コーエーテクモゲームスは9月27日、『Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme –』(以下、VVP)を発表した。PS5/ PS4および PC(Steam/DMM Games)で、2025年3月6日に発売予定。本作は、『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』(以下、DOAXVV)に登場したキャラクターが登場する、シリーズ初の本格恋愛アドベンチャーゲームである。
7年もの間運営を続けている『DOAXVV』が、なぜ『VVP』という本格恋愛アドベンチャーゲームとして制作されているのか。弊誌は、『DOAXVV』や『VVP』でプロデューサーを務める作田泰紀氏に、『VVP』の開発がスタートした経緯や、『DOAXVV』とどう差別化されているのかを伺った。そのインタビューの内容をお届けする。
7年間愛された『DOAXVV』が迎える新たな展開
――自己紹介をお願いします。
作田泰紀(以下、作田)氏
コーエーテクモゲームス、Team NINJAのプロデューサーの作田泰紀です。入社して初めに『DEAD OR ALIVE 3』でプログラマーとして参加し、それ以来『DEAD OR ALIVE』(以下、DOA)シリーズや『DEAD OR ALIVE Xtreme』(以下、DOAX)シリーズに関わっております。プログラマーとしては『DOA5』でのメインプログラマーで携わったのが最後で、『DOAX3』でプロジェクトマネージャー、2017年に初めて運営系のタイトルである『DOAXVV』でディレクターを務めさせていただきました。その後、2021年に『DOAXVV』のプロデューサーに転向して、本作に至るという経緯です。
――『DOA』でプログラマーとしてキャリアが始まって、今は運営型のゲームのプロデュースにも携わられているわけですね。
作田氏:
そうですね。IPはそれぞれ違いますが、いろいろなキャラクターコンテンツを皆さんにより楽しんでいただければと思っております。その一環として、『VVP』も『DOAXVV』の新しいかたちとしてお届けできればと。
――ちなみに、2017年にリリースされた『DOAXVV』が7周年とのことですが、リリース当初と比べて、『DOAX』シリーズの社内での見られ方は変化したのでしょうか。
作田氏:
『DOAXVV』リリース当初、私はまだディレクターでした。7年間の運営で、会社として続ける意義があるタイトルと言ってもらえる結果になって、しかも『VVP』という作品までお届けできるようになったのは、ひとえにオーナーの皆さんに愛していただけたおかげですね。
新たな『DOAX』が目指す、イマーシブ(没入感のある)な恋愛体験
――今回は『DOAXVV』を直球の恋愛ゲームというかたちで攻めてきた印象があります。今回の開発経緯と、「イマーシブ恋愛アドベンチャー」というジャンルについてご説明ください。
作田氏:
『DOAX』シリーズは、着せ替えと14日間のバカンス中心でグラビアを見るゲームというところに留まっていました。そこで、『DOAXVV』では女の子のエピソードやイベントのエピソードで季節感を出そうといった、もう少し女の子との深い関係性を感じられるように現在も運営を続けているところです。
運営を続けていく中でいろいろな女の子を新しいヴィーナスとしてお届けしているのですが、サービスイン時に10人だったのが、今は31人まで増えているんですね。そのほとんどが『DOA』シリーズに登場しないオリジナルのキャラクターとなっていまして、彼女たちの魅力をもっと多くの方に知っていただきたいな、と思ったということが開発のきっかけのひとつでした。
もちろん、『DOAXVV』を今からプレイしていただければ、オリジナルキャラクターのことを知っていただけますし、最近では有料パックですぐヴィーナスを招待できるという用意はしているんですが、もう7年も運営しているタイトルなので、ゲームを始める敷居はやっぱり高いと思います。そこで、1本のゲームとしてパッケージングして、女の子の魅力を感じてもらえるものを用意するといいんじゃないか、と考えていました。
そんな中で元々『DOAXVV』をPC運営ゲームとしてお届けしていくときに、コンシューマーゲームとして楽しみたいというお客様の声をたくさんいただいていました。じゃあ、せっかくだからやってみよう、ということで、『VVP』を開発することになりました。
――『DOAXVV』の成功こそが、本プロジェクトが始動するきっかけになったということですね。
作田氏:
そうですね。だからこそ本作はサブタイトルにこそ付いていますが、『DOAX』シリーズという言い方ではなく『Venus Vacation』シリーズという呼び方にしています。やっぱり『DOAXVV』なしでは『VVP』は語れないんだ、ということに強くこだわって名前を付けています。
――『DOAXVV』に登場しているオリジナルキャラクターの魅力を、未プレイの方にもお届けするというのが『VVP』で、元々の本家『DOA』のキャラクターがほのかしか登場しないのはコンセプトどおりということでしょうか。
作田氏:
仰るとおりです。先ほどお話ししたとおりまだ『DOAXVV』を体験していない方にお届けしたいということは意識しています。ただ、オリジナルの女の子を紹介するためとはいえ、絶対にオリジナルの女の子だけにすべきとか、そういうわけではないです。『DOAXVV』ではオリジナルと『DOA』の女の子の比率が3:1ぐらいになりますし、そちらを見ても今回のような割合がいいのかと現状のところは思っています。
シチュエーションを軸にした新たな撮影体験をオーナーへ
――これまでの『DOAXVV』では、ビーチバレーやトレーニングがあって、その先に女の子とのコミュニケーションがあるという、エピソードがいわゆるご褒美となっていました。『VVP』では女の子のエピソードの方が軸になりそうですが、ゲームのサイクルはどういったものになるのでしょうか。
作田氏:
『VVP』は恋愛を楽しんでもらいたいというところもありつつ、それだけではないんです。『DOAXVV』のユーザーが一番楽しんでいるのが写真撮影だと思いますが、本作でももちろん撮影機能を搭載しています。しかも、主観視点ベースのカメラで演出されたエピソードの最中にカメラを自由に操作して撮影することができるようになっています。エピソードをただ見ていくだけではなくて、エピソード中の一瞬を撮影する、という楽しみ方ができますね。
さらに、ひとりの女の子をクリアすると、時間停止ウォッチを入手できまして……。エピソード中に女の子と会話している瞬間に時間を止めて、その瞬間に好きなアングルで撮影できる、というところまで対応する予定です。なので、単にお話を見ていくだけではなくて、このエピソードのこの状況で撮影するとかわいいんじゃないか、とか探していくという楽しみ方も可能です。
――ということは、『DOAXVV』のように、撮影自体や撮影にかかる特殊効果やシチュエーションの増加をプレイヤーへのご褒美にしているような感じなんですね。
作田氏:
『VVP』で最後に長く遊ぶ部分はどこだろうとなったら、エンドコンテンツは撮影だと思っているので、そのベースは変えていません。『DOAXVV』はいろいろな着せ替えでいろいろなポーズを取ってもらって撮影を楽しむものですが、『VVP』はたくさんのシチュエーションの中でどうやってこの女の子をかわいく見せようとか、ここだったらかわいく撮れそうというラインを見つけていくみたいな、そういった違いがあります。
――恋愛ゲームというと、どこまで仲良くなれるのかが気になりますが、いわゆる両思いになるまでがゴールなのか、その先にもコミュニケーションがあるのか、どこまで親密になれるのでしょうか。
作田氏:
その点に関しては、今後も情報をいろいろ出せればと思いますが、皆さんが求めているような部分にできる限り応えられるようにしたいと思います。女の子とイチャイチャしながらお話を楽しむとか、そういう要素は攻略後に待っているような感じにしたいと思っていますが……。これは続報をご期待いただければと思います(笑)
――含みのあるご回答で想像の余地が広がりました(笑)本作は女の子の距離が非常に近いゲームだという印象なのですが、本作ならではの恋愛体験というのはあるのでしょうか。
作田氏:
本作は『DOAXVV』のように向き合って会話するだけではなく、女の子がより近くにいて、真正面だけではなくて横にいたり、それが動いて変化したり、本作だからこそ感じられる女の子との距離感、より近い関係性が楽しめるようになっています。もちろんエピソードがフルボイスなので、女の子の一言にドキッと感じるようなところも楽しんでいただければと。
“過去の自分を超える”新たなグラフィック表現に挑戦
――先日の発表などでゲームの映像を拝見しましたが、新しいエンジンに変わった影響もあってか、女の子の印象がやや違うように感じられます。新しい3Dモデルはどんな意図で、どういうところに気をつけて制作されているのでしょうか。
作田氏:
まず前提として、『DOAXVV』で使用しているエンジンは、『DOAX3』をベースとしたエンジンで、『DOA5』の頃から使用していたエンジンなんです。そこで、現在の最新技術を使ったビジュアルで描かれた女の子たちを見たいという声にも応えようと、Katana Engineを使って女の子を描こうと取り組んでおります。
これまでに公開したモデルは、CG班から上がってきた後実装したものですが、かわいくなるための調整をようやくつかんできたときのものなので、今は改めてしっかり調整しています。皆さんが懸念されていることもよくわかっていますので、もう少しお待ちいただければと思います。
ビジュアルのコンセプトとしては、『VVP』では湿度を感じる色っぽさみたいなところを意識しています。やわらかエンジンを使ってゲームを開発してきた中で、肌の柔らかさにこだわったのが『DOAX3』で、『DOAXVV』には、さらに恥じらいを感じる柔らかさという表現が加わっています。たとえば感情表現を感じられるような紅潮表現ですね。そして、『VVP』では「湿度」というところで、近い距離感で単なる肌の濡れだけではなくて、女の子の吐息まで、温度感を感じられるようにしていきたいと考えています。なので、より近くで見ても大丈夫なクオリティに作り込んでいきますので、楽しみにお待ちいただければと。
――『DOA』シリーズは、3Dモデルが大きな武器であり特徴です。そこに手を加えるということに不安はありませんか。
作田氏:
あります(笑)私もリスクがあるのは承知していますので、こればかりは慎重に調整を続けていくと思います。
――Katana Engineによってこの表現が可能になった、という恩恵はあるのでしょうか。
作田氏:
そもそも『DOAXVV』は“女の子の表現”という部分に完全に振り切っていて、ここを圧倒的に超えるというのは、Katana Engine単体で見るとなかなか難しいところは正直ありますが、表現の自由度はかなり上がったと思っています。また、環境変化による表現力は圧倒的にKatana Engineに軍配が上がりますね。
具体的に言うと、『DOAXVV』で雨を降らせたいという要望をよくいただいていました。『DOAXVV』はそういった部分に特化した作り方になっていなかったので、そちらに対応することができませんでした。一方で『VVP』に関してはKatana Engineの力ですぐに表現できるようになりましたね。もちろん、本作の中でも雨の中のシチュエーションを描いていきたいと思っています。あと、さらに言うと構造面も見直ししておりまして、さまざまな見せ方とか楽しみ方を今後続報でお知らせしていければと思います。
――女の子の魅力は従来のものを引き継ぎつつ引き上げて、さらに舞台装置を強化しているということですね。
作田氏:
シチュエーションのバリエーションをより増やしていきつつ、女の子の見え方もいろいろ変えていますが、やっぱり難しいですね。ただ、距離感とかいろいろ挑戦していますので、ぜひ感じていただけたらと思います。あと、本作ならではの近い距離感に耐えられるようになったのは、Katana Engineのおかげなのかなと思っています。
――たしかに『DOAXVV』でも接写は少し3DCGっぽさが出てしまいますよね。
作田氏:
『VVP』では程良く、良い意味でデフォルメしつつ、髪の表現とか、よくよく見ると肌の柔らかさの見え方が違うという風に力を入れています。ただ、ここは難しいですね。自分を超えるのが一番難しいと思います(笑)自分を上回らなきゃいけないことが、このプロジェクトの一番のチャレンジだと思います。引き続き超えることを目指して作っていきますが、正直な気持ちをお伝えすると、最終的には「『DOAXVV』の女の子も、『VVP』の女の子も、どっちもかわいいよね」と言ってもらえると嬉しいです。(笑)
推しのあの子と恋に落ちつつ、ハーレムも
――本作のプレイボリュームはどれくらいなのでしょうか。
作田氏:
基本的な進め方としては、お話を最後まで見ていく中で、いろいろな女の子と仲良くなっていって、最終的にひとりの女の子を攻略することが1回のストーリーが終わった状態です。で、ここでほかの女の子を攻略していくときに、何回もプレイしていってもらうかたちになるのかなと思っています。
もちろん、繰り返しプレイしやすくなるようなフォローもしようと思っています。で、その最後に行き着く先に……、まあ箱推しの方に向けてハーレムエンド的なものは用意しようと思っています。
――今ポロッとハーレムエンドと仰りましたが……。
作田氏:
(笑)まあ、あと撮影はいろいろなシチュエーションがあるので、シチュエーションが増えていけば撮影もさらに楽しめます。撮影の遊びのボリュームは無限です、と社内で言ったら、さすがに言い過ぎだと怒られました。なので、無限の可能性と言っています(笑)
一同:
(笑)
――撮影はたしかにずっと遊べるゲームかなと感じています。『DOAXVV』は運営型タイトルなので撮影の機能もすごい増え続けていますが、新作ならではの撮影の楽しみはありますでしょうか。
作田氏:
『DOAXVV』と違って、女の子との距離感が近いところで好きなアングルを探して撮っていくという部分は、体験として大きく違うところだと思います。あと、今回女の子の表情とかもよりこだわって作っていきたいと思っているので、そういった部分も写真撮影で違った体験が味わえるかと。今回はとにかくシチュエーションを豊富に用意しているので、いろいろなエピソードのシチュエーションと好きなコーデを組み合わせて、お気に入りの撮影レシピを作ってもらうのも楽しんでいただけるのではないでしょうか。
――『DOAXVV』でもいろいろなエピソードが描かれていますが、本作でしか語られない女の子のエピソードや身の上話といったものもあるんでしょうか。
作田氏:
ストーリーについては続報でいろいろお知らせしていきたいところですが、物語の始まりとしては、島にオーナーがやってきて、みさきと一緒にヴィーナスフェスの運営を実際に体験しようという展開になります。その中で、『DOAXVV』でヴィーナスがやってきたときのシチュエーションを再現したり、『DOAXVV』では描かれなかった部分が語られたり、細かい間のシーンも描いています。
また、6人の女の子が登場するということで、彼女たちだからこそ描けるお話というのも、意識的に作っています。たとえば、『DOAXVV』の4年目くらいに「あなたの指導役です」という風に登場したエリーゼという女の子がいますが、『VVP』では序盤に事務局の人間として連絡をしてきて、いろいろなミッションを与えてくれることになります。で、ゲームが進んでいくと実際に島を訪れて……と。そういったかたちで、出会いから女の子たちのデートまで、『DOAXVV』では描かれていないようなデートシーンとして楽しめるようになっています。
オーナーたちの愛がすべてのきっかけに
――『VVP』に登場する6人は厳選した末に選ばれた女の子だと思いますが、ほかのユーザーからは「このキャラを出してほしい」という要望もあるかと思います。『VVP』という作品展開が今後広がって、ほかの女の子も登場する可能性があると考えて良いのでしょうか。
作田氏:
『VVP』は、DLCでひとりずつ女の子を追加していくのではなくて、この6人だからこそお届けできるお話を用意して、それを皆さんに楽しんでもらいたいと思っています。それで、本作が皆さんに喜んでもらえて、会社としてぜひ次も作ろうという結果になって、シリーズの続編というかたちでほかの女の子たちの物語をお届けできたら嬉しいです。
――皆さんの反応によって、『DOAX』シリーズの世界が『DOAXVV』、『VVP』とどんどん広がっていく、ということですね。最後に、シリーズファンや本作を楽しみにしているファンに一言お願いします。
作田氏:
まず、『VVP』に関しましては、『DOAXVV』が7周年を迎えられるほど皆さんに多く遊んでもらって、愛してもらえたことがすべてのきっかけであり、それがなかったら絶対に生まれることがなかったものです。『DOAXVV』をプレイし続けていただいたオーナーの皆さんには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。そんな皆さんに何とか喜んでいただくための新しい展開として、本作の開発が始まりました。まだ『DOAXVV』をプレイしていないという方も、あの子がいないからなぁ、という方もぜひ『VVP』をプレイしていただいて、「あれ?こんなかわいい子がいるんだ」と知ってもらえる機会になればと思います。
『DOAXVV』はさらに長く運営していきたいと思っていますので、現在オーナーという方も続けていただき、まだプレイしていないという方はぜひプレイしてみてください。『VVP』の発売はまだ先になりますが、こちらも皆さんに愛していただけるような作品になれるよう制作中です。『VVP』が皆さんに愛していただける作品になれば、『DOAXVV』から『VVP』が生まれたように、さらに新しいシリーズ作品が生まれるかもしれません。今後も続報をどんどんお届けしていきますので、楽しみにお待ち下さい。
――ありがとうございました。
『Venus Vacation PRISM – DEAD OR ALIVE Xtreme –』は、PS5/ PS4およびPC(Steam/DMM Games)向けに、2025年3月6日に発売予定だ。
[執筆・編集:Koutaro Sato]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]