「東方」と「MOTHER」と「真・女神転生」の”カクテル”、2D-RPG『Undertale』開発者Tobyfoxインタビュー

AUTOMATONから『Undertale』に対し「ベスト・ドッグゲーム・アワード 2015」を贈るという名目にかこつけ、開発者のTobyfox氏へとインタビューを実施した。

Undertale』は、2015年9月15日にリリースされた2Dドットビジュアルのロールプレイングゲームだ。海外では今年リリースされたインディーゲームの中でも『Rocket League』などと並びスマッシュヒットを飛ばした作品で、AUTOMATONでは過去にレビューも掲載したことがある。今回はAUTOMATONから『Undertale』に対し「ベスト・ドッグゲーム・アワード 2015」を贈るという名目にかこつけ、開発者のTobyfox氏へとインタビューを実施した。

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様々なモンスターが登場する『Undertale』だが、特にイヌ系モンスターは強烈なインパクトを放っている。今年発売された『Fallout 4』と並ぶ、いやそれ以上の”イヌゲー”であることは確かだ

――『Undertale』はAUTOMATONの「2015年 ベストドッグゲームアワード」を受賞しました。おめでとうございます。

Tobyfox:
ついにか……僕の人生においてもっとも重要なアワードだよ。

――ちなみにですが、あなたはイヌとネコどちらが好きですか?ペットはどちらを?

Tobyfox:
うん、僕はネコを飼っているよ。だけと僕自身は間違いなくイヌ好きだね。僕自身も”イヌ人間”なんだ。

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「Annoying Dog」

――”イヌ人間”……。そういえばゲーム中にも登場する「Annoying Dog(ムカつくイヌ)」は、Tobyfox氏を象徴するキャラクターと言われています。

Tobyfox:
知らないワn……いや、知らないなあ。

――ゲーム中には、ほかにも「Lesser Dog」という名のイヌキャラクターが登場しますよね。なぜ撫でると彼のクビは伸びるんですか?

Tobyfox:
え?それが普通だろう?

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「Greater Dog」

――巨大な鎧を装備した「Greater Dog」には1匹のイヌが入っていますが、あの鎧の中はどうなっていますか?

Tobyfox:
あきらかだよ、中にイヌが入ってる。

――ところで、「Papyrus」とデートしたいと思いますか?

Tobyfox:
なんだって?Papyrusがそう聞けって言ったのかい!?

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『Undertale』の人気キャラクターの1人「Papyrus」

――……コホン、それではイヌと骨の質問を終えて、『Undertale』の質問に入りたいと思います。あらためて日本の読者にどんなゲームなのか、紹介していただけますか?

Tobyfox:
ロールプレイングゲーム、海外のデベロッパーが作り上げたJRPGスタイルのロールプレイングゲームだ。数えきれないほど面白い要素がある。たぶん一日中話すことができるね。敵を一切倒すことなくクリア出来るし、戦闘システムには『東方』みたいな弾幕回避メカニックが含まれているし……。
……あー、えっと、これで面白い要素は全部だね。申し訳ない。

――『Undertale』の開発はどのようにスタートしましたか?モンスターを傷つけずにクリアできるゲームという考えはどこから?

Tobyfox:
ある日、僕はWikipediaを読みながらプログラミングの配列について学んでいた。それでRPGのテキストシステムがプログラミングできるようになり、次にRPGの戦闘システムが組めるようになったんだ。「MERCY」システムは、『真・女神転生』からインスパイアされたものだね。

――ちなみに『Undertale』を開発される前までは、どういう経歴をお持ちでしたか?ストーリー、サウンド、演出、『Undertale』はいずれの面でもアマチュアレベルとは思えませんでした。

Tobyfox:
あー……えっと、そんなことは無いけどね、本当に(^^ ;;
僕は10歳のころから「RPGツクール」や「RPGツクール2000」を使ってたんだけど、作った作品はぜんぶ内輪向けの小さなジョークゲームだったね……。唯一誇れるのは音楽かな。2009年からAndrew Hussieが公開したWebコミック「Homestuck」向けに楽曲を提供したことがある。

――日本のシューティングゲームとRPGシステムを融合させるというアイディアはどう思いつきましたか?

Tobyfox:
僕は『スーパーマリオRPG』が大好きで、『東方』も大好きなんだ。だからその2つが自然に組み合わさったような感じだと思う。

――日本のビデオゲームカルチャーがお好きなようですね。

Tobyfox:
もちろん!ゲームを見れば明らかじゃないかな……?『MOTHER』と『東方』からは強いインスピレーションを受けた。好きなゲームは本当に多すぎて、どれを選べと言われても難しいよ。1つだけ言えるのは、とにかくレトロゲームの音楽が好きってこと。20年近く経った今でも、いまだに『聖剣伝説2』のサウンドトラックを聞いてるよ……。

――ほかにはどんなゲームを子供のの頃にプレイして来ましたか?

Tobyfox:
あー……覚えているだけでも、とにかくたくさんのゲームをプレイしてきた。いくつか好きなゲームを挙げるなら、『MOTHER 2』『東方妖々夢』『大乱闘スマッシュブラザーズDX』『洞窟物語』『ブランディッシュ』あたりかな……?

――ちなみに『スマブラDX』でお気に入りのキャラクターは?

Tobyfox:
キャプテン・ファルコン(ピンクカラー)!!

――『Undertale』をプレイした後、同作は本当に”生きている世界”を描こうとしていると感じました。

Tobyfox:
本当に!?みんながそう思うことを願っていたよ。

――『Undertale』には様々な感情が渦巻いています。面白くもあり、怖くもあり、悲しくもあり、愛らしくもある。どのようにしてプレイヤーの感情に訴えかけるような物語を描いているんでしょうか?「シェイクスピア」かなにかがお好きとか……?

Tobyfox:
僕の心は”カクテルのシェイカー”みたいなものなんだ。ビデオゲームをプレイすると、僕の脳はそれらをシェイキングする。自分の頭を軽く叩くと、『Undertale』が出力されたというわけ。

――『Undertale』には複数のエンディングがありますが、プレイヤーに伝えたかったこととは何でしょうか?『Undertale』のテーマとは?

Tobyfox:
それはプレイヤーの解釈次第だね。

――失礼な質問かもしれませんが、『Undertale 2』の構想はありますか?どのような次回作をTobyfox氏が手掛けるのか、気になります。

Tobyfox:
あー……そういうのは考えてないね。今はちょっとお休みが欲しいと考えていたから……たぶん高級な犬用ベッドとお菓子用のバッグを買うよ。

――『Undertale』は日本でも人気があります。現在は英語バージョンしか存在しませんが、日本語版をリリースする予定はありますか?

Tobyfox:
うん、日本語版は絶対にリリースしたいと思っている。もうちょっと待って!

――最後に、もし読者や日本のゲーマーにメッセージがあればどうぞ。

Tobyfox:
(2匹の犬がステージ上に上がってきた)

A: えー、すごくいい答えを考えないとね……こんなのどう、「ビデオゲームは最高!!!」
B: ……「ビデオゲームは最高」?なんか今回の話と関係無くない?
A: なに?そう思う?よし、じゃあこれでどうよ。「ビデオゲームは最高、でもイヌの方がもっと最高!」
B: ゲームをプレイさせた人をガッカリさせないでよ!
A: うーむ。OK。じゃあ「ぜひ『Undertale』をプレイしてみてください……」
B: そうそう……。
A: 「……そしてイヌはビデオゲームよりも最高」
B: なんでだよ!?なんで最後がそれなの!?

日本での『Undertale』のリリースはもう少々お待ち下さい。

――ありがとうございました。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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