『LoL』新チャンピオン「カミール」、刃の足で相手を切り裂くその実力を見る

Riot Gamesが開発運営するMOBA『リーグ・オブ・レジェンド』で、新チャンピオン「カミール」の実装予定が発表されてから1週間ほどが経過した。PBEでの実装からは4日ほどが経過し、その性能や特性が明らかになりつつある。

Riot Gamesが開発運営するMOBA『リーグ・オブ・レジェンド』で、新チャンピオン「カミール」の実装予定が発表されてから1週間ほどが経過した。PBEでの実装からは4日ほどが経過し、その性能や特性が明らかになりつつある。現時点のPBE実装が最終決定というわけではないが、開発者のコメントやコミュニティの考察を交え、「スチールシャドウ」がどのようなキャラクターなのかを見ていこう。

 

カミールの能力

カミールは高い攻撃力を持ちつつも耐久力はそこそこというクラス「ファイター」に分類される(参考リンク)。積極的に敵中に飛び込んでいく能力から、「ファイター」の中でもさらに「ダイバー」と呼ばれる区分になる。

 

20161125-34566-002固有スキル:アダプティブディフェンス
敵チャンピオンに通常攻撃を行うと、そのチャンピオンの主要なダメージタイプに対するシールドを獲得する。シールド量はカミールの最大体力に応じて増加する。

カミールの固有スキルは今までのチャンピオンにはなかったもので、攻撃を行った次の瞬間に対象チャンピオンの主なダメージタイプ(物理/魔力ダメージ)に対して自動的にシールドを張るというものだ。ただし勘違いしてはいけないのは、敵チャンピオンが持つダメージタイプのみでシールドの種類が決定されるのではなく、敵チャンピオンがカミールを攻撃した際にダメージが大きい種類の方のシールドが選択されるという点である。開発者Riot Jag氏のコメントによると、たとえば敵のジャックスが魔力を上げるビルドをしていたとしても、カミールが物理防御を積み重ねておらず物理ダメージの方が大きい場合は、物理属性のシールドが張られることになる。

20161125-34566-003Q:プレシジョンプロトコル
次の通常攻撃が敵を切り裂いて追加物理ダメージを与え、少しの間だけ移動速度が増加する。使用後少しの間は、もう一度「プレシジョンプロトコル」を使用して追加の攻撃を行える。少し待ってから使用した場合、2度目の攻撃の追加ダメージが増加し、その一部が確定ダメージになる。

Qはよくある追加ダメージ付与スキルだが、こういったスキルの例に漏れず、通常攻撃と通常攻撃の間に必ず発生する「攻撃できない時間」をリセットする効果がある。また、1回目の使用から3秒以内に可能な2回目の攻撃に付随する確定ダメージは、一切の防御値が適用されないため非常に強力だ。

20161125-34566-004W:タクティカルスイープ
エネルギーを集めて扇状に放射し、命中したすべての敵に物理ダメージを与える。攻撃範囲の外側半分にいた敵ユニットには大きなスロウ効果と、その敵の最大体力に応じた追加ダメージを与え、さらにその過程でカミールは回復する。

範囲にダメージを与えつつもスロウ効果を与えるスキル。レーンではミニオン処理に、ジャングルでもファームに使っていくことになるだろう。敵の最大体力に応じた追加ダメージを与えるため、アイテムで体力を大きく増したタンクにも有効な攻撃手段だ。使用から実際の攻撃判定発生まで少々間が空くことに注意したい。

20161125-34566-005E:フックショット / ウォールダイブ
1度目の使用 – フックショット:指定方向にフックを飛ばし、フックが壁に当たると自らを壁まで引き寄せる。その後少しの間、「ウォールダイブ」が使用可能になる。
2度目の使用 – ウォールダイブ:指定方向にダッシュして、最初に接触した敵チャンピオンのもとで停止し、周囲の敵ユニットすべてをスタンさせる。敵チャンピオンに向かってダッシュした場合はスキルの射程とカミールの攻撃速度が増加する。

ノーチラスのQ「錨投げ」に似たスキルだが、いくつかの点が大きく異なる。まずフックショットは壁にしか命中せず、敵ユニットや味方ユニットには無効となる点に注意だ。フックショットが壁に命中すると「ウォールダイブ」が使用可能になり、2回目のダッシュを行う。敵チャンピオンに襲われた際、1回目のフックで少し遠くの壁へと移動し、2回目のダッシュでさらに遠くへ逃げる、などの用途が想定できる。また2回目のダッシュは敵チャンピオンに当たるとスタンさせる効果もあるため、使い方を工夫すればギャンクなどの少人数戦で大きく貢献できるだろう。

20161125-34566-006R:ヘクステック・アルティメイタム
指定した敵チャンピオンに飛びつきエリアを作り出し、その中に敵を閉じ込めると同時に他の敵ユニットを外に追い出す。「ヘクステック・アルティメイタム」の発動中は、指定された敵ユニットはいかなる手段をもってもエリアの外には出られない。このエリアは一定時間後に自動的に消滅する(効果が切れる前にカミールがエリア外に出ることでも消滅する)。エリア内では、カミールの通常攻撃が追加魔法ダメージを与える。

「最後通告」の名を冠するアルティメットスキルは非常に独特な能力だ。ジャーヴァンⅣのR「決戦場」に似ているが、リードチャンピオンデザイナーのMeddler氏は2つのアルティメットの差異をこう説明する。「ジャーヴァンのRに似ている点もあるが、彼のRは大きなレートで前方範囲にダメージを与え、他者の移動を阻害する地形を作り、使用中は移動阻害を受けなくなる。カミールのRは単体対象で、他の敵ユニットをノックバックして追い出すが範囲内には立ち入ることができる。範囲内ではカミールの通常攻撃が強化され、使用時にはしばらく対象指定不可となる」。カミールのRはどちらかといえばフィオラのRと通底したテーマとメカニズムを持っており、フィオラのそれよりも効果時間が長いうえに他者を排除する特性が高く、味方のスキルとの組み合わせによっては集団戦で敵の攻撃手段を効果的に無効化することもできるとのこと。

 

1対1の強者、集団戦では

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まず、カミールは1対1の場面でとても強力だ。固有スキルは敵チャンピオン1体のダメージタイプしか反映しないため、集団戦では敵チームのダメージタイプがよほど偏っていない限り、得られる有利が小さくなってしまう。Q・Wはダメージスキルとして非常に優秀で、Eによる移動を組み合わせれば効果的に敵を追い詰めることが可能だ。むろん、Lv6になっていればRのフィールドを展開することで、確実に敵チャンピオンを抹殺することができる。

集団戦では難しい立ち回りが要求される。Rで敵を強制的に散開させてしまうこともできるが、グラガスのR「ワシの奢りじゃ!」と同様に、使用タイミングを誤れば逆に敵を利することになってしまうかもしれない。また、一度追い払った敵が助けに戻れるスキルであるという点にも注意せねばならない。ファイターらしく敵1体を集中的に攻撃することでダメージ効率が上がるチャンピオンなので、敵をまとめてキルするような立ち回りはできない。EやRといったスキルで一種の「局地戦」を作り出していくことが鍵となるだろう。

ポジションはトップレーナー、もしくはジャングルが見込まれている。既存チャンピオンでは「ヤスオ」や「フィオラ」に似たアイテムビルドが適しており、タフにしつつも物理ダメージを伸ばしていくタイプ。1対1に強くミニオン処理能力も高いことから、試合終盤ではスプリットプッシュを行い、敵チームに嫌らしい択を迫ることができそうだ。PBEでジャングラーとしてプレイしてみた動画も、すでにいくつかYouTubeにアップされている。

筆者もPBEでカミールを触ってみたが、Eの操作などが非常に取り回しづらく、習熟が必要なチャンピオンだと感じた。プロシーンでは、精密な操作が要求される「リー・シン」などを得意とするプロが使えば、鮮やかなプレイが見られそうである。

またプロダクトマネージャーのReav3氏によると、カミールは「ダイバー」分類のチャンピオンについて、今後の方向性を見せたものになったとのこと。「ファイター」クラスはサブクラスとして「ジャガーノート」「ダイバー」の2つに分かれている。現状でダイバーに分類されているのは、単に敵中に飛び込む能力に長ける「ヴァイ」「ノクターン」から、飛び込む能力に長けつつも撹乱能力などユーティリティ方面もこなす「エリス」「ウーコン」といったチャンピオンたちまでさまざまだ。今後追加される新たなダイバーチャンピオンや既存チャンピオンのリメイクについて、カミールが新たな地平を(まさしくその刃の足で)切り開いていくのだろう。

 

Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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