PS4『ブラッドボーン』を5歳の少年がクリア。パパと二人三脚でたどり着いたヤーナムの夜明け

フロム・ソフトウェアのアクションRPG『 Bloodborne (ブラッドボーン)』は、同社が手がける“死にゲーの代表格”とも言えるタイトルだ。大人でも手こずる『ブラッドボーン』を、わずか5歳の少年がクリアしたことに海外コミュニティの注目が集まっている。

フロム・ソフトウェアのアクションRPG『Bloodborne (ブラッドボーン)』は、同社が手がける『Dark Souls』シリーズとならび“死にゲーの代表格”とも言えるタイトルだ。大人でも手こずる同作を、わずか5歳の少年がクリアしたことに海外コミュニティの注目が集まっている。
  

https://twitter.com/RobbieFox1/status/1387885938840330241

 
『ブラッドボーン』はその難易度の高さで知られているゲームだ。気を抜けば、鍛えたキャラクターでもあっという間に死を迎える、集中力と技術が要求されるバランス調整になっている。一方で、作り込まれたダークな世界観や、恐怖を煽るキャラクター造形などに魅せられたファンは多い。発売から約6年が経った今でも、やり込みやスピードランをふくめ多くのプレイヤーに親しまれている作品だ。 

大人でも「難しい」と口にする同作を、わずか5歳の子供がクリアしたそうだ。名前はEzra Foxくん(以下、Ezraくん)、笑顔の眩しい元気な少年だ。Ezraくんが『ブラッドボーン』に挑戦したのは、ゲーマーである父、Robbie Fox氏(以下、Robbie氏)の影響も大きかったようだ。 

Ezraくんが『ブラッドボーン』に挑戦する様子は、父Robbie氏のTwitterアカウント上で定期的に投稿されていた。先月4月7日の投稿では、Ezraくんが初めて同作を起動する様子が動画で公開されている。『ブラッドボーン』というタイトルを言うのもおぼつかないEzraくんが「でもこれってパパ用のゲームじゃん!なんでやらせてくれるの?」と嬉しげに言う様子がうかがえる。 
 

https://twitter.com/RobbieFox1/status/1379576927132979200

 
『ブラッドボーン』のESRB(アメリカ及びカナダのレーティング機構)におけるレーティングは「M(17歳以上対象)」となっている。同作に含まれるゲーム内表現を示すコンテンツラベルには「暴力表現」「流血や人体切断描写」の項目があり、Mレーティング判定が下っている。なお、『ブラッドボーン』は日本のレーティング機構CEROにおいても、Mレーティング相当の「D(17歳以上対象)」が与えられている。 

気がかりなのは、Mレーティングの『ブラッドボーン』をプレイするには、Ezraくんの5歳という年齢は対象を大きくはずれていることだ。しかし、ESRBレーティングをどう扱うかは小売店の裁量に任されているものの、実質的には、17歳未満でも保護者の同意があれば購入ができるようだ。プレイに関する法的制限なども現状では設けられておらず、児童のプレイについては保護者の判断に委ねられているということだろう。 
 

 

父Robbie氏も、最初は息子Ezraくんに『ブラッドボーン』をプレイさせるつもりはなかったようだ。海外メディアGoomba Stompによるインタビューの中で、Ezraくんに同作のプレイを許すことになった経緯を語っている。どうやら今回の挑戦の前には、Ezraくんからの熱烈なリクエストがあったとのことだ。 

Robbie氏は、今回Ezraくんがクリアした『ブラッドボーン』を含むフロム・ソフトウェアの作品を広く楽しんでいた。その様子を見ていたEzraくんは「僕も遊びたい」としばしばRobbie氏にお願いしていたそうだ。最初は息子の願いを断っていたというRobbie氏、しかしある日「息子がどうプレイするか、序盤だけでもやらせてみよう」と思い立ったと同インタビュー内で語っている。 
 

 

Robbie氏はゲームが「Ezraくんにとって難しくなり過ぎるまで」遊ばせるつもりだったそうだが、Ezraくんは止まらなかった。結局は3週間にかけて少しずつ遊び、プレイ時間21時間でのメインストーリークリアとなったそうだ。なお、同氏はEzraくんが苦戦したボスとして「白痴の蜘蛛、ロマ」と、序盤のボスながら高い難易度で知られる「ガスコイン神父」などをあげている。 

『ブラッドボーン』経験者にとって、21時間というクリアタイムはかなり早い方に思えるのではないだろうか。どうやらEzraくんは『ブラッドボーン』の難解なストーリーまではさすがに理解できず、カットシーンなどは全部飛ばしていたそうだ。また、プレイに行き詰まった際にはRobbie氏がアドバイスをしていたそうで、早めのクリアタイムにはそういった背景があると思われる。 

Robbie氏はゲームプレイのアドバイスだけでなく、Ezraくんのメンタルヘルスにも気を配っていたようだ。同インタビューで「ゲームのコンテンツについて懸念はありませんでしたか?Ezraくんが悪夢を見るかもしれないといった心配は?」という質問を投げかけられた同氏は、Ezraくんがフィクションと現実の区別をしっかりできていることに触れ、「息子は私がそばに居ない時は絶対に『ブラッドボーン』をプレイしないし、もし怖がったりしたらすぐにプレイを止めさせていただろう」と述べた。Robbie氏によれば、Ezraくんは「夜は赤ちゃんのように眠り、朝はいつもご機嫌で目覚める」とのことで、悪夢を見ている心配はないようだ。 

当のEzraくんはまだ『ブラッドボーン』を楽しむつもりのようだ。Robbie氏がツイートした動画でEzraくんは「ほかにもまだ倒してないボスが居るけど、倒したい?」と聞かれ「うん!」と満面の笑みで元気に答えている。 
 

https://twitter.com/RobbieFox1/status/1387917224141369351

 
Robbie氏のツイートには多くのリプライが寄せられている。「子供を使いクリック数を稼いでいる」という厳しい指摘や、同氏の「すべてのゲームにイージーモードが必要なわけじゃない、5才児がクリアできるんだから、あなたにもできる!」というコメントへの反感の声も見られる。しかしながら、コメントの大半はEzraくんの『ブラッドボーン』クリアを祝い、彼のはつらつとした様子と愛らしさを褒めるものだ。中には「次は『SEKIRO』だな!」とEzraくんのさらなる挑戦を期待するものも散見される。 

『ブラッドボーン』は、レーティングとしては17歳以上が対象であり、子供向けとは言えないタイトルだ。プレイヤーによりけりで向き不向きが分かれるタイプのゲームでもあり、「大人も子供も誰しもが楽しめる」とはいかないコアなゲームに分類されるだろう。しかし、同作をクリアしたEzraくんの笑顔は、彼がゲームを純粋に楽しめたというなによりの証拠ではないだろうか。ほかのゲームでは『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』に興味津々だというEzraくん。お父さんの後見のもと、今後も彼がたくさんのゲームで思い出を作ってくれることを願いたい。 

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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