンシップでお互いに励まし合ってがんばっちゃう、宇宙の低労力スケベビジュアルノベルである。やったぜ! Steam版は全年齢向けなので安心してほしい。なお、いくつかのイベントシーンで乳輪を追加したR-18版はNutakuで取扱い中。

Steamサマーセールも今に始まった話ではない。PCゲーマー1年生であれば興奮のるつぼであろうが、セールを数度体験すると、話題の焦点は新作・準新作の割引率のみになり、結局は買わずに終わることとなる。なぜなら、本当に欲しいゲームはすでに購入してしまっているからだ。

もし君が、Steamサマーセールを心から楽しみたいのなら、セール価格で守備範囲外のジャンルに挑戦してみてほしい。たとえば、本作のようなゲームはどうだろうか。Steamライブラリに山積みしたゲームに似たようなものを買うよりは、新しいゲーム体験を得られるだろう。それに、君の心の中に秘められた本当の欲望が見つかるかもしれない。さあ、恐れることはない。共に新たな扉を開こう―― 目覚めよ!
by Hikaru Nomura

 

Death Road to Canada

911円(1480円、33%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

全米を襲ったゾンビ・パンデミックの数少ない生き残りとして、死者がうごめくフロリダ州から安息の地カナダを目指して地獄のデスロードを北上する、夏場にぴったりのロードトリップ・ゲーム。車の燃料はいつだってかつかつだし、希少な食料は盗賊たちが掻っ払っていく。野球バット片手に物資調達へと出かけた日には、最大500体のゾンビに囲まれる始末。とってもシビアなゲームなのに、陽気なチップチューンと、かわいらしいドット絵のおかげで、ウキウキと明るい気分のまま遊べるというのが本作の魅力。

道中で発生するイベント、仲間になる生存者の外見・ステータスはランダムで、途中で立ち寄る探索エリアの構造は一部自動生成。テキストイベントは同じ選択肢を選んでも、そのとき仲間になっているキャラクターの性格や特技によって結果が変わる。性格が合わない2人が同乗しているとチームのモラルはだだ下がり。トラブルメイカーをわざとゾンビの群れに食わせるという、無情な選択もときには必要。毎回違った体験ができるリプレイ性の高いゲームであり、何度もアクシデントに見舞われながら、今度こそ、今度こそは滅びゆく大国から脱出するんだと、必死にエンジンを吹かせることだろう。
by Ryuki Ishii

 

The Music Machine

199円(498円、60%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

「中年男性の幽霊にとりつかれた少女の身体」を操作する1人称視点のナラティブ・アドベンチャー。13歳のHaleyはかねてから34歳のQuintinに好意を抱いており、思いの丈をぶつけるものの断られてしまう。拒絶されたHaleyは「Quintinにいたずらされた」という嘘をついてしまい、憤怒した父親がQuintinを射殺。そんなわけで幽霊となったQuintinは、復讐心からかHaleyの身体を乗っ取り、彼女と生活を共にするようになる。「彼女がもっとも苦しみながら死ぬ方法」を探していると口にするが、その真意は見えないし、彼自身にも自分の本心がわからないのかもしれない。

死に場所を探して小さな無人島を訪れた二人は、途中からいびつな世界に迷い込んでいく。そこは、人間の感情や美意識を理解できない謎の知的生命体が、人間の世界を模倣しようとつくりだした場所だ。冷気を放つ暖炉、針だらけの砂場、黒い太陽。人間が描く絵はシミでしかなく、音楽は雑音と変わりない。悲鳴は歌声と等しい価値を持って奏でられる。人の心を理解できない存在によりつくられた、理解不能な世界。そして自分自身の感情すら把握できずにいる少女と幽霊。二人が抱える内面の問題と、人知を超えた存在によるコズミックなミステリーが奇妙にも交差する。2色に統一されたもの寂しげなビジュアル、歪んだノイズも交わったアンビエントなホラーには一見の価値がある。
by Ryuki Ishii

 

Stacking

98円(980円、90%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

本作は、ある貧乏家族の物語を描くアドベンチャーゲーム。主人公は5人兄弟の末っ子Charlie。もう貧乏生活とはおさらばだぞと言い残し、実業家Baronの会社に就職した父親が帰ってこず、借金を返すため奉公に出たCharlie以外の兄弟たちも一向に帰ってくる気配がない。どうやら、Baronの会社に騙されて無理矢理働かされているようだ。そこでCharlieは、家族を救い出すべく旅に出る。

ゲームではクエストをこなして物語を進めていく。本作のユニークな点は、 登場人物がすべてマトリョーシカ人形だということ。ロシアの民芸品で、パカッと割ると中に一回り小さな人形が入っているアレだ。チビのCharlieは自分より一回り大きな人の中に入り、さらに大きな人へと順に入っていける。そして器となった人を操ることができる。それぞれの人は特定の能力を持っており、たとえば上の画像は、奥の扉の中に入るために中央の女性(Charlieが中にいる)の誘惑能力を男たちに使っている様子。このようにクエスト攻略に必要な能力を持った人を探し出して、適切な場所で使うのだ。特別な能力を持った人を探すことは収集要素にもなっている。ヒント機能が充実しているので、英語が多少苦手でも楽しめるだろう。
by Taijiro Yamanak

 

Roundabout

196円(980円、80%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

本作は新米リムジンドライバーGeorgio Manosとなって、オープンワールドの街でお客を拾って目的地に送り届けるゲーム。といっても、『クレイジータクシー』のようなゲームを想像すると面食らうハメになる。なにせ新米、運転はまだ上手くないのでリムジンが常にクルクルとスピンし続けているのだ。街には当然ながら車や家、木などがあり、そういった障害物に触れないように、回転する細長いリムジンを操作して目的地を目指す。少し古いゲームだが『くるくるくるりん』の要領だ、といえばピンとくる方もいるだろう。ちなみに歩行者は轢いても問題ない。お金を貯めるとカスタマイズアイテムを購入でき、ゲームを進めるとリムジンをアップグレードしてジャンプできるようにもなる。

本作のもうひとつの特徴は、客の乗降時やチェックポイント通過時に実写のカットシーンが流れること。本作の開発者はTwisted Pixel出身、といえば「ああ、だからか」と悟る方もおられるかもしれないが、70年代のB級ドラマのようなチープな映像がいい味を出しており、乗ってくる客はクセの強い人ばかり(シアトル界隈のゲーム開発者が多数出演している)。バカバカしい陽気なノリの中で、歯ごたえのあるドライビングパズルが楽しめる。
by Taijiro Yamanak

 

Everything

976円(1480円、34%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

100円硬貨一枚であなたの宇宙に山が所有できるスクリーンセーバー『Mountain』を手がけた3Dアニメーター、デヴィット・オライリー先生の最新作にして誰もが哲学者になれるゴッドシミュレーター。この作品の価値を人間の言葉で語ろうとすること自体、もはや愚かな行為である。詳しいゲーム内容やメッセージ性については、私の敬愛するライターの一人がインターネットで無料で読めるなんてとんでもないほど濃厚で有意義なレビュー記事を執筆しているので、そちらを読んでいただきたい。こんなジャズってるゲームを195人のSteamフレンド中、私を含めてたったの5人しか購入していないなんて信じられない。

ちなみにオライリー先生といえば、スパイク・ジョーンズ監督による2013年のSF映画「her/世界でひとつの彼女」で使用されたゲームのインターフェイスを手がけている。彼自身が表現しているように、『Everything』は「システムという概念の中で世界の仕組みを説明する力」。20世紀中頃に西洋合理主義と仏教思想を融合したイギリスの哲学者アラン・ワッツの声を借りることで、容易には言葉にできない無限あるいは円環という事象に、宇宙や生命といった人類の視野に基づいた羽衣を着せている。考えるより感じた方がはやいだろう。
By Ritsuko Kawai

 

For The King

1110円(1480円、25%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

子供の頃もしくは学生時代に『ドカポン』シリーズ、あるいは『すごろクエスト』シリーズを楽しんだ人はいるだろうか。ボードゲームとRPGを融合したようなパーティーツールで友情を深めたゲーマーも、談合プレイや裏切りプレイの快感におぼれてゲームの中で友だちを殺りまくった筆者のような人間も、そうした思い出をいまも大切に胸の奥にしまっているユーザーなら、『For The King』を遊んだ時に「懐かしい」という表現がぴったりの脳汁が飛び出ることは間違いない。もちろんPKはできないし、根本的なゲームデザインそのものは上記作品とは似て非なるものではあるが、プレイフィールはまさしくそれだ。

ヘキサゴンタイルや高難易度ゆえのストラテジー要素から、シヴィライゼーション的なアドベンチャーゲームと表現してもいいかもしれない。不本意ながら簡単に説明すると、複数の職業を自由に組み合わせたパーティー構成で、最大3人までのプレイヤーが協力しあって混沌の支配に瀕した世界を救う冒険に出るという内容。プレイヤーが操作するキャラクターはただの一般市民であり、神に選ばれたスーパーヒーローやスタンド能力に目覚めた超能力者なんていない。単独行動ではクソの役にも立たないパンピーが、それぞれの職業に基づいた得意分野を生かして活躍できる。そう。君たちみんなが主人公なんだ。
By Ritsuko Kawai

 

Dad Quest

534円(798円、33%オフ、日本語なし)Steamストアリンク

こんなことを書くと本末転倒かもしれないが、ぶっちゃけこの作品はクソゲー。おすすめしない。もとい、この世界に降臨した瞬間からワゴンの中で永遠の眠りにつくような愛すべきクソゲーが好きで胸のときめきが止まらないというゲテモノ好き以外には、おすすめしない。かくいう私もちょっと変わったプレイが好きでね。この作品を一言で説明すると、オヤジがムスコをぶん投げるゲーム。詳しいゲーム内容やメッセージ性については、筆者自身が足りない頭をフル回転しながら無料で読める記事にぴったりの意味不明で無意義なレビュー記事を執筆しているので、そちらを読んでいただきたい。はっきり言って壮大にスベっているので、別に読まなくてもいい。

発売当初はコンテンツも全然足りなくて、ストーリーも開始30分くらいで唐突に終わる「金返せ」状態だったのだが、先日アップデートされて父の日にお母さんダッドが追加された。何を言っているのか分からないかもしれないが、要するに自分の子供を愛する人たちの総称であるダッドに体型や見た目、性別なんて関係なかったのだが、そんなダッドもお母さんになれるようになったのだ。ここまで結構ボロクソに書いてしまったけど、本作についている22件のレビューは総じて好評だし、少なくとも私は『Dad Quest』が大好きだ。正式ローンチされた暁には最後までプレイしたいと思っている。本当だ。
By Ritsuko Kawai

 

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