ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、2017年春より国内にて「PlayStation Now」のPC向けサービスをスタートする。「PlayStation Now」は、クラウド技術を利用したストリーミングゲームサービスである。プレイヤーは公式サイトから専用のアプリをPCへとダウンロードし、アカウントを登録あるいは入力、対応のコントローラーをUSB経由で挿せば、PS4本体がなくともPC上でPS3向けのゲームをプレイすることができる。
先日の記事でもお伝えしたように、今回もっとも恩恵が受けられるのは、PS3やPS4を持っていないものの、プレイしたいPS3ゲームが実はあったというPCゲーマーだろう。一方でPC版「PlayStation Now」は定額サービスしか選択することができず、最低でも1か月の利用権2315円(税別)、あるいは3か月の利用権5463円(税別)を支払わなければならない。PS4版のように個別のタイトルをレンタルすることはできないため、1本や2本のタイトルだけのためにサービスに加入するかは悩むユーザーも多いはずだ。
今回はそんなユーザーのために、SteamなどでPC版は販売されておらず、かつPlayStationおよび家庭用据え置き機上でしかプレイできないオススメのタイトルを選出した。PC版「PlayStation Now」のサービス開始時期はまだ先となるが、もしなにか他のタイトルがプレイできないかと悩んだ場合には、ぜひこちらのリストをチェックしてもとが取れるだけの作品をプレイしてみて欲しい。
『R-Type Dimensions』
『R-Type Dimensions』は、アーケードで1987年に発売された横スクロールSTG『R-TYPE』と、1989年に発売された続編『R-TYPE II』がパックになっている。プレイヤーは反射レーザーなど数種類の武器と「フォース」と呼ばれるオプションを使用して敵を攻撃する。フォースを自機に装着して弾を防いだり、敵めがけて飛ばしたりと、攻撃と防御の双方で使いこなしていく点が重要。また各ステージでどの順に敵を攻撃していくのか、戦略を組んでいくことがクリアへのカギとなる。
本作ではオリジナルの再現と共に、ポリゴンを使った3D視点の映像も用意されており、ゲーム中では2D・3Dを1ボタンで自由に切り替えられる(敵のパターンや当たり判定などに変化はない)。また中盤以降のステージでは、攻撃が激しくなるなど難易度が高いゲームとして知られているが、ステージセレクト・残機無限・ミスしてもその場で復活など、遊びやすいオプション設定も用意されている。
まだPC上ではプレイすることはできないが、PS4上のPlayStation Nowで起動してみても、もともと『R-TYPE』は敵の速度や展開がゆっくりであるため、プレイに支障が出るほどの遅延は感じられなかった。この機会に、当時やり込んだ人も、初めて触れる人も楽しんでみてはいかがだろうか。 by Takashi Tsukasa
『スペランカーコレクション』
主人公はわずかな段差で“転落死”してしまうと聞けば、ゲーマーなら名作『スペランカー』を思い浮かべるだろう。ファミコンで発売された同作は有名だが、その元になったPC版や、アーケード版およびその続編については知らない方も多いのではないだろうか。PlayStation Nowでは『スペランカーコレクション』が配信されており、それらをまとめてプレイできる。
本シリーズは洞窟内を探検し、徐々に減り続ける体力に気を配りながらアイテムを集めて先のエリアへと進むアクションゲームだ。PC版はファミコン版以上にレトロな雰囲気だが、ほぼ同じ感覚でプレイできる。一方のアーケード版はデザイン、ゲームシステムともにファミコン版とは違いが多い。それぞれを比較して楽しめるのは本作ならではだ。なにより、主人公が極度の虚弱体質なのはファミコン版だけだったという発見もある。
本作にはファミコン版でノーミスでの獲得スコアを競ったり、ライフ無限でクリアタイムを競うモードも収録。何度ミスしてもいい後者は初心者にも嬉しいモードだ。また貴重な開発資料などを閲覧できるギャラリーもある。開発はセガの3D復刻プロジェクトなどで知られるM2が担当。忠実な移植はもちろん、画面設定なども豊富に用意されておりぬかりない。 by Taijiro Yamanak
『NINJA GAIDEN Σ』
歯ごたえのあるアクションゲームがお望みなら、忍者龍剣伝シリーズの復活を掲げて制作された『NINJA GAIDEN Σ』がおすすめだ。開発したTeam NINJAといえば最近では『仁王』で知られるが、そのアクション面のルーツは本作にあると言えるだろう。忍者リュウ・ハヤブサが暮らす忍者の里には伝説の妖刀・黒龍丸が封印されていたが、ある日、謎の襲撃者によって強奪されてしまう。襲撃の裏で神聖ヴィゴル帝国が糸を引いていることを突き止めたリュウは、黒龍丸を取り戻すべく旅立つ。
プレイヤーはリュウの剣術と忍術を駆使しながら、次々に現れる敵キャラクターと戦う。弱・強攻撃ボタンの組み合わせで技が多彩に変化し、秘伝書を入手することで特殊技も使用可能だ。使用武器には基本の龍剣以外に両手持ちの大太刀やヌンチャクなども登場する。もともとは初代Xbox向けに開発されたゲームなので、いま見るとひと昔前のグラフィックという印象だが、滑らかに動作するアクションはいまでも十分通用する。Xbox版と比較するとやや抑えめだが、それでも気を抜くと一気に持っていかれる難易度だ。本作が気に入ったなら、続編『NINJA GAIDEN Σ2』も配信されているのでそちらもチェックされたい。 by Taijiro Yamanak
『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』
Quantic Dreamが一流のPlayStationゲーム開発スタジオとして認められたのは、間違いなく『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』を2010年に発売して以降だろう。それまで『Omikron』『Fahrenheit』では洗練されきっていなかったストーリー・演出・インタラクティブアクションは、本作でトリプルA級タイトルと呼ぶに足るクオリティへと磨き上げられた。謎が謎を呼ぶ展開、ドラマ的な演出とカメラワーク、プレイヤーの選択肢が物語に影響を与えるという謡い文句など、単なるQTAまみれアドベンチャーなどとは呼べないQuantic Dream出世の秘訣が今作には込められている。もしPlayStation 3か4を持っていなかったという理由で本作をスルーしたのなら、今からでも「折り紙事件」の謎を追っても遅くはないだろう。
なおQuantic Dreamは『BEYOND: Two Souls』もPS3向けにリリースしており、こちらもPlayStation Nowを通じてプレイすることができるのだが、可能であれば同作はPS4版をオススメしたい。『BEYOND: Two Souls』はストーリーを時系列順に並べないという手法によって、物語が率直にわかりづらいという問題を引き起こしているからだ。PS4版ではその点を改善した新規モード「時系列版」をプレイできるので、もし『HEAVY RAIN』でQuantic Dreamに惚れてしまったのなら、『BEYOND: Two Souls』はPS4と一緒に購入することをオススメする。 by Shuji Ishimoto
『風ノ旅ビト』
PlayStation 3の代表的なインディーゲームとして話題となったにも関わらず、『風ノ旅ビト』は人を選ぶゲームであるし、本作のためだけにPlayStation 3あるいは4を買って欲しいとは言いづらい。だがPlaytStation Nowに加入するのなら、間違いなく試しにプレイしてみるべきタイトルの1つである。わずか2時間弱で終わる旅は、言葉や文字といった一部の表現をあえて失うことで、壮大な物語性と世界観を伝えきることに成功している。
すでに多くの人はプレイせずとも本作の内容をある程度は知っているだろうし、そのまま内容を語ってしまうのも本作の魅力を失う行為となるので、ここで深く説明するのはやめておこう。ただ1点だけいえば、PlayStation Nowはオンライン機能に対応しているということもあり、『風ノ旅ビト』はPC上でプレイしてもその輝きを失わない。あなたがPCゲーマーで独特なインディーゲームにはもう飽きたというスタンスだとしても、一度は触れて欲しいゲームだ。 by Shuji Ishimoto
『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』
最初から『アンチャーテッド』を追っているプレイヤーなら、実は初代はそこまで完成度の高いゲームでなかったことを知っているかもしれない。そして『アンチャーテッド』シリーズは、この2作目『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』によってほぼ完成されたといえる。ビジュアルこそ続く2作と比べれば見劣りするが、誰もがわかりやすく興奮できる大作ハリウッド映画的なアクション・演出・展開は、後のシリーズの方向性を決定づけた。
もちろん物語的には、初代の『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』から始めた方がいいと思うのだが、時間の経過と共にさらに前世代的になってしまった『エル・ドラドの秘宝』をいまからプレイするのは、少々厳しいと感じる人もいると思う。なら明快にわかりやすい『黄金刀と消えた船団』だ。もしジャングルやヒマラヤ山脈での旅路が気に入ったのなら、次はロンドンから始まる『砂漠に眠るアトランティス』へと足を進めるといいだろう。 by Shuji Ishimoto
『God of War』シリーズ
もし世界観やビジュアルだけでなく、ゲームプレイという意味でバイオレンスなゲームを挙げろといわれれば、FPSでは『DOOM』になる。そして3Dアクションゲームなら、『God of War』シリーズを挙げておけば間違いはないだろう。『鬼武者』『デビルメイクライ』のひな形を使った作品ながらも、ギリシア神話を題材とした壮大すぎる世界観や演出、そして主人公クレイトスの怒りに満ちた暴力の物語は、その後『God of War 3』にてひとまずの終焉を迎えるまでPlayStationユーザーから賛美を浴び続けた(さらなる続編の『God of War: Ascension』を除く)。
残念ながらシリーズ最高の完成度・ビジュアルを誇る『God of War 3』はPlayStation Nowの定額サービスではプレイすることはできないが、PC上では初代と続編およびPSP向けの2作をプレイすることができる。敵ごとに異なる攻略法を次々と繰り出すアクション性と、手から暴力のエネルギーがほとばしる渾身のQTEは、ここ数年の3Dアクションゲームと比較してもけっして負けない輝きを放っている。ビジュアルが若干古臭くなっていることは否めないが、血みどろの神話アクションをまだ体験していないなら、とりあえず初代からプレイしてみるべきだ。 by Shuji Ishimoto
『AFRIKA』
PC上でプレイすべきPlayStation Nowのゲームといえば、やはり『AFRIKA』を挙げない訳にはいかない。なぜか『オプーナ』とセットで龍と虎の如くネタとして並び称されるゲームではあるが、アフリカの一地域で毎日動物の写真を取るだけといった地味な内容のゆったりとした環境ゲームとしては、充分に遊べる内容のものであり、実際にプレイした人の評価も高い。とはいえ今更パッケージで手を出すというのもハードルは高いだろう。
だが定額制でソフト選びたい放題のPC版PlayStation Nowの大きなメリットは、「自分に合わなくても許される」部分であり、ノーリスクで試すことができるのが大きい。実はこのゲーム、PC版でウインドウ化してプレイできるようになったことと非常に親和性が高く、まず、出てくる動物に関して別窓のブラウザで調べることができるようになる。ゲーム内の説明では足りないほどにその動物に興味がある場合、たとえば「サバンナセンゼンコウ」の詳しい生態がゲーム中にふと知りたくなれば、そのまま別窓で深堀りできる。
さらにこのゲームは、実は動物よりも「カメラ」の仕様に異様に拘っていて、設定できる設定も細かい。ゲーム中「被写界深度」について調べたり、撮影テクニックを調べたりと、初心者がゲームでカメラを学習するために、複数窓は最適解ではないだろうか。なお残念だが、このゲームに最近話題のサーバルは出てこない。 by Nobuhiko Nakanishi
『夏色ハイスクル★青春白書』
セガの残党として『クレイジータクシー』や『ソニックアドベンチャー』といったドリームキャストから始まった名作をおすすめしようとも思ったが、Steamになくとも過去にWindows版が発売されているので、代わりに『夏色ハイスクル★青春白書~転校初日のオレが幼馴染と再会したら報道部員にされていて激写少年の日々はスクープ大連発でイガイとモテモテなのに何故かマイメモリーはパンツ写真ばっかりという現実と向き合いながら考えるひと夏の島の学園生活と赤裸々な恋の行方。~』を推したい。
日本一長いタイトルを持つゲームソフトとして知られる、オープンワールド学園恋愛アドベンチャーという名のパンチラシミュレーター。内容はサブタイトルがすべて物語っている。カメラアングルを変えられる3Dゲームでは、必ずスカートの中を覗いて作り込みを確認しなければ気が済まないのは筆者だけではないはず。本作はそんな好奇心を満たすことに特化したようなタイトルだ。もちろん公序良俗に反するとおまわりさんに追い回されるが、神社のエロ仙人からもらえるアイテムでステルスモードになれる徹底ぶり。いつのまにか恋愛要素など食玩のおまけにしか感じなくなる。 by Ritsuko Kawai