巨大な手が街を破壊するリズム物語ゲーム『Starstruck 時をつなぐ手』開発者インタビュー。今までまったくなかったゲームの完成を目指して

『Starstruck 時をつなぐ手』はPC向けとして9月16日に発売予定の、少年少女の物語を追いながら手を操作して街を破壊するリズム・アドベンチャーゲーム。開発者に巨大な手が登場する理由など伺ってきたので、インタビュー内容をお届けしよう。

Createdelicより『Starstruck 時をつなぐ手』が、PC(Steam)向けとして9月16日に発売予定となっている。同作は少年少女の物語を追いながら手を操作して街を破壊する、リズム・アドベンチャーゲームだ。巨大な手が街を破壊する様子やジオラマ風のビジュアルは印象的であり、ゲーム系のイベントでも紹介されていたため、記憶に残っている方もいるのではないだろうか。

そんな本作はデモ版の公開から4年以上開発が続けられてきたが、今回しっかり日本語に対応した上で9月16日に発売されるようだ。7月19日より開催された「BitSummit Drift」の会場にて、開発者のMax Ponoroff氏に話を伺ってきたので、巨大な手が登場する理由など、インタビュー内容をお届けしよう。

──まずは自己紹介をお願いします。

Max Ponoroff氏:
Max Ponoroffです。『Starstruck 時をつなぐ手』ではディレクター、プログラマー、ライターを担当しています。私にとって、本作は初めてのゲーム作品になります。

──本作の開発体制について伺わせてください。

Max Ponoroff氏:
メインチームは私、Brian AllansonとAndrew Allansonで構成されております。ブライアンがアートのほとんどを担当し、Andrewが音楽のほとんどを制作しております。彼らは自身でもゲーム制作を行っており、過去作として『YIIK: A Postmodern RPG』があります。私はソフトウェアエンジニアの経験を活かして今回の作品ではプラグラマーを担当しており、異なるゲームプレイの要素を多く取り入れることができました。制作過程では取りかからないといけないことがとても多くありましたが、そんな経験や取り組めたことすべてをうれしく思っています。

──本作の概要を改めて教えて下さい。

Max Ponoroff氏:
『Starstruck 時をつなぐ手』はギターを弾き、巨大な手で世界を破壊していくリズム・アドベンチャーゲームです。プレイヤーは子供たちを操作して街を歩き回ったり、ギターを弾いたりします。しかし彼らは、時々障害にぶつかります。そこで本作では、邪魔なものを破壊していきます。プレイヤーが動かせるものは、街に住んでいる2人の子どもと巨大な手です。子供たちを操作している時はギターを弾き、手を操作している時は街を破壊するなど、キャラクターごとに異なるゲームプレイが用意されています。各視点の物語はつながっており、プレイヤーはゲームプレイを通して一つのストーリーが体験できます。


──本作では、巨大な手が街を破壊するパートがとてもユニークだと思います。Maxさんは、なぜ本作に手を登場させようと思ったのでしょうか。

Max Ponoroff氏:
過去に遊んだお気に入りのゲームを思い出した時、違うキャラクターで異なるプレイスタイルを用い、一つの世界を探検することがとても面白かったのです。最初に体験したのはおそらく『ソニックアドベンチャー』で、最近だと『ニーア オートマタ』でも複数のキャラクターによるゲームプレイが展開されていました。私は異なる視点から同じ世界を見ることがとても興味深いと思っているのです。だからこそ本作でも、同じ世界を生きる複数のキャラクターの視点から、それぞれのプレイスタイルで遊べるようにしています。

また本作に登場する手は、未来の世界からやってきた人間の手です。その世界はよりリアルな世界に見えるのですが、そもそも手は脳とつながっており、今生きている私達の世界とつながっています。ゲームをするときは、コントローラーを通してその世界と手は繋がり、キャラクターや世界を動かせます。今作の巨大な手はタイトルにもある通り、時を超えて二つの世界を繋げる役割を果たしているのです。

──2020年のデモ版リリースから、製品版へ向けて4年間開発が続けられてきたと思います。制作で特に力を入れた箇所や、プレイヤーへアピールしたいこだわりがあれば伺わせてください。

Max Ponoroff氏:
本作のゲームプレイによって、皆さんは今までにない経験ができます。私自身は開発の過程でアートテクニックやグラフィック、技術的なアイデアなど多数の試験的な事項へ挑戦しなければいけませんでした。ゲームをプレイする際には、そうした技術にも触れられるわけです。またデモ版をプレイした際に感じられると思いますが、現実の世界とゲームの中の境界が曖昧になっていき、ゲーム中はあやふやな状態がずっと続いていきます。ゲームを終えたときに満足できる内容になっていると思っています。

──最後に、本作の発売を待っているプレイヤーへ向けてメッセージをお願いします。

Max Ponoroff氏:
2000年頃PS2向けにリリースされていた、当時挑戦的だったゲームの雰囲気が好きなのであれば、本作も気に入ってもらえると思います。何か違うものや新しい経験を試してみたいなら、本作はきっとプレイに値するものです。なぜならば、ゲームプレイによって得られる経験が、今までのゲームとはまったく異なると自負しているからです。

また私たちは、日本語版のローカライズをとても重要視しております。ローカライズには、『ホロウナイト』の翻訳も手がけた伊東龍氏を中心として真剣に取り組んでもらっており、翻訳のクオリティーも素晴らしく高いです。私は日本語は少ししかわかりませんが、見比べたときに英語よりよく書けていると感じたほどでした(笑)。ローカライズもしっかり行っているので、発売を楽しみにしていてください。

──ありがとうございました。


Starstruck 時をつなぐ手』は日本語字幕に対応し、PC(Steam)向けに9月16日発売予定だ。またSteamでは、体験版『Starstruck: Prologue』も公開中となっている。

Keiichi Yokoyama
Keiichi Yokoyama

なんでもやる雑食ゲーマー。作家性のある作品が好き。AUTOMATONでは国内インディーなどを担当します。

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