海賊オープンワールド『シー・オブ・レムナンツ』は、「NPCが死んだら他のイベントの展開も変わる」らしい。サブイベントの結末が、別のストーリーに“連鎖的に”影響する
2026年発売予定の海洋オープンワールドRPG『シー・オブ・レムナンツ』の開発者インタビューをお届けする。

NetEase Games傘下のJoker Studioが手がける、海洋オープンワールドRPG『シー・オブ・レムナンツ』。ゲーム内は日本語表記に対応しており、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S/iOS/Android向けに2026年内のリリースを予定している。
本作は、海賊の世界を題材としたシングルプレイのオープンワールドRPGだ。主人公の人形は記憶を失った船乗りとして、人形たちが集う島「オートピア」に流れ着く。そしてオートピアやその周辺の島の人々との交流を経て海賊団を作り上げ、記憶を求める旅に身を投じることになるのだ。記憶を求める旅のなかで主人公が下す決断は、オートピアの結末に影響を与えることもある。また、主人公と行動をともにする少女「R.S」に隠された秘密など、ストーリーを通してさまざまな謎も明らかになっていく。

今回弊誌は、『シー・オブ・レムナンツ』の試遊を含めたメディア向け開発拠点訪問ツアーに参加。ツアー内で体験できた試遊の感想はこちらの記事で、オフィス内のツアーとコンセプト説明会はこちらの記事でご覧いただける。
本稿では、プロダクトリーダーのInnis氏、クリエイティブディレクターのAlfie氏、アートリーダーのKairos氏への合同インタビューをお届けする。インタビューでは、海賊が海賊らしく生きる世界を表現するための苦労や、その世界をプレイヤーに全力で楽しんでもらうために工夫についての興味深い話を聞くことができた。本作に込められた情熱が伝われば幸いだ。

──本日はよろしくお願いします。まず、Joker Studioの代表作といえば、『IdentityV 第五人格(以下、第五人格)』で、日本でも非常に人気があります。一方で『シー・オブ・レムナンツ』はターン制の戦闘システムや迫力ある海戦など、『第五人格』とはまた異なるゲームのように見えます。何か狙いはあるのでしょうか。
開発チーム:
プレイヤーのみなさんに「海賊の人生」を体験していただくためには、必ずしも『第五人格』と同じメカニズムにする必要はないと考えたのが本作の開発の出発点になっています。また「記憶」というテーマも『第五人格』と本作で共通しますが、ゲーム内での扱われ方は少し異なります。

──本作のターゲット層を設定するにあたって、『第五人格』ユーザーのことは意識しましたか。
開発チーム:
人形をモチーフとしたアートスタイルと記憶というテーマは『第五人格』の延長といえるかもしれませんが、本質的にはこの2作はまったく異なるタイトルです。私たちの狙いとしては、失った記憶を求める姿勢や海賊たちの奔放な生き方を通じて感情的な共鳴をプレイヤーに訴求したいと考えています。
ターゲット層を明確に設定しているというよりは、先にゲームとして表現したいことがあった、ということになります。また、日本のプレイヤーの皆さんはさまざまなゲームを経験されている方が多いと思いますので、ターン制バトルやオープンワールドといった要素を馴染み深いと感じていただけるのではないかと思います。
表現したいのは“海賊の美学”
──ターン制バトルやオープンワールド、海賊など、本作にはさまざまな特徴が存在します。これらの要素は、既存の作品から影響を受けたものなのでしょうか?
開発チーム:
具体的に1つの作品やタイトルからというよりは、さまざまな作品のアートスタイルや美学、開発の姿勢などからの影響を受けています。私たちの『シー・オブ・レムナンツ』では、それらの影響に加えて私たちらしいスタイルと高い品質を追求したいと考えています。

──主人公を取り巻く人間関係はどのようなものなのでしょうか。海賊の勢力もいろいろと登場するようですが……。
開発チーム:
さまざまな異なる勢力が登場します。勢力同士の関係性は複雑ですが、プレイヤーのみなさんにはゲームプレイを通して徐々に理解していただければと思います。主人公はNPCたちのストーリーを進めていく役割を担っており、進行に応じてそれぞれのエンディングに向かっていくことになります。
本作で描かれる海賊は悪人として活躍させるのではなく、彼らが持つ抵抗の精神と楽観的な面を強調して描いています。問題がいかに深刻になってもあまり気にせず、「大丈夫だ!」と言ってくれるような精神を描きたいと思っています。
──海賊というモチーフの、自由な人々という部分にフォーカスしているのですね。
開発チーム:
その通りです。それを見た目でも表現するために、あまり真剣さを感じさせすぎるデザインにはならないように工夫を加えています。また、それぞれの勢力ごとの特徴や背景情報などもデザイン上で表現されています。

──デザイン面で言えば本作はビビッドな色彩が特徴で、特に鮮やかなローズレッドが強調されていますよね。
開発チーム:
はい、本作のメインカラーですね。ローズレッドをメインカラーに選んだ理由は、記憶という非常に抽象的なものを表現するためです。『シー・オブ・レムナンツ』は荒野を探索するシーンが多く、その中では木や草原などの緑を目にする機会が多くなります。現代的なファッションの要素と伝統的な要素の衝突もテーマなので、植物の緑と海の青と衝突する反対の色として、ローズレッドが採用されました。
また、プロデューサーが個人的にイメージする記憶の色がロマンチックの代表であるローズレッドだった、ということもあり、思い入れの強い色でもあります。

タイトルや音楽、キャラクターデザインに込められた思い
──メインカラーのお話でも感じましたが、本作は細部にまでこだわって作られているんですね。タイトルの「レムナンツ」という単語についても、何か込められた意味があるのでしょうか。
開発チーム:
『シー・オブ・レムナンツ』というタイトルは、開発の当初から決まっていました。「レムナンツ」という言葉は忘却以外にも「過去から今への影響」という意味も含まれていますので、探索と発見を通して記憶を取り戻していく本作を表現する意味合いも含まれています。
──試遊や説明会を通して、音楽にもかなり力が入っている印象を受けました。どのようなコンセプトで制作されたのでしょうか。
開発チーム:
BGMについては使用する楽器や音楽のスタイルなどを含めてさまざまな工夫をしています。リラックスできたり、心が癒されてプレッシャーがなくなったりという狙いをもって、楽曲全体をデザインしました。ゲーム音楽は効果音としても豊富なゲーム体験を提供できるものだと考えていますので、音楽作りのプロセスはゲーム本編作りの前の段階からすでにスタートさせていました。
優秀なゲームというのはストーリーやビジュアル、プレイメカニズムだけではなく、その音楽もプレイヤーに非常に響いたところがあると思います。『シー・オブ・レムナンツ』に関しても、ストーリーやビジュアルはもちろん、本作特有の音楽をプレイヤーのみなさんに体験してもらいたいです。

──本作はキャラクターデザインも魅力的ですが、試遊では特に主人公の相棒であるR.Sの表情や言動に魅了されました。彼女がどのように作られていったのか知りたいです。
開発チーム:
R.Sは本作で一番複雑なキャラクターで、ゲームや世界観のデザインの中心に存在しています。ゲーム中では他のNPCは2個か3個の記憶を取り戻すことがあるんですが、R.Sに関しては数十個の記憶が存在します。物語上ではプレイヤーの友人として一緒に冒険を繰り広げながら、彼女自身のストーリーを通じて彼女も成長していきます。また、ゲーム開始直後2人のR.Sが存在することからもわかると思いますが、ストーリー的にも重要なキャラクターです。
彼女はいつでもパワー満タンで、主人公が困難な状況にあっても無理やり引っ張っていってくれる友達のような存在です。また本作では主人公の性別を選べるのですが、それに応じて男性の友人としてのセリフと女性の友人としてのセリフでニュアンスを多少変えてあります。

──キャラクターといえば、本作ではさまざまな場面でハムスターが登場しますよね。とてもかわいらしいのですが、彼らはいったい……?
開発チーム:
ハムスター、かわいいと感じていただけたでしょうか?海賊がもつロマンチック・自由・冒険という精神に結び付いた本作独特の特徴が欲しいと考えまして、出航前に幸運をもたらすハムスターの神様に祈るという設定を作りました。
これは「海賊の左手は実力を、右手は幸運を象徴する」という本作のコンセプトとも結びつきますし、こういう可愛らしくて奇妙な神様の存在はゲーム自体をより面白くしてくれると考えています。
NPC同士の関わりが生み出す無数の世界
──本作はNPCとのインタラクションを重視しており、インタラクション可能なNPCの数は400人を目指しているとも聞きました。現在のバージョンでもかなりの数のキャラクターとコミュニケーションできますが、本作のNPCの表現の最終的な目標について教えてください。
開発チーム:
それぞれのNPCに人生のストーリーをもたせるという目標のもと、工夫しつつストーリーを作っています。たくさんのNPCと触れ合える場所を用意することで、よりリアルで生き生きとした、プレイヤーから無視されないNPCを作りたいと考えています。また、NPCのストーリーがゲーム世界全体に影響を与えるような効果も目指しています。

──試遊した限りでも、NPCのやり取りも物語の進行に応じてNPCとのやり取りが変化することが確認できました。こういった変化はゲーム全編を通してみられるのでしょうか。
開発チーム:
そうなることが最終的な目標です。高い品質を目指していますし、スタジオのキャパシティも含めると今すぐは難しいかもしれないですが、時間をかけて最終的にそのような状態になることを目指しています。
なぜ時間がかかるかというと、本作ではNPC同士の間にも連鎖的な反応を作ろうとしているからです。たとえばあるNPCが死亡したとして、その死は全体のストーリーにも、また別のNPCのストーリーにも影響を及ぼします。そのためにはゲームコンテンツ全体の合理性を保つべくゲームのベース部分の構造から考えて作らなければならないので、非常に技術的な難易度が高くなってしまいます。
──アップデートで新しいNPCが追加されることで、新しいイベントも発生するようになるのでしょうか。
開発チーム:
小さいイベントも発生しますし、大きなイベントが発生する可能性もあります。たとえば動物の劇団が新しく登場したら、動物に関するイベントが発生するかもしれません。本作は長期的な運営を視野に入れたタイトルなので、プレイヤーの皆さんに常に進化していると感じていただけるようなエコシステムの構築を目指しています。

──本作は長期的な運営を意識したタイトルということですが、リリース時点でエンディングは用意されているのでしょうか。
開発チーム:
本作は非常に厚いレイヤーからなる世界観を持っており、その世界観の根本の部分や海賊勢力同士の大まかな展開などはすでに決まっています。一方でストーリー上で展開されるプロットに関してはまだ決まっておらず、プレイヤーの皆さんとの交流のなかでどのような結末が望まれているのかを探っていきたいと考えています。
──プレイヤーの様子を見て舵取りをしていくと。大型アップデートは10週間ごとに1シーズンの更新が予定されていると聞きましたが、どのようなコンテンツが追加されるのでしょうか。
開発チーム:
お伝えした頻度は最終的なものではなく、実際はもっと高い頻度でアップデートしていくことになるかもしれません。初期の企画では、新しいフィールドやコンテンツ、追加のNPCやストーリーなどを徐々に開放していく予定です。
世界をリセットして、選択肢をやり直す
──本作は個々のNPCにそれぞれの物語がある、というのが本作の非常に大事なポイントですよね。ところで、そのNPCの物語をやり直せるような要素があるとお聞きしたのですが、どういったものなのでしょうか。
開発チーム:
「シー・オブ・レムナンツ」と呼ばれる世界の終点がありまして、そこからある種の物質を獲得できましたらリセットが可能になります。リセット自体は特に制限はないので、その物質を獲得できたらいつでもできます。
リセットにはNPCのストーリーに関わるものとキャラクターの育成状況に関わるものの2つがありまして、これらは別々のものです。必要に応じてどちらかをリセットすることができます。
──個々のキャラクターごとにリセットすることが可能なのでしょうか。それとも、世界全体をリセットするようなかたちですか?
開発チーム:
キャラクターごとにリセットできます。選んだことを後悔している選択肢があるとすれば、そのやり取りのタイミングにさかのぼってリセットを行うことができます。育成キャラクターをリセットするとレベルは初期値になりますが、これは育成を新たにやり直せるようなイメージです。必ずやらければならないことではありませんし、新しく入手した職業をすでに育成済みのキャラクターにもたせたいときなどに利用していただくことができます。また育成に関してもすべての項目がリセットされるわけではないため、育成状況も1時間程度で取り戻せるものになっています。
記憶を失うことでリセットを発生させるので、記憶に関連することだけがリセットされるようなイメージです。開けた宝箱などはそのままに、人物の選択や育成だけがリセットされます。

──シー・オブ・レムナンツにはどのように向かえばよいのでしょうか。ゲーム開始時点から到達できるのですか?
開発チーム:
シー・オブ・レムナンツは世界の終点として存在しているので、東に向かっても西に向かっても最終的にはシー・オブ・レムナンツにたどり着きます。行くこと自体はゲーム開始時点から可能で、世界の構造を知れば知るほど世界をリセットする効率は上がっていきます。
もちろん、ゲームの進行にリセットが必須というわけではないので、リセットを行うかはプレイヤーの皆さんご自分の選択にお任せします。
──必ず使わなければいけない機能ではないのですね。プレイヤーが物語的な選択肢を再度選べるようにするためのものという意味合いが強いのでしょうか。
開発チーム:
おっしゃる通りです。NPCの物語は連鎖的な反応を起こすので、ほかの選択肢を選んだ場合の世界を見てみたくなったときに利用していただけます。もう1つの役割として、キャラクターを異なる方法で育成したくなった場合のリセット手段としても使用できます。
先ほどもお伝えした通り、本作は長期的な運営を見据えたゲームです。せっかくたくさんのストーリーを用意しているので、プレイヤーがさまざまな世界線を楽しめるようにするべくこのリセット手段は設けられています。

──最後に、日本のプレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。
開発チーム:
日本のプレイヤーの皆さんに私たちのゲームを気に入っていただけたら嬉しいです。そして、少しだけ時間をかけて、じっくり遊んでいただければ、きっと新しい驚きや楽しさを見つけていただけると思います。
──ありがとうございました。
『シー・オブ・レムナンツ』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S/iOS/Android向けに2026年リリース予定だ。なお、PC(Steam)向けのクローズドテストも2月5日より開催している。
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