ヒロイックRPG『ブルーリフレクション』は開発陣も認める“変なゲーム”。ニッチで変なゲームなので、変なゲームをやりたい人は4作入りをとても気に入るはず

開発陣は『ブルリフ』をどういうゲームだと考えているのか?岸田メル氏とガスト開発スタッフに話を聞いた。

コーエーテクモゲームスは3月27日、『BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ』を発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2で、7月30日発売予定。通常版は7480円(税込)のほか、プレミアムボックスやスペシャルコレクションボックスも用意されている。

『BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ』は、岸田メル氏とガストによるメディアミックスプロジェクト『BLUE REFLECTION』シリーズ4作品を装い新たに収録し1本にした作品だ。『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』、『BLUE REFLECTION TIE/帝』、TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』、スマホアプリ『 BLUE REFLECTION SUN/燦』を、それぞれゲームに落とし込んだり追加要素を含んだりと、大幅調整し1本に収録される。

以下概要と変更点:

・『BLUE REFLECTION 幻に舞う少女の剣』
2017年3月にPS4/PS Vita向けに発売されたRPG
今作においては、フィールドやテクスチャを高解像度向けにアップデート。移動や戦闘の高速化やオートセーブといった快適要素を搭載

・『BLUE REFLECTION TIE/帝』
2021年10月にPS4/Nintendo Switch向けに発売されたRPG
『澪』『燦』から8名の少女たちがバトルに追加参戦、移動や戦闘の高速化やイベント早送り機能などを搭載

・TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』
2021年4~9月に放送されたテレビアニメ
本作においてはなんとゲーム化、アニメ最終盤のストーリーを再編集し、主要キャラを3Dモデル化。アドベンチャーゲームのように楽しめる

・スマホアプリ『BLUE REFLECTION SUN/燦』
2023年2月に配信されたスマートフォン/PC向けゲーム。2024年5月サービス終了
今作では家庭用ゲームに再構築、『BLUE REFLECTION TIE/帝』のシステムをベースに、「燦」の印象的な戦闘を再現したイベントバトルを展開、新規イベントも多数収録

どういう製品なのかはこちらの紹介インタビュー記事を見ていただくとして、開発陣は『ブルリフ』をどういうゲームだと考えているのか?キャラクターデザイン・シリーズ総監修の岸田メル氏と、ガスト開発スタッフに話を聞いた。

『ブルリフ』らしさとは何か

――『ブルリフ』とは、どういうゲームだと思いますか?

岸田氏:
世の中にはいわゆる「美少女ゲーム」と言われるものはたくさんあると思うのですが、僕が絵を描いたり監修したりする上で自分にしかできない表現はなんだろうと考えたときに、フィクションの中にあるリアリティのようなものを意識しました。リアリティのある学校の雰囲気や、女子高生同士のリアリティある関係性とか、キラキラして可愛いんだけどどこか生々しさもあるという温度感。プレイヤーの人がそこに没入して、僕の理想の世界みたいなところにゲームを通して入ってもらって、疑似体験してもらえるという手触り感が一番ほかの作品と違うと今でも思っていますね。

――主人公が女子高生だったりするわけですが、岸田さん自身にも女子高生になりたいという理想や願望があったということでしょうか?

岸田氏:
いえ。企画を立ち上げたときに女子高生なりきりゲームを作りたいという意図があったわけではなくて、当初あった目標は「真っ当なロールプレイングゲームを作ろう」で。その上で、ガストさん、僕、それから一緒にシナリオを考えてくださった方々と話し合う中で、手持ちのカードを出し合って、ここから一番自分たちの作りたいものが作れるようにするには……と考えたら、「女子高生しか出てこない、高校を舞台にした、いわゆる魔法少女モノだね」と。

ですので、まずやりたいことがあって、その最適解としてこうなったという流れですね。

もともと僕たちはそれ(女の子だけの世界)をやりたくて、作ったわけではありませんでした。だからこそ「燦」で男性主人公を登場させようかという話も出たわけです。

ただ結果的にそういう世界観の展開だったこともあり、「燦」の主人公については『ブルリフ』に触れてきたユーザーのみなさんから否定的なご意見もいただくことになってしまいました。僕たちがやれることを最大化した結果である「女の子しか登場しないような、女の子だけの世界」といった空気感というのは、僕たちが思っている以上にユーザーさんにすごく気に入っていただけていたんだなと改めて感じました。

――岸田さんはクリエイティブな面と、プロデューサー的・ビジネス的な観点の両方をお持ちです。自分のこだわりを詰めるというより、製品としてしっかり面白いものにしようということが先に来るのでしょうか?

岸田氏:
こういうことがやりたいんだけど、こういうことをやるためには、こういった作りとか構成にするしかないよね、と。本当は女性だけじゃなくて、男性もいっぱい出てきて、壮大なことがやりたいとは思っても、それは実際にはできない。なので、じゃあ自分にとって一番残したい要素は何なんだろうと。やりたいことを残すためにほかを削っていった結果という言い方が正しいかも。

――特に1作目で感じられる女子高生しか出てこないからこその独特の透明感や雰囲気があったということですね。「燦」で男性主人公が出てきて変わったという経緯があると思うのですが、今回シリーズとしての統一感や男性主人公が出てくる違和感を払拭する導入は入れていますか。

ガスト開発スタッフ:
はい、入れています。具体的に言うと「澪」と「燦」にはプロローグ・エピローグというものを作っていて、実際「燦」ではどういうふうにしてその男性主人公が入ってくるかということもプロローグで表現しています。その上で、プレイヤーが操作する主人公というのもこの男性ではあるのですが、彼自身が出張っていくというよりは、女の子キャラクター同士の会話だったり、女の子はどう考えるかというのを活かすことを軸に調整しています。

どの作品にもいろいろなご意見をいただいた中で、「燦」に関しては主人公の存在感を少し薄めにするという調整をしています。ただこの男性主人公を気に入ってくださっている方もいらっしゃいますので、それも踏まえてあまり薄め過ぎないように落とし所を調整しました。

――少し話は変わりますが……ガストブランドの作品には女性主人公のゲームが多いですが、岸田さんは、主人公に自己投影してなりきって遊んでいるのか、それとも親目線みたいな形で俯瞰して見ながら遊んでいるのか、どちらでしょうか?

岸田氏:
僕自身は絵を描く時も、ゲームをプレイするときも同じなんですけど、ドラマとして俯瞰して楽しむことが多いですね。登場人物に感情移入したり、誰々推し、誰々萌えみたいなのはなくて。『ブルリフ』に関しては1作目では主人公の白井日菜子を中心としたドラマが展開される。それで、日菜子になりきってやっていくというよりは、この主人公のドラマを俯瞰して見て楽しんでほしいし、場合によっては共感してほしいという感じで作っているんですよ。

RPGの場合は、それが“喋る主人公”かどうかというところも結構大きいと思います。喋らない主人公の場合は特にプレイヤーが感情移入して、中に入ってもらうというパターンが多いですよね。『ブルリフ』の主人公は、明確に意図してプレイヤーの代弁者ではない作りにしています。プレイヤーから見てヒロインに見える、応援したくなるキャラクター造形をしています。なので、なりきって冒険していくというより、男性プレイヤーが主人公のことを自分にとってのヒロインとして見るものとして作って来たところがありますね。『アトリエ』の「アーランド」シリーズでもそういう感じが多かったかな、と。

――参考になります。

岸田氏:
僕は『ブルリフ』の1作目を作ったときに、キャラクターを応援してほしいという気持ちで、ちゃんと自我があってトラウマがあって、その人なりの考えがあるというような強い意思を持ったキャラクターとして主人公……白井日菜子を作ったんです。でも、シナリオとの絡みをよく見ていく段階で一番何に気を使ったかというと、プレイヤーのストレスになるような行動をとっていないかを確認するということです。

どんなに主人公に自我や意思がしっかりあるとはいえ、結局RPGはプレイヤーが操作して進めていくものですよね。そこで、主人公のキャラクター設定がはっきりしていればいるほど、プレイヤー目線で「お前、そこでそういう行動/選択をするのはおかしいだろ」と思うような部分が出たりして、それがプレイヤーのストレスに繋がると思うんですよ。

古今東西、いろんなRPGがありますけど、「主人公やヒロインが、その人物ならありえない動きをしてストレスが溜まる」という意見が出てきているのを見かけるので。そういう形にならないように、しっかり意思のあるキャラクターなんだけどプレイヤーにとってストレスの溜まる選択をしないように、語尾や言い回しにも気をつけたりしました。「この語尾はやめよう」とか「ここでそういう言い方をすると、ちょっと嫌な感じに映るのでやめましょう」というチェックをかなり細かくやりました。

――自己投影でも俯瞰でも、両方で楽しめると。

『ブルリフ』は変なゲーム

岸田氏:
でもやっぱり……『ブルーリフレクション』って……変なゲームだと思うんですよ。

――(笑)それはたしかに、みんな思っていたけど言わなかったことかもしれません。「美しいけど、変なゲーム」ではあると思います。

岸田氏:
そうなんですよ。『ブルリフ』って普通のRPGのつもりでやると「えっ、何これ?」ってなると思うんですよね。コンシューマーだったり、アニメだったり、運営型だったりと、色々な形態をとってきたからこそ、この作品のやりたいことがわかりづらくなってきたところもあったと思うんです。今作はこれさえ遊んでもらえれば「『ブルリフ』とは一体なんだったのか」ということが伝わるものにまとめられているんじゃないかと思いますね。

――開発のみなさんとして、『ブルリフ』のどこが「ちょっと変」なゲームたらしめていると感じますか?

岸田氏:
“正統派”で作っていないというのがまずひとつなんですけど(笑)お伝えしたように、自分たちでできることをトータルで考えたときにこういう切り口がいいんじゃないか、と考えた切り口自体がもう変な切り口だったので……そりゃ変だよね、と。

岸田氏:
一番最初はみんなでフェチを語り合う「フェチミーティング」をしていました(笑)やるなら生半可なことをやってもしょうがないので、一回限界ギリギリまでやらないとってことで。いろんなフェチズムがあるから、すり合わせから入ろうということにしました。大真面目にやっていたことなんですけどね。変なゲームなので、変なゲームやりたい人はとても気に入っていただけるんじゃないでしょうか。

一同:
(笑)

――キャラたちは真面目なのもあり変なゲームと呼ぶのは憚られるところはあるので、なんかそういう風に呼んでいいんだと思うと安心します。

岸田氏:
出てくるキャラクターも変じゃないですか?(笑)

――岸田さんにとって『ブルリフ』とはどういう存在なのでしょうか?

岸田氏:
自分たちにできることのなかで、最大限お客さんの心に残るようなゲームを作りたいなと思って作った結果なんですが……大手のゲーム会社さんが出すタイトルにしては「発想がインディーゲーム」と言えるものを作れたなという思いがありますね。今後似たゲームは出てこないんじゃないかなとも思いますし。僕たちからしても、お客さんから見ても、「後にも先にもこんなのはないぞ!」というような、唯一無二感のあるものは作れたかなと思ってるんですよね。

――当時より、インディーゲームが広まったことなどによって、ニッチなものもいいよねと言いやすい空気感はあるように思います。最後にお聞きしたいこととして、本作ならでは体験できることはなんだと思いますか。

岸田氏:
やはり、雰囲気とか手触りに一番気を使っているので、そこに触れてほしいですね。今作は、他のゲームと違う『ブルリフ』ならではの雰囲気にきちんと浸れるようになっていると思います。「雰囲気ゲー」と呼んでもらって構いませんので、そこに一番期待してください。

ガスト開発スタッフ:
可愛らしいキャラクターと作り込まれた設定や世界観、そして関係性の生々しさというのが、「ブルリフ」のひとつの大きな魅力だと考えています。今作では、それらがわかりやすく伝わるように4作品を整理してまとめました。すでにプレイしたことがある方も、初めての方もぜひ触ってみていただければと思います。

――ありがとうございました。

『BLUE REFLECTION Quartet: 少女たちのキセキ』は、PC(Steam)/PS5/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2向けに7月30日発売予定だ。

[書き起こし・編集:Kei Aiuchi]
[聞き手・編集:Ayuo Kawase]


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