王道から怪作まで、グローバルゲームジャム2017で誕生した7000タイトルの中から一部を紹介


グローバルゲームジャム(Global Game Jam 以下、GGJ)は、決められたお題にそって短時間でゲームを作る世界規模のハッカソンだ。2009年から毎年開催されている。今年のGGJは、1月20日から22日にかけて開催された(来年は2018年1月26日から28日)。公式発表によると、参加者数は3万6000人以上、96か国に設けられた702の会場で、トータル7000以上のゲームが誕生したようだ。AUTOMATONは京都府精華町の会場を訪れてレポートしている。

今年はどうなるかわからないが、過去にはゲームジャムで誕生したゲームが正式リリースされた例がいくつかある。たとえばグローバルゲームジャムだと『Surgeon Simulator』、7 day FPSだと『SUPERHOT』、Ludum Dareでは『Evoland』、さらにマニアックなところだとPirate Kart Vで『Super Hexagon』、それぞれの作品は洗練と拡張を施され、最終的に製品としてリリースされた。探せばほかにもあるだろう。大げさかもしれないが、ゲームジャムの作品にはダイヤの原石が多く眠っている。

本稿では、2017年1月20日から22日にかけて開催されたGGJで生まれた作品の中で、実際にプレイして興味深いと感じたものを紹介していく。今回のイベントテーマは「Waves(波)」なので、どの作品も波に関連したものになっている。なお、すでに紹介している精華町会場の作品は省かせていただく。

※デジタルゲームのみの紹介となるが、GGJはアナログゲームはダメという制限はなく、ボードゲーム身体を使った遊びまで、とにかくたくさんの種類のゲームが誕生しているので、興味のある方は公式サイトで探してみてほしい。

 

WAVEHALLA

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『WAVEHALLA』は、ヴァイキングのペンギンたちが乗る船を操作して、黄金の魚を集めていく自動進行型のアクションゲームだ。プレイヤーは船長となって……ではなく、プレイヤーは波の高低をコントロールして操船していく。波を操ることで船を誘導し、障害物を避けたり、氷に船を乗せたりして、できるだけ多くの魚を集め、より高いスコア獲得を目指す。

本作は、自動的に進む船を、波を介して操作するという特色がある。グラフィックもキュートであるが、人の息や声によって表現される音楽やサウンドエフェクトが楽しい。

ダウンロード: WAVEHALLA
会場: オランダ・アムステルダム

 

flustering echo

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『flustering echo』は、コウモリから自分の子どもを守るアクションゲームだ。プレイヤーは蛾であり、コウモリが子どもの眠る巣に近づかないように、自らがおとりになる必要がある。コウモリにそっと近づき、コウモリの音波に波長を合わせて気絶させながら時間を稼いでいく。

ひたすらコウモリを引きつけて気絶させるという繰り返しなので、ゲームプレイ自体はややストイックであるが、幻想的な自然を描くアートワークが光る作品だ。プレイヤーである蛾がコウモリに食べられてしまうと、生き残っている子どもが成虫になり、次に操作する蛾になるという発想も面白い。

ダウンロード: flustering echo
会場: ドイツ・トリール

 

Can We Stay?

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『Can We Stay?』は、浜辺で居眠りする両親を波から守るアクションゲームだ。プレイヤーは少女を操作して、砂を掘ったりアイテムを用いたりしながら砂の城を建てて、波が両親に押し寄せないようにしていく。少女は海が大好きなので、できれば両親には眠り続けてほしいのだろう。画面上には波が迫る時間が表示されており、最終的に水が両親にかかってしまうと帰宅することになってしまいゲームオーバーとなる。

『Can We Stay?』の特色は細かく描き込まれたピクセルアートだろう。全体的にキャラクターのアニメーションが軽快で滑らかに動くので、ただ操作しているだけでも楽しい。音楽もバカンスを意識したものとなっており、全体的に雰囲気作りに力が入れられている印象だ。

ダウンロード: Can We Stay?
会場: イギリス・ギルフォード

 

Soundscape

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『Soundscape』はマイクに向かって音を発することで波を発生させ、地形を変えていくゲームだ。PCに接続しているマイクに声や息をふきかけることで、音の波が扇状に広がっていく。ゲームと呼べる作品かわからないが、発想力は他の作品の追随を許さない。音の大きさや高さによって、波長が大きく変化する。大きな声を出せば巨大な波が生まれ、そっと息を吹きかければ静かな波が生まれる。

声や息だけでなく、さまざまな音から波が発生させられるので、興味本位でついつい試したくなる学習教材のようなゲームだ。

ダウンロード: Soundscape
会場: オーストラリア・メルボルン

 

Fordite

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『Fordite』は円状のフィールドを自動的に進み続けるキューブを操作し、障害物を避けていくアクションゲームだ。スペースキーを押してキューブをジャンプさせ、宙に浮かぶ障害物をひたすら避け続ける。ルール自体はいたってシンプルなものとなっているが、キューブをどう移動させるかによって、フィールドが大きく変化するというのが興味深い。フィールドは円状となっているので、プレイヤーは円の周りを何度もまわることになる。キューブを何度もジャンプさせているフィールドは波のような形になるし、最低限の回数のみジャンプするならば、平坦な道になる。

障害物を避けて周回を重ねると、タイトルのとおり「フォーダイト人工鉱石」のような形が出来あがってくるというわけだ。本作は、大阪の天神橋筋六丁目で毎月開催されているゲーム好きのためのMeetup「IchiPixel」でも開発者によって紹介されており、訪れた人々を惹きつけていた。

ダウンロード: Fordite
会場: 大阪・大東

 

とつげき!!ハムスター2

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『とつげき!!ハムスター2』は、かわいらしいハムスターを操作して、空から降ってくるヒマワリの種を集めるアクションゲーム。遊び始めのころは「あれ?テーマのWaveは?」と思うかもしれないが、しばらく続けるとテーマが見えてくる。しかしそのころには、あなたは奇妙な世界に迷い込んでおり、テーマなんて忘れているはずだ。その世界はとにかくおかしくて、ゲームの目的すらわからなくなる。とにかく衝撃が強く、まったく記憶から消えようとしない。正直言ってよくわからない世界なのだが、心に残るゲームとして、みなさんに紹介しておく。

ダウンロード: Totsugeki Hamster 2
会場: 北海道・札幌

 

Splash Clash

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『Splash Clash』のルールはとてもシンプル。ジャンプで波を起こし、相手をリングの外に押し出せば勝利。プレイヤー1はWASDで移動してスペースキーでジャンプ、プレイヤー2はカーソルキーで移動してMキーでジャンプ。キーの配置からしてプレイヤー2が不利のような気もするが、だからこそ物理的な妨害が発生しやすく、フーズボールのテーブルを傾けあった少年時代に回帰できる楽しさがある。

ゲーム内容以外で個人的に気に入ったのは、操作方法がゲーム内とGGJサイトに掲載してあったこと。遊び方がわからないゲームがたくさんある中で、これはとてもありがたかった。ちなみにゲーム起動後にマウスを使ってボタンをクリックするとフリーズしてしまうので注意。決定ボタンはスペースキーだ。

ダウンロード: Splash Clash
会場: チェコ・プラハ

 

Scorched Sea

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『Scorched Sea』は、なつかしのゲームセンターに置いてあるような風貌で、相手の船を沈没させるまで交互に攻撃していく対戦ゲーム。船を移動させることはできず、プレイヤーが制御できるのは砲台の向きと武器の選択と射撃のみ。荒波の中を進む船はつねに上下に大きく揺れており、それに加えて砲弾は放物線を描いて飛んでいくので、命中させるのはそう簡単ではない。

なかなか勝負がつかないかと思いきや、着弾時の爆風はプレイヤーの船も巻き込むという仕様なので、突如現れた大きな波に向かって発射して自爆するということもよくある。攻撃を当てにくいので1試合が長引くことになりそうなデザインに見えて、じつは事故による早期決着も考えられたおすすめのゲームだ。

ダウンロード: Scorched Sea
会場: ポーランド・グダニスク

 

Don’t microwave the cat

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PICO-8だってグローバルゲームジャムで活躍している。『Don’t microwave the cat』というタイトルだけを見ると、ちょっとゾッとするかもしれないが、本作は今年のGGJのPICO-8作品の中でもっともかわいらしいゲームだ。1月22日まで開催されていたPICO-8のゲームジャム「Tiny-TV Jam」にも対応したゲームなので、プレイするにはまずエンターキーを押してテレビをオンにしなければならない。あとはカーソルキーの上下を使って、ネコをチンしないようにするだけ。ブラウザでプレイできるので、ぜひこのかわいらしさを味わってほしい。

ダウンロード: Don’t microwave the cat
会場: フランス・ボルドー

 

今年のグローバルゲームジャムはもう終わってしまったが、ゲームをその期間だけで終わらせるのはあまりにももったいない。公式サイトにてゲーム制作ツールを指定して探したり、国別で絞ってみたりしながら、多くのゲームに触れてみてほしい。また、参加された方々は、作りあげたゲームをたくさんの人に楽しんでもらえるよう、遊び方を書き加えてitch.ioGame Joltにアップロードしたり、2月14日(火)に東京渋谷で開催されるTokyo Indiesに持ち込んで披露してみてはいかがだろうか。